泌尿器科

特徴

若い泌尿器科医にとって短期間に集中して定型手術を経験し、手技の研鑽を積む機会は中々無いものです。静岡がんセンター泌尿器科では、いたずらに長く労働するという慣習を排除しつつ、志のある若い医師が効率よく十分な手術症例を経験できるようスタッフ一同配慮しています。 合併症の少ない手術を遂行できる医師を、1人でも多く育てることが、我々の重要な使命と考えています。
例えば当施設で膀胱全摘術後14日以内に退院した患者の割合は、2015年が74%(20/27人)で退院までの中央値は13日でした(図1)。レジデントの先生方と共に、さらなる入院期間の短縮を目指し、合併症の少ない再建方法の確立や周術期管理の見直しを行っています。

hinyouki

レジデントは手術・術後管理・抗癌剤化学療法の管理などを中心に業務を行います。日常業務以外では、週一回のカンファレンスで、個々の患者毎の治療方針を徹底して検討しています。ガイドライン、EBMを下敷きにして、論理的な治療戦略を構築することを目的とし、職位の上下の区別なく、忌憚のない意見交換を身上としています。この議論の中で、オンコロジストとして病態把握・治療戦略の構築法が身に付いたとレジデント卒業生から評価されています。その他、放射線科・陽子線科などとの合同カンファレンスを定期的に開催しています。
レジデント教育の目的は、泌尿器科オンコロジストの養成です。初めての手術の前には、必ず解剖学に基づいた手術手技の講義をします。豊富な症例数を有する当施設で研修することにより腎摘(開腹、腹腔鏡)・前立腺全摘(開腹、ロボット)・膀胱全摘(回腸導管、新膀胱)などの定型手術を短期間で修得することを目標としています。チーフレジデントのゴールは、そのままスタッフで通用する泌尿器科がん専門医となることです。 再手術の癒着剥離、精巣腫瘍の後腹膜リンパ節郭清等の難易度の高い手術も指導を行います。また、病棟レジデントの統括者として業務することで、将来診療科を統轄する基礎技術を身につけてください。
診療業務以外では、当院は、JCOG(Japan Clinical Oncology Group)の泌尿器科グループ参加施設です。また当院は、日本の中で治験治療がもっとも多い医療機関の一つです。実際の臨床研究への参加のほか、臨床研究の基礎からプロトコル作成まで広く学ぶことも可能です。皆さんの応募をお待ちしています。見学についても気軽に御相談ください。

カリキュラム

レジデントは、幅広い知識・技術を身につける必要性から、病理診断科、麻酔科、画像診断科のローテーションを必須としています。骨盤外科に習熟する目的で大腸外科、婦人科のローテーションも推奨しています。その他の診療科・診断科のローテーションは希望により積極的に叶えられるよう手配します。
チーフレジデントは、それまでの研修で欠けている場合は、大腸外科、婦人科、病理診断科へのローテートを許容します。主に泌尿器科に在籍し、レジデントや外科などからのローテートレジデントの統轄を業務として貰います。

疾患・手術内容

内訳は以下のとおりです。
泌尿器科手術件数(2015年年間手術総件数580件)

手術内容 術式 2013年 2014年 2015年
腎摘除術 開放全摘除 20 15 16
開放部分切除 16 32 19
腹腔鏡手術 12 23 18
小計 48 70 53
前立腺全摘除術 ロボット 64 65 67
開放手術 17 11 3
小計 81 76 70
膀胱全摘除術 回腸導管 21 21 24
新膀胱 10 5 3
小計 31 26 27
腎尿管全摘除術 開放手術 9 18 18
腹腔鏡手術 2 1 3
小計 11 19 21
副腎摘除術 開放手術 2 3 1
腹腔鏡手術 5 1 5
小計 7 4 6
回腸導管のみ   0 1 0
後腹膜リンパ節郭清術   3 4 7
後腹膜腫瘍切除   0 4 0
高位精巣摘除術   7 10 5
陰茎全摘除術   2 0 0
前立腺密封小線源治療   8 5 6
前立腺生検   129 136 128
経尿道的膀胱腫瘍切除術   202 209 238
その他   18 17 19
  547 581 580

 

専攻科

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