陽子線治療科

特徴

当科では2003年10月から最新装置による陽子線治療(通常の放射線治療における高エネルギーX線のかわりに陽子線を利用するがんの治療法)を実施しています。総合病院付属型陽子線治療施設は全国に6か所ありますが、当院施設の特徴はがんセンター内に設置されているため全般的ながん診療の中で陽子線治療を実施できることです。2006年1月1日付けで先進医療承認を受け、2013年3月までの治療患者累計は約1400人です。
陽子線治療の適応の判定は、当科を含む複数診療科が参加する疾患別カンファレンスでよく検討して陽子線治療を推奨すべき患者さんかどうかを判定します。これは他の医療機関からの紹介患者さんの場合も、あるいは院内診療科からの依頼患者さんの場合も共通です。
陽子線治療はその優れた線量分布のために、副作用や後遺症の軽減を図りながら根治を目標に設定できるがん治療法です。陽子線治療の実施においては、放射線治療学を基礎として荷電粒子線の特徴を理解した治療計画が重要です。当科における研修により陽子線治療患者の診療、複数診療科合同カンファレンス参加を通じて、陽子線治療の計画から実施の全般に関する経験を蓄積することができます。
当科では医学物理士2名(研究所・陽子線治療研究部所属)、診療放射線技師6名ほかのスタッフとともに、陽子線治療の臨床研究と新技術の研究開発も行っています。国内の新規陽子線治療施設の増加を背景に、放射線治療と陽子線治療の経験を併せ持つ放射線腫瘍医ならびに陽子線治療関連職種の人材育成が強く要望されていますが、こうした期待にも十分応えることができます。

カリキュラム

主な治療疾患は前立腺癌、肝細胞癌、頭頸部腫瘍、非小細胞肺癌で、その他の固形がん(再発・転移を含む)も局所治療が臨床的有用性をもつ場合は対象となります。これらを有する患者さんに対する陽子線治療の適応判定に関与し、関係診療科との合同カンファレンスにておける検討に参加し、さらに陽子線治療計画の実施と患者診療を通じて陽子線治療の全体を修練できます。また放射線治療科とは共通カンファレンス等を通じて「放射線治療部門」を形成していますので、通常放射線治療を併用する治療なども主体的に実施することができます。

専攻科

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