歯科口腔外科

特徴

がん専門病院の歯科・口腔外科として、がん治療に伴う口腔合併症を予防、回避するための取り組みを重点的に行っています。特に手術、大量化学療法および放射線・化学療法を受ける場合、口腔合併症が高頻度に起こるため、医師、看護師と連携し病棟往診または外来での歯科治療、口腔ケアをがん治療のなかに組み込む試みがなされてきました。口腔悪性腫瘍の手術は、頭頸科医師が主体になりおこないますが、歯科・口腔外科も多職種合同の術前カンファレンスに参加し、患者の術後の咀嚼、嚥下機能を考慮した術式のプランニングをおこない合同で手術をおこないます。また再建手術時には必要に応じて形成外科とインプラント治療もおこないます。さらに癌切除手術の結果生じた顎欠損、顎顔面欠損に対しては、専門の歯科技工士と協力し、顎補綴義歯、顔面エピテーゼを作製し、早期社会復帰をゴールにしたがん治療をおこなっています。現在、日本の 歯科大学病院の口腔外科ではおこなっていない、緩和医療を含めた、がん患者への歯科的支持療法のすべてを学ぶことができます。さらには一般口腔外科疾患に関する手術も静岡県東部地域から紹介患者を受け入れて、埋伏智抜歯、嚢胞摘出、下顎骨骨折など局所麻酔、静脈内鎮静法そして全身麻酔での手術を行います。

カリキュラム

研修は3年間です。最低1年間は歯科・口腔外科で外来診療に従事します。外来小手術、がん患者の歯科治療や口腔ケア、顎補綴義歯、顎顔面エピテーゼ作成を学ばなくてはなりません。残り2年間は口腔がん治療や、がん治療と口腔で密接に関連する診療科をローテーションします。具体的には、麻酔科(半年間必須)以外に頭頸部外科、形成外科、緩和医療科、画像診断科(3ヶ月必須)、病理診断科、感染症科、リハビリテーション科、放射線治療科などの診療科をレジデントの希望に応じてカリキュラムを組んで、2年間でローテーションして研鑽を積みます。最終的に、頭頸部がん全般にわたる幅広い知識と全身管理を学ぶことができます。私達は、このようにがん治療の知識を持ちながら、歯科治療を安全におこなう歯科医師を養成するこのレジデントカリキュラムをデンタルオンコロジスト養成コースと名付けています。全国のがん専門病院で、歯科医師が医科の診療科を見学主体(オブザーバーステータス)ではありますが、レジデントで研修できる施設は、この静岡がんセンターだけです。当院レジデントになるためには、口腔外科的治療だけではなく、入院、外来でのがん治療中の一般歯科治療、補綴的治療が多いため、歯科診療全般を広く勉強し、習熟していることが必須となります。 また、埋伏抜歯処置が多いので、埋伏抜歯手技を習得していることが条件となります。

疾患・手術内容

年間手術件数 年間330例(局所麻酔 290例、全身麻酔 10例、静脈内鎮静30例) 局所麻酔では埋伏智歯抜歯、のう胞摘出、歯根端切除手術の順に多い。顎顔面補綴治療(エピテーゼ治療)は23例(開院時から)

専攻科

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