「がん体験者の悩みQ&A」では、2003年と2013年に実施した全国調査結果を整理して構築したがん体験者の悩みデータベースを公開しています。このデータベースに基づき、がん体験者の方々の悩みや負担をやわらげるための助言や日常生活上の工夫などの情報ツールの作成等を行っています。
なお、個別の回答やご相談は、仕組み上できかねますので、お困りごとやご相談がある方は、お近くの「がん相談支援センター」をご利用ください。

経過にそった悩み



最初の治療 - 通院治療 -

印刷用表示

Q.「通院治療中、どういう心構えで過ごせばよいのか。」
あなた自身も治療に参加する気持ちで
あなた自身が“病気の治療に積極的に参加する”という気持ちをもつことが大切です。
外来で、薬物療法(抗がん薬治療)や放射線治療を受けられる方が増えていますが、最大の心配事は「もし副作用がでたとき、どうすればよいの?」ということでしょう。
治療前には担当医から、予想される副作用とその対処法について説明があります。看護師や薬剤師からより詳しい説明や指導がある場合もあります。
抗がん薬治療を受ける場合、1~2回目は、特に注意深く、体調の変化、副作用の出方や変化などをメモしておきましょう。メモをとっておけば、後で担当医に確認できますし、以後の治療を受ける際に自分の体調の変化を予想しやすくなります。
放射線治療の場合、照射部位に関連した症状のほかに、治療のためにつけた皮膚のしるしを消さないように気をつけましょう。これは、治療装置の照射口を治療する部分に正確に合わせるためのしるしです。しるしは、消えにくいインクを使用したり、テープを貼ったりしてあります。ですから、からだを拭いたりする程度では、消えません。しるしが薄くなったら、治療前に書き直すので、ご自分で書き足さないでください。
治療に関して心配なことがあれば、担当医や看護師に確認することが大切です。

(更新日:2019年2月25日)
 

Q.「初めて抗がん薬治療を受けることへの不安があった。」
わからない点、不安な点を担当医に確認する
治療前は、これからの治療への期待とともに、治療の効果や副作用などへの不安があると思います。むしろ、期待より不安のほうが大きいかもしれません。治療に伴う苦痛などへの不安や悩みがある場合、その根底には治療への理解が不十分であったり、未知の事柄への漠然とした不安があったりします。
治療を行う前には、患者さんが治療に耐えられるか、治療に影響する病気はないかなど、多方面から検討します。そして、治療による副作用をできるだけ予防し、もし起こった場合にも早めに適切な対応を行っていきます。患者さんが安定した気持ちで治療にのぞめるよう、医師、看護師、病院スタッフらで支えます。
ご自身の治療について、わからない点は、納得いくまで担当医に確認して下さい。がんや治療方法について書かれた本を読んだり、インターネットで調べたりするのもよいでしょう。

抗がん剤治療のイメージ
抗がん薬治療というと、からだにダメージがある治療というイメージが先行しがちかもしれません。けれども、できるだけ副作用を軽くするための薬の使用、工夫や対応が行われています。同じ薬であっても、患者さんによって副作用の程度は異なります。
副作用は、抗がん薬の影響で起こっているので、薬の種類によっても副作用は変わります。現在は、以前からある殺細胞障害性抗がん薬やホルモン療法薬以外に、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬など薬の種類も多様で、副作用もさまざまです。
大切なのは、治療中の自分の体調の変化を理解し、副作用を予防したり、軽くするための工夫をしたり、生活のリズムを調整したりすることと、何かつらいことがあったり、不安なことや困ったことがあれば、医師や看護師などに相談すること、からだがつらいときは、ご家族などにサポートしてもらうことです。
治療は患者さん一人で受けるものではありませんし、医師が勝手に行うものでもありません。患者さんと担当医などの医療スタッフ、患者さんをいろいろサポートしてくれるご家族や友人など、患者さんと患者さんを取り巻く人々との協働作業です。

治療の説明は、ご家族や親しい人に同席してもらう
1. 治療の説明は、ご家族や親しい人に同席してもらう 
がんの診断や治療の説明を受けるとき、不安と緊張でいっぱいだと思います。
まず、最初に心がけておいていただきたいのは、治療の説明を受ける際は、できるだけ1人で聞かずに、ご家族や親しい方に同席してもらい、一緒に話を聞くことです。
これは、心強さの面もありますが、医師の前ではほとんどの方が緊張しています。特に、診断結果や治療について聞くときは、内容によっては激しいショックや動揺が起こります。このようなときに、医師の説明のすべてを理解するというのは難しいものです。また、説明でよくわからないことがあっても、そのまま聞き流したり、説明が音としては耳に入ってくるのに後で思い返すと全く覚えていないということもあるからです。
また、メモがとれる準備をしておくとよいでしょう。説明を聞きながらメモをとるのは自信がないということであれば、医師に申し出て、説明を録音してもよいでしょう。ただし、内緒で録音をするというのは、どのような場合でも礼儀に反し、相手との関係を損ねる原因にもなります。録音する場合は、必ず医師に断ってから録音しましょう。

2. 気持ちが落ち着いてから、同席した方とわからなかったことを確認する
たとえ、説明前に心の準備をしていたとしても、その場では緊張と動揺で質問する余裕はないかもしれません。その場合は、自宅に戻ってもう1度同席した方と話しながら、わからなかったことを確認し、次回の外来の時などに確認しましょう。ショックや動揺が強い場合は、少し気持ちが落ち着いてからでもかまいません。
同席者と説明された内容を確かめ合うことは、お互いに説明に対する理解を深めることにもなりますし、人に話すことで、自分のなかで説明された内容をもう1度整理する機会にもなります。

(更新日:2019年2月25日)
 

参考になるホームページ
(1)国立がん研究センター『がん情報サービス』:
http://ganjoho.jp/
『がん情報サービス』は、国立がん研究センターが運営するがんに関するさまざまな情報を提供するサイトです。2021年7月にサイトがリニューアルされています。トップページからは、病名から探す、がんの治療と生活、制度やサービスを知る、がんの予防・検診、資料室などで提供されているコンテンツの項目を確認できます。また、医療機関に関しては、がん診療連携拠点病院、小児がん拠点病院、希少がん情報公開専門病院などの検索や施設情報の概要などを確認できます。これまで発行した冊子などは、『資料室』のページからPDFでダウンロードできます。
(2)がん情報サイト:PDQ日本語版(米国国立がん研究所のがん情報サービス)
https://cancerinfo.tri-kobe.org/
がん情報サイトには、『PDQ最新がん情報』、『PDQがん用語辞書』、『NCCNガイドライン日本語版』などの情報があります。
『PDQ最新がん情報』は、治療(成人、小児)、支持療法と緩和ケア、スクリーニング(診断と発見)、予防、遺伝学的情報、補完代替医療の情報があり、それぞれ『患者様向け』と『医療専門家向け』の2つのボタンがあり、より詳しい情報は『医療専門家向け』から得られます。



Q.「通院治療のため、体力的に耐えられるのか不安だった。」
通院で行われる抗がん剤治療
現在では、抗がん薬治療もその多くが通院で実施されるようになってきました。これは、抗がん薬の副作用を軽くするためのお薬やその他の対処方法も進歩してきて、通院で可能な治療は通院で行われるようになってきたからです。
患者さんが安心して快適に、抗がん薬治療を受けられるように、がん診療連携拠点病院を中心に、通院治療センター(化学療法センターなど呼び方は病院によって異なります)を開設し、専任スタッフを配置し、リクライニングチェアやベッドを備えたりしています。

通院で行われる治療は、病院を出ると医療者がそばにいないことになるので、患者さんだけではなくご家族も不安がつのることもあるでしょう。
その一方、自分なりのペースで、リラックスして治療を受けることができ、精神的な状態に左右されやすい吐き気や食欲不振も、入院して治療受ける場合よりもかえって少ない、と話される患者さんもいます。
どのようなときに、病院に連絡が必要か、日常生活でどのようなことを気をつければよいかなど確認しておくとよいでしょう。

通院治療と日常生活を考えながら、生活のリズムをつくりましょう
入院中は、ある意味では、『患者としての自分』の生活がずっと続くことになります。
これに対して、通院して治療を受ける場合には、『患者としての自分』だけでなく、仕事に行ったり、家事をしたり、ご家族と食卓を囲んだり、近所の方々と話したり、友人や知人と出かけたりする、『社会のなかで生活している自分』を感じたりすることができると思います。
自分の居場所や役割を再認識したり、社会のなかで“地に足をしっかりつけて立っている”という感覚をもったりすることが、あなたにとっての支えや生きがいにつながることもあるはずです。
ただ、『患者としての自分』と『生活者としての自分』という二つの役割を常に全力投球で行っていると、疲れたり、つらく感じたりすることがあるかもしれません。
治療前、治療中、治療後の体調の変化を見極めながら、自分のペースで生活のリズムをつくりだしていくことが大切です。

(更新日:2019年2月25日)
 

ご意見・ご感想

よりよい情報提供を行うために、ご意見やご感想をお寄せください。
いただいた評価やご意見・ご感想は、今後、このコンテンツ(情報のなかみ)に役立たせていただきます。

なお、個別の回答やご相談は、仕組み上できかねますので、お困りごとやご相談がある方は、下記「がん相談支援センター」をご利用ください。

【がん相談支援センター】
お困りごとやご相談がある方は、
●静岡県内の方は、
静岡がんセンター「よろず相談
もしくは、静岡県内のお近くのがん診療連携拠点病院の「がん相談支援センター
●静岡県外の方は、
お近くのがん診療連携拠点病院の「がん相談支援センター
にご相談ください。

【このコンテンツの評価】
※このコンテンツは役立ちましたか?
役立った 少し役立った どちらでもない あまり役立たない 役立たない
※あなたは  患者  家族  医療関係者  行政関係者  その他

【このコンテンツへのご意見・ご感想】
注)自由記述欄への個人情報のご記入はご遠慮ください。


外部サイトの役立つリンク集

がんに関する知識・がん診療連携拠点病院
国立がん研究センター『がん情報サービス』
https://ganjoho.jp


がん体験者の悩みQ&A

がん体験者の悩みQ&A