「がん体験者の悩みQ&A」では、2003年と2013年に実施した全国調査結果を整理して構築したがん体験者の悩みデータベースを公開しています。このデータベースに基づき、がん体験者の方々の悩みや負担をやわらげるための助言や日常生活上の工夫などの情報ツールの作成等を行っています。
なお、個別の回答やご相談は、仕組み上できかねますので、お困りごとやご相談がある方は、お近くの「がん相談支援センター」をご利用ください。

経過にそった悩み



最初の治療 - 医療者との関係 -

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Q.「人生初めての入院生活のため、病院、医師、看護師等への心配があった。」
信頼できる医師とは
医師には自分の身体を預けるわけですから、特に、医師との関係性が気になると思います。
信頼できる医師というのは、その人自身(患者さん自身)の価値基準が入ってきます。自分は、医師に何を求めるのか、責任感がある、人柄がよい、専門的知識・技術を身につけている、説明を十分に行ってくれる、話しやすいなどいろいろあると思います。
ただし、人柄がよい、話しやすいという印象は、人によって異なり、信頼関係が築きやすい場合もあれば、難しい場合もあります。そのようなときは、どちらか片方の働きかけが有効に働くことがあります。また、周囲の人が助けになってうまくいく場合も多くみられます。信頼関係は、お互いが築きあげていくものだと思います。

コミュニケーションをとることが信頼関係を築く第一歩
入院中は、医師はもちろん看護師、栄養士、薬剤師等、いろいろなスタッフが関わります。心配や不安などがあったとき、遠慮なく聞きやすい人に相談してみてください。コミュニケーションをとることが信頼関係を築く第一歩になり、安心して入院生活を送ることにつながると思います。

(更新日:2019年2月25日)
 

Q.「先生にいろいろと聞きたいけれど聞くのも恐いし、聞かないのも不安で考えるだけで日々が過ぎていく。」
担当医に質問してみる
担当医に質問してみると、不安が軽くなると思います。自分の頭のなかだけで考えていると、どうしても悪い方の考えに偏りがちになり、答えが見つからないので漠然とした不安が残ったままになります。
担当医から回答をもらうことで、想像以上に早く気持ちが晴れるかもしれません。考えていたよりも簡単に解決することも少なくありません。たとえ厳しい、今はまだ明確な回答がでないという返事であったとしても、もやもやした気持ちのままでいるよりも、すっきりすると思います。

医療者と向き合う時間
医療者とうまくコミュニケーションをとっていくためには、あなた自身が積極的に働きかけることや、短い時間であっても、医療者と向き合う時間を有効に使っていく工夫をしていくことが大切です。
最近では、がんの治療も通院で行う治療が増え、また入院が必要な場合であっても、以前に比べ入院期間自体がとても短くなっています。特に、外来診療では1人あたりの診療時間も短いと感じることが多いかもしれません。
入院の時であれば、検温などで定期的に患者さんのベッドサイドに来ていた看護師も、外来診療では人数も少なく、なかなか話しかけられないと感じることでしょう。
そこで、あなた自身ができることをまず始めてみましょう。

良好なコミュニケーション、信頼関係を築くためにあなた自身ができること
1. 原因を自分のなかで整理してみましょう
まず、あなたが今不安に感じていること、疑問に思っていることを整理してみましょう。ノートに書き出してみてもよいと思います。最初は、長い文章で自由に書いてみて構いませんが、書き終わったら読み直し、最終的に箇条書きにしてみるとよいでしょう。たとえば、「○○の検査の結果が知りたい」、「○○という症状がどうして起こっているのか、知りたい。あるいは、どう対処したらよいか知りたい」などです。ただ、先生ともっと話したいのに、忙しそうで話しかけられないとかではなく、具体的に整理することが大切です。

2. 外来の場合は、特に予習・復習をしてみましょう
予習・復習というと、構えてしまい負担に感じるかもしれませんが、ちょっとした工夫が、医療者との対話の促進につながったり、確認したいことをきちんと確認できて安心感につながったり、漠然とした不安を解決できたりなどの効果が期待できます。
特に外来通院している場合、外来の診察時間は短いと感じ、担当医に確認しようと思ってもなかなか言い出せないという経験をお持ちの方もいらっしゃると思います。短い外来時間を有効に使うためにも、予習・復習をしてみましょう。
予習は、次の外来で実施予定の検査、あるいは結果の出ている検査、今ある症状や困っていること、担当医や看護師に聞きたいことを書き出し、整理してみることです。これは、できるだけ1行以内の箇条書きにして、間に空欄を入れておきます。この空欄は診察時、診察後の確認(復習)のときに使います。
復習は、診察室での診療のなかで、大切なことを自分なりに書き出して、まとめてみることです。その場では、すぐ聞けなかった疑問などがあったら、次の外来時に確認できるように、予習のところに、箇条書きで加えておきましょう。
自分なりの治療日記(治療ノート)と言ってもよいかもしれません。

3. 疑問、不明なことをそのままにしておかない
疑問や不明なことをそのままにしておいてはいけません。そのままにしておくと、少しずつコミュニケーションのずれが積み重なり、不信感につながります。医師は説明したつもり、患者さんはわかったつもりでは、信頼関係を築くのは難しいと思います。

(更新日:2019年2月25日)
 

Q.「看護師との関わり方に悩んだ。」
自分自身の思いを伝えたり、働きかけにこたえる
人と人とが良い関係をもつには、意思疎通を図り、お互いを尊重する姿勢が大切です。患者さんと看護師の関わりも同様で、看護師は、患者さんが求めていることをきちんと受けとめることが大切ですし、患者さんも自分自身の思いを伝えたり、看護師の働きかけにこたえたりしなければ成立が難しくなります。

たとえば、手術後の患者さんに対して、看護師が「さあ、歩きましょう」と促し、患者さんから「動けない」という返事だけでは、お互いの頭のなかの思いが通じません。
この場面での看護師は、『術後早くから動くことにどのような効果があるのか』を説明していませんが、その理由が分かれば、患者さんは“動こうか”という気持ちになるかもしれません。患者さんが「痛みが強いから」と言葉を付け加えていたら、続いて看護師は、痛みの程度を尋ねるなど会話を重ね、お互いの思いを共有できたでしょう。

入院中、病気や治療によって、自由に体が動かせない場合には、看護師が身の回りの世話を行います。また、身の回りのことは自分自身で行えるけれど、治療が順調にすすむように、治療中の生活の注意点や対処の方法に関して、助言を求める患者さんもおられるでしょう。
病気を患ったときには、心身や生活面の何らかの援助を必要としますが、援助をする・受けるという立場に上下の関係性はありません。看護師に遠慮や気兼ねなく、あなたの思いを伝えて下さい。看護師は、患者さんやご家族から学ぶことがたくさんあるのです。

思いを意見として伝えることで誤解をといたり改善につなげたりする
医師や看護師など病院のスタッフから言われたことに対し、傷ついたり、つらいと思う経験をされたりしたら、その場でその思いをはっきり伝えることが一番よいと思います。
その場で話しにくいようであれば、看護師長等に話したり、病院に意見としておっしゃっていただいてもよいと思います。
また、最近では、ご意見箱などを設置している病院も増えています。ただ、ご意見箱の場合、匿名も可能ですが漠然とした対象になり、本人にうまく伝わらないときもあります。
医療者が無意識に言っている言葉や態度が、患者さんにとって、つらいこともあります。残念ながら、当事者は患者さんがそのような思いをしたということを、言わなければ気づかないことがあります。もちろんお互いの誤解という場合もあります。ただ、そのままにしていると、誤解かどうかもわからないままになってしまう場合もあるのです。

(更新日:2019年2月25日)
 

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