「がん体験者の悩みQ&A」では、2003年と2013年に実施した全国調査結果を整理して構築したがん体験者の悩みデータベースを公開しています。このデータベースに基づき、がん体験者の方々の悩みや負担をやわらげるための助言や日常生活上の工夫などの情報ツールの作成等を行っています。
なお、個別の回答やご相談は、仕組み上できかねますので、お困りごとやご相談がある方は、お近くの「がん相談支援センター」をご利用ください。

経過にそった悩み



最初の治療 - 家族との関係 -

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Q.「家族と自分の治療の考え方が異なるため、どうしたら1番良いのか悩む。」
周囲の人は患者さんのためと思っても患者さんにとっては負担になることがある
親戚や知人からのいろいろな勧めや意見、干渉が苦痛だったり、家族内で、治療や今後の方針について意見の不一致が起こったりすることがあります。たとえ患者さんのことを心配して“何とかしようとして”という一生懸命の気持ちからのことであっても、患者さんにとってこころの負担になってしまうことがあります。

患者さんは自分の気持ちを相手に伝える
最終的にはやはり、ご自分の気持ちをはっきり告げることです。「自分は自分で決めて今の病院、今の治療方法を選んだ、いろいろな意見はあるかもしれないが、自分はこれでやってみるつもりなので、見守ってほしい」と伝えることです。なかには、それでも、何かと言ってくる人がいるかもしれませんが、「今の治療に集中したいので、わかってほしい」と話してみてください。

(更新日:2019年2月25日)
 

Q.「入院することで子どもの生活が1番心配だった。」
問題を具体的に整理する
お子さんの生活が心配とのことですが、まず問題を具体的に整理して、それからどのような方法をとれるのか考えていくことが大切です。また、整理したり考えるとき、一人ですべて処理しようとせずに、配偶者やその他の家族、お子さんと話し合うことも大切です。話し合うことで、お互いの思いを理解し合うこともできますし、良い案がでることもあります。

整理しておくことは、以下のようなことがあります。
1. あなた自身は、どのような治療でどのくらいの入院期間なのか
治療によっては、退院後すぐにお子さんの世話や家事全般を入院前と同様にこなすのは難しいかもしれません。およその目安は担当医からの治療の説明などで把握できると思いますが、ご家族皆さんが共通の認識を持つためにも、確認しあってみましょう。
2. お子さんはあなたの病気や入院をどう理解しているか
お子さんにはどのように話しているのか、あるいは話すのか。お子さんはそのことをどのように理解しているのか。
3. お子さんの生活のどの点が気がかりか
たとえば、小さいお子さんであれば育児全般、通園中あるいは小学校低学年であれば送迎、お昼のお弁当、食事の世話、洗濯など身の回りの世話、宿題の確認、学校との連絡などが挙げられます。年齢等によっても異なると思いますが、具体的にどこが気になるのか書き出してみましょう。
4. あなたが入院中、お子さんのお世話は誰が中心で行うのか
上記3点を整理し、誰が中心で行うのか、分担できる部分については、誰に何をお願いするのか考えましょう。1人に負担が集中しないように、協力し合うことが大切で、お子さん自身にもできることがあります。

お子さんと話してみること
お子さんが小さいから、あるいは受験を控えているからとか、ショックを受けるとかわいそうだからという理由で、親御さんが病気になったとき、入院するとき、あるいは家族に何か大きな出来事があったときに、お子さん抜きで、どうしたらよいかと大人が心配したり、話し合うことがあります。
でも、どんな小さなお子さんであっても、あるいは受験を控えているお子さんであっても、周囲の変化には敏感ですし、大人と同じように親御さんのことを心配します。お子さんが小さい場合でも、お子さんが理解しやすい言葉で、あなたの病気や治療、入院のことを伝えることは大切だと思います。同時に、あなたが入院に際し、お子さんの生活を心配しているその気持ちも伝えてみましょう。
入院するといっても、その間、あなたが何もできないことはないと思います。一日一回の電話であっても、大切なコミュニケーションの時間であり、お子さんのいろいろな出来事や思いを聴いてあげることができると思います。

乳幼児の世話をする人が不在の時
もし、お子さんが乳幼児で、あなたが入院中に世話をしてくれる方が身近にいない場合は、一時保育などのサービスを探したり、手続きが必要になるかもしれません。
そのような場合は、あなたがかかっている病院の相談室や、医療ソーシャルワーカーなどに相談してみましょう。
また、お住まいの市区町村の行政機関でも、生活支援サービスの一つとして一時保育等を行っているところがありますので、相談してみてもよいと思います。

(更新日:2019年2月25日)
 

Q.「親の世話について悩んだ。」
利用できる資源を検討する
高齢(65歳以上)のご両親の介護とご自分の治療のことを悩んでいらっしゃるのであれば、介護保険を利用し、地域のサービスを得ることができる場合があります。
介護保険は市区町村の担当窓口に申請し、認定を受けて利用します。ご自宅でホームヘルパーによる食事、入浴、排泄等の介護を受けたり、デイサービスを利用したりすることができます。費用の自己負担は、総費用の1割が原則です。
現在は家族に高齢、病気や障害のために介護や治療が必要な方がおられなくても、将来的な問題として抱える方は大勢いらっしゃるでしょう。
このようなとき、1人で全て抱え込もうとするのは大変なことです。支援を得ることに抵抗を覚える方もいらっしゃるかもしれませんが、がんで治療を受けるというのは身体だけでなく、精神的にも社会的にも大変なことだと思います。ご自身そしてご家族のためにも、利用できる資源をいろいろ検討してみましょう。

相談窓口を利用してみる
病院では、『医療相談室』など相談専用の窓口を設置し、ソーシャルワーカーと呼ばれる専門職が常駐しているところがありますので、困ったことがあったら一度相談してみましょう(病院によっては、ソーシャルワーカーは医事課などの事務部門に所属している場合もあります)。
ソーシャルワーカーは、医療費の支払いやその他経済的なこと、介護保険や障害者手帳のこと、その他福祉制度のこと、療養中・退院後の生活などの相談にのってくれます。
相談窓口に相談してみると、少しでも負担感を軽くするための良い情報を得られるかもしれません。また、いつでも相談できる先を見つけておくことは、今後のサポートとしても心強いと思います。

(更新日:2019年2月25日)
 

Q.「手術することになり、子ども達の世話や留守を身内にお願いに行ったが、皆に心配をかけ申し訳ないと負い目を感じた。」
家族の結びつき
ご家族やご親戚は、“自分にできることは協力したい”と思っているはずです。
負い目を感じたということですが、助けてもらう人よりも力を貸す人が優位に立っているわけではないと思います。
力を貸す人は、与えるだけでなく、必ず受け取るものがあります。人の役に立てる喜びや、家族の結びつきが強化されることも、そのひとつです。

困っていることを話してみる
困っていることや、お願いしたいことを、ご家族に話してみると、自分で考えていたより簡単に引き受けてもらえたり、別のよい方法が見つかるかもしれません。
お願いしたいことを具体的に伝えるほうが、協力を得やすいと思います。
それぞれに家族があって長時間家を空けられない場合も多く、比較的負担が少ない方法として、半日程度の時間を調整したり、複数で協力体勢をとったりしている方が多いようです。お子さんにとっても、新しい役割を担うことは、成長や自立を促す効果があるでしょう。家族でよく話し合ってみてください。
また、社会のいろいろな制度や支援が利用できる場合もあるので、病院の相談窓口などに相談して、解決していくための情報を集めてもよいと思います。

(更新日:2019年2月25日)
 

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