わからない点、不安な点を担当医に確認する治療前は、これからの治療への期待とともに、治療の効果や副作用などへの不安があると思います。むしろ、期待より不安のほうが大きいかもしれません。治療に伴う苦痛などへの不安や悩みがある場合、その根底には治療への理解が不十分であったり、未知の事柄への漠然とした不安があったりします。
治療を行う前には、患者さんが治療に耐えられるか、治療に影響する病気はないかなど、多方面から検討します。そして、治療による副作用をできるだけ予防し、もし起こった場合にも早めに適切な対応を行っていきます。患者さんが安定した気持ちで治療にのぞめるよう、医師、看護師、病院スタッフらで支えます。
ご自身の治療について、わからない点は、納得いくまで担当医に確認して下さい。がんや治療方法について書かれた本を読んだり、インターネットで調べたりするのもよいでしょう。
抗がん剤治療のイメージ抗がん薬治療というと、からだにダメージがある治療というイメージが先行しがちかもしれません。けれども、できるだけ副作用を軽くするための薬の使用、工夫や対応が行われています。同じ薬であっても、患者さんによって副作用の程度は異なります。
副作用は、抗がん薬の影響で起こっているので、薬の種類によっても副作用は変わります。現在は、以前からある殺細胞障害性抗がん薬やホルモン療法薬以外に、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬など薬の種類も多様で、副作用もさまざまです。
大切なのは、治療中の自分の体調の変化を理解し、副作用を予防したり、軽くするための工夫をしたり、生活のリズムを調整したりすることと、何かつらいことがあったり、不安なことや困ったことがあれば、医師や看護師などに相談すること、からだがつらいときは、ご家族などにサポートしてもらうことです。
治療は患者さん一人で受けるものではありませんし、医師が勝手に行うものでもありません。患者さんと担当医などの医療スタッフ、患者さんをいろいろサポートしてくれるご家族や友人など、患者さんと患者さんを取り巻く人々との協働作業です。
治療の説明は、ご家族や親しい人に同席してもらう1. 治療の説明は、ご家族や親しい人に同席してもらう
がんの診断や治療の説明を受けるとき、不安と緊張でいっぱいだと思います。
まず、最初に心がけておいていただきたいのは、治療の説明を受ける際は、できるだけ1人で聞かずに、ご家族や親しい方に同席してもらい、一緒に話を聞くことです。
これは、心強さの面もありますが、医師の前ではほとんどの方が緊張しています。特に、診断結果や治療について聞くときは、内容によっては激しいショックや動揺が起こります。このようなときに、医師の説明のすべてを理解するというのは難しいものです。また、説明でよくわからないことがあっても、そのまま聞き流したり、説明が音としては耳に入ってくるのに後で思い返すと全く覚えていないということもあるからです。
また、メモがとれる準備をしておくとよいでしょう。説明を聞きながらメモをとるのは自信がないということであれば、医師に申し出て、説明を録音してもよいでしょう。ただし、内緒で録音をするというのは、どのような場合でも礼儀に反し、相手との関係を損ねる原因にもなります。録音する場合は、必ず医師に断ってから録音しましょう。
2. 気持ちが落ち着いてから、同席した方とわからなかったことを確認する
たとえ、説明前に心の準備をしていたとしても、その場では緊張と動揺で質問する余裕はないかもしれません。その場合は、自宅に戻ってもう1度同席した方と話しながら、わからなかったことを確認し、次回の外来の時などに確認しましょう。ショックや動揺が強い場合は、少し気持ちが落ち着いてからでもかまいません。
同席者と説明された内容を確かめ合うことは、お互いに説明に対する理解を深めることにもなりますし、人に話すことで、自分のなかで説明された内容をもう1度整理する機会にもなります。
(更新日:2019年2月25日)
 (1)国立がん研究センター『がん情報サービス』: http://ganjoho.jp/ 『がん情報サービス』は、国立がん研究センターが運営するがんに関するさまざまな情報を提供するサイトです。トップページからは、病名から探す、がんの治療と生活、制度やサービス、世代別の情報、予防・検診、資料室などで提供されているコンテンツの項目を確認できます。また、医療機関に関しては、がん診療連携拠点病院、小児がん拠点病院、希少がん情報公開専門病院などの検索や施設情報の概要などを確認できます。これまで発行した冊子などは、『資料室』のページからPDFでダウンロードできます。 (2)がん情報サイト:PDQ日本語版(米国国立がん研究所のがん情報サービス) https://cancerinfo.tri-kobe.org/ がん情報サイトには、『PDQ最新がん情報』、『PDQがん用語辞書』、『NCCNガイドライン日本語版』などの情報があります。 『PDQ最新がん情報』は、治療(成人、小児)、支持療法と緩和ケア、スクリーニング(診断と発見)、予防、遺伝学的情報、補完代替医療の情報があり、それぞれ『患者様向け』と『医療専門家向け』の2つのボタンがあり、より詳しい情報は『医療専門家向け』から得られます。 |