公益財団法人ふじのくに医療城下町推進機構理事長

(P10)

挨拶

静岡がんセンター
開設20周年を祝して

公益財団法人ふじのくに医療城下町推進機構
理事長 大坪 檀

 

 20有余年前、世界一の健康長寿県を目指し色々な角度からその実現に向け様々な構想が練られました。先端的ながんセンターを設置し、政策の核としようという案が登場。その設置に当たりその道の有識者が多角的、多面的に侃々諤々(かんかんがくがく)の議論を展開。がんセンターは“患者と患者の家族のため” という理念を掲げ、日本一のがんセンターとなることを標榜するとともに、このがんセンターが静岡県の医療産業を中心として高付加価値産業の集積地を生み出し、発展させることも重要な役割とし、アメリカのシリコンバレー構想に対抗してファルマーバレープロジェクトが誕生しました。
  ファルマーバレープロジェクトは石川嘉延静岡県知事(当時)のリーダーシップで始まり、川勝平太知事の積極的な支援と、山口建総長の識見、展望と英邁なリーダーシップの下に大発展してきました。あっという間の20余年。サンフロント21懇話会など地元財界人、市町村の政界、行政団体も団結、このプロジェクトを支えてきました。継続はカなりといいます。がんセンターは日本の3大がんセンターの一つとなり、見渡すと富士山を背景にがんセンターがそそり立ち数々の医療産業の立地も始まり、まさに医療城下町がこの静岡県東部に誕生しその成果が注目を浴びるほどになりました。地元長泉町には高所得の職業が誕生、働く雇用環境が一転、税収が好転し、富士山を見上げるモダンなガーデン都市が出現。この勢いが静岡県東部一帯に広がりだし、奇跡の長泉と呼ぶ人もあるくらいで地方創生のモデル、まさに ーに出現の感があります。このプロジェクトに新たに参人した地域企業は48社、製品開発件数は160件。旧県立長泉高校が転活用されて創設されたファルマバレーセンターには10企業が人居し、年間300億円規模の製品開発が行われています。令和に入って山梨県と医療産業政策に関する連携協定が締結され、メディカル・デバイス・コリドー推進計画が誕生、ファルマーバレープロジェクトの活動範囲が広がりプロジェクトのもたらす成果、影響も一層拡大、発展するものと期待されることになりました。このプロジェクトの推進には静岡県立大学をはじめ日本のリーディング大学、国立遺伝研の研究者も当初から多数関係し、知見、経験を提供してきました。プロジェクトの進行評価、計画策定は定期的に様々な分野の専門家、経済人で構成される委員会で行われ、現在第4次戦略計画の推進にあらたな第一歩を踏みだしたところであります。
  期待されるのは次の20年間。日本は健康長寿、人口減少、人生100歳時代のパラダイム転換の時代に入ります。グローバル化が一層進展し、世界が日本の活躍の場になります。日本のがんセンターから世界一のがんセンターになります。世界一のがん専門大学院大学を設置し、世界中のトップクラスの医療人材が集う地帯、世界クラスの医療機器、医薬品産業、研究開発産業、人材・産業育成機関などが集積する世界一の医療産業の集積地、ファルマーバレーがこの静岡県東部に出現することをお願いしたいと思います。
  がんセンターの設立20周年に当たり、20年の歴史を振り返り、次の20年を展望し、長年にわたり山口総長をはじめ多くの政財界人、地域人、関係者の本プロジェクトの推進に払われた情熱と御努力に敬意を表しご挨拶とさせていただきます。

 

 

静岡がんセンター・ファルマバレープロジェクト 20年のあゆみ

静岡がんセンター・ファルマバレープロジェクト 20年のあゆみ