静岡県知事・静岡県立静岡がんセンター開設者

(P7)

挨拶

静岡がんセンター
開設20周年を迎えて 

静岡県知事
静岡県立静岡がんセンター
開設者 川勝 平太


 静岡県立静岡がんセンターが開設20周年を迎えたことを機に、これまで静岡がんセンターの運営に携わられた方々とご支援を賜りました関係の皆様に、改めて感謝の意を表します。
 静岡がんセンターは、理想のがん医療の実践を目指し、21世紀における本県のがん対策の中枢を担う高度専門医療機関として2002年4月に開設されました。以来、基本理念に「患者さんの視点の重視」を掲げ、先端医療の実践とともに、患者さんやご家族の心のケアを重視した診療、研究活動を進めてまいりました。その結果、国立がん研究センター、がん研究会有明病院と並び、我が国の高度がん専門医療機関のトップスリーの一角を占めるに至り、特定機能病院、静岡県がん診療連携拠点病院、がんゲノム医療中核拠点病院等にも指定され、世界的にも高く評価されています。また、患者さんやご家族の心のケアに関しては、2012年、朝日がん大賞を受賞するなど、本県が誇るべき医療機関へと成長を遂げました。
 静岡がんセンターでは、この20年間に、静岡県民15万人を含む、17万6千人の患者さんの診療に携わり、多くの方々の命を救ってきました。こうした活動によって、県民の皆様から信頼され、がん患者さんの心の支えとなっています。
 静岡がんセンターの基本構想策定時に、並行して進められましたのが「富士山麓先端医療産業集積構想(ファルマバレー構想)」です。2 3年には、プロジェクト推進の支援機関であるファルマバレーセンターを開設し、地域の民産学官が協働して、静岡がんセンターを核とした医療城下町の構築を推進し、本県の医薬品・医療機器生産額を全国トップレベルにまで引き上げてきました。
 現在、ほぼ完成形に近づいた「医療城下町」を発展させ、地域住民を中心に据えた「医療田園都市構想」を策定中であります。先ごろ、本県は文化庁から「2023年東アジア文化都市」に選定されました。富士・箱根山麓や伊豆の豊かな自然、温泉、歴史・文化を有する本県東部地域を中心に、医療田園都市構想が推進されますことは、アジアの国々に向け多様な文化を発信する東アジア文化都市の礎づくりにつながります。
 また、県民の皆様が、温暖な気候と豊かな自然環境に恵まれた田園に居を構え、都市の便利さと医療・福祉・介護の充実を併せ持つ暮らしを享受する超高齢社会における理想郷の実現を目指してまいります。さらに、その一環として、静岡がんセンターの更なる発展を目指し、がん研究をテーマとした医科系大学院の整備についても検討を開始しております。
 今後も静岡県は、静岡がんセンターをはじめ多くの医療機関を中心に、地元市町、産業界、県民の皆様方と協働し、本県の医療と健康産業の発展に向けて努力してまいりますことをお誓い申し上げ、私からの挨拶といたします。

静岡がんセンター・ファルマバレープロジェクト 20年のあゆみ

静岡がんセンター・ファルマバレープロジェクト 20年のあゆみ