看護技術開発研究部
がん患者さん主体のケアを実現する研究をします。
研究内容・課題
研究内容(目的)
近年のがん薬物療法は、大多数が通院治療に移り変わっているため、がん患者さんやご家族は、自宅で副作用に対処しなければなりません。その身体的・精神的な負担はますます大きくなっていることが、「2013年がん体験者の悩みや負担に関する実態調査」より明らかとなりました。
患者さん中心のケアの充実・拡大を推進するため、がん患者さんの積極的な治療参加が重要です。そのためには、患者さんに必要な情報や技術を、適切な時期に提供する必要があります。
私たちは、患者さんにとってどのような情報がいつ必要かを、またどのように提供し支援したらよいかを研究しています。
がん治療・療養に関する情報提供や技術支援について多角的に検討し、患者さんの自主性を尊重したケアの充実と不安や悩みの軽減を図ります。
研究課題(目的を達成するための方法)
患者家族支援―患者さんが知っておかなければならない情報の提供
情報処方
「情報処方」とは、「患者さん・ご家族が、知りたいこと、知っておかなければならない情報を適確に提供する」と、静岡がんセンターでは定義しています。
今や、患者さん・ご家族が医療に関する情報を簡単に入手できる環境にありますが、情報があふれ、必要な情報や正しい情報を見極めにくいとも言えます。
そこで「情報処方」のコンセプトのもと、現場の医師、看護師、薬剤師らの協力を得て、がん薬物療法に関して、治療内容、期待される効果、起こりうる副作用の種類や時期、病院連絡が必要な目安、副作用対処の工夫など、患者さん・ご家族に行う説明を1冊にまとめ、かつ知っておいていただきたい情報を含むフォーマットを完成させました。がんの種類と療法別に説明書を作成し、病院で運用しています。また、ホームページでも公開中で、全国の患者さん・ご家族、医療者に活用いただいています(下記ホームページコンテンツ:処方別がん薬物療法説明書【患者さん向け】)。
新しい治療薬や療法が登場し、医療や情報を取り巻く状況は刻々と変化しています。また、通院で治療を行う患者さんが増え、副作用の予防や早期発見をするには、患者さん・ご家族に、より主体的に取り組んでいただく必要性が大きくなっています。
このような情報資材の活用は、医療者とのコミュニケーションや、患者さん・ご家族のセルフケア向上に役立つと考えており、適切な情報支援となるよう、フォーマットの検討や情報更新を行っています。
研究スタッフ
看護技術開発研究部 部長 北村 有子(きたむら ゆうこ)
y.kitamura | ||
専門分野 | がん看護、療養支援に関する研究 |
看護技術開発研究部 主任研究員 山本 洋行(やまもと ひろゆき)
h.yamamoto | ||
専門分野 | がん看護 |