「がん体験者の悩みQ&A」では、2003年と2013年に実施した全国調査結果を整理して構築したがん体験者の悩みデータベースを公開しています。このデータベースに基づき、がん体験者の方々の悩みや負担をやわらげるための助言や日常生活上の工夫などの情報ツールの作成等を行っています。
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治療を待つ間に病状が進むかもしれない不安
手術までの日数がとても長く感じられつらかった。
15件の体験者の声があります。
- (患者本人、40代、女性、乳房、2003年版)手術までの期間が長く感じ、早く手術してもらいたいと思った。
- (患者本人、30代、女性、乳房、2003年版)診断から手術まで1ヶ月以上待った。その間診察は1回もなく、ただただ手術日を待ち続け、不安でいっぱいだった。
- (患者本人、60代、男性、大腸、2003年版)がんが見つかり手術することが決まったが、3か月以上説明がなく待たされ、心配した。
- (患者本人、50代、男性、胃、2003年版)手術までの予約、空き待ちが2ヶ月もあり、その間不安であった。
- (患者本人、60代、女性、肺、2003年版)身体が丈夫なことだけが自慢だった自分が「がん」の告知を受けた時のショックは言葉に表せない。手術までの3週間に10㎏ほど体重が減ったことでもどれ程悩んだか、今思い出すだけでも辛い。
- (患者本人、70代、男性、肺、2003年版)がんと診断され、その4ヶ月後に手術を受けた。この間が長かったので、がんが進行するのではないかと不安だった。部屋が空くのを待つ期間をもっと短縮して欲しい。
- (患者本人、60代、女性、乳房、2003年版)早く手術して欲しいと思った。
- (患者本人、40代、女性、乳房、2003年版)手遅れではないのか、治療すれば良くなるのか。手術まで2ヶ月以上あったため、転移のことがすごく心配だった。治療費のことも悩みだった。
- (患者本人、50代、女性、卵巣・卵管、2003年版)精神的な落ち込み。手術待ちが1ヶ月以上もあった。接客業のため、お客様には病気のことをひたすら隠し続けることが苦しかった。
- (患者本人、50代、女性、乳房、2003年版)主治医がどのような経歴や生活をしているのかわからなかった。自分の病気がすごく悪性なのではないか等悩んだ。診察から手術まで1ヶ月以上あったため、その間が精神的にとても苦しかった。
- (患者本人、40代、女性、卵巣・卵管、2003年版)仕事をどうするかはもちろんのこと、大きい病院であればあるほど、医師と入院手続きは別のところで管理しており、医師はすぐ入院せよと言うし、部屋は空いていない、というようなところで歯がゆい思いをした。早期発見と言いながらも、実際に手術したのは1ヶ月後、経過等について説明が欲しかった。
- (患者本人、50代、女性、乳房、2003年版)がん=死というイメージが強く、夜も眠れなくなり、食欲もなく、常に頭の中をがんという恐怖が駆け巡っていた。手術までの日数がとても長く感じられつらかった。
- (患者本人、50代、女性、乳房、2003年版)診断から手術を受けるまで不安が強く、食欲もなく不眠状態だった。術後まもなくの時期も転移の有無などについて不安だった。
- (患者本人、60代、男性、甲状腺、2003年版)かかりつけの病院で異常を発見し、即がんセンターに紹介され診断を受けてから手術待ちに1ヶ月半を要した。この間の精神的不安等が辛かった。
- (患者本人、60代、女性、咽頭・喉頭、2003年版)診断されてから手術まで3ヶ月かかった。もっと早く手術して欲しいことを何度も話したが、順番だからと言われた。他の病院も考えたが、また検査から始めなければならないのかと思って、待ち続けた。その間が気持ちの上で1番苦しかった。
手術までの間に病巣が広がらないかと不安だった。
7件の体験者の声があります。
- (患者本人、60代、女性、肝臓、2003年版)診断後、手術までの期間が長く、病気の進行が気になって辛かった。手術前の医師の説明で「肝臓は早く転移する。また肝臓がんになっても手術はできない。」とつとつと説明を受けた途端、希望の一部が消え、頭の中が真っ白になった。死だけが頭に残った。
- (患者本人、60代、女性、胃、2003年版)検査後、手術日が待ち遠しかった。
- (患者本人、60代、男性、胃、2003年版)早期発見で良かったが、手術の順番を待つ間が2ヶ月位あったので、この間に病状が進行しないのか心配だった。がん=死という重いが強く、色々の体験談や情報、み時間な死亡説に振り回され、どうしたらよいのかわからなくなってしまった。
- (患者本人、60代、男性、膀胱、2003年版)手術までに期間があったので、進行してしまうのではないかと不安になった。
- (患者本人、50代、女性、乳房、2003年版)手術までの1ヶ月、がんの進行に対する不安。長期に渡って仕事を休むことへの不安。特に抗がん剤を使うようになった場合の長い入院生活と脱毛などの身体的影響について心配した。
- (患者本人、40代、女性、乳房、2003年版)手術まで半月あったので、その間に病巣が広がらないか不安だった。手術後他への転移(臓器、リンパ節、骨)があったかどうか、手術後の後遺症はどの程度あるか、放射線治療の影響はどの程度か、抗がん剤治療(薬剤)で髪が抜けてしまう時嫌だろうな、どれくらいしたら髪が戻るのかなど悩んだ。
- (患者本人、50代、女性、乳房、2003年版)手術まで1か月以上あったのだが、その間どんどんがんが大きくなっていくみたいな錯覚があり不安だった。
抗がん剤治療が始まるまでの20日間、何の治療もなく、その間に転移でもしていないか毎日心配だった。
1件の体験者の声があります。
- (患者本人、70代、女性、肺、2003年版)抗がん剤治療が始まるまでの20日間、何の治療もなく、その間に転移でもしていないか毎日心配だった。
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患者さんの多くは、「がんは進行する病気」という認識があるため、がんと診断されると、一日も早く治療を始めなければと追い込まれた気持ちになることがあります。ただ、一部の例外を除いて、多くのがんは長い年月をかけて成長し、急激に大きくなることは少ないと考えられていて、何年もの時間を経て大きくなっているといえます。
ですから、慌てずに治療方法を十分に理解し、自分で納得して治療を受けることが大切です。
治療開始までの間(あるいは入院待機をしている間)、不安が全くなくなるというのは難しいかもしれません。ただ、その間であっても、あなたは、今かかっている病院の患者であり、担当医はあなたの主治医です。あなたは一人ではなく、あなたのための準備も進められています。
【治療前の検査】
治療開始までの期間には、治療の前段階として治療のために必要な全身状態の検査などを進めていきます。以前は、入院してから実施していた検査も、現在、多くは入院までに外来で行われ、入院期間は短くなっています。これらの検査は、治療をより的確に安全に行うために必要で大切な検査です。
治療前に行う検査では、がんの性質や大きさ、転移の有無や状態、臓器の機能(肺機能、心機能、腎機能、肝機能など)、併存疾患(糖尿病、高血圧、心疾患など)の有無やそのコントロール状況などを調べ、患者さんにとって、どの治療が一番効果を期待できて(プラス面)、危険性、副作用や障害など(マイナス面)が少なくなるのかを検討します。
ですから、治療を待つ間は何もしていないというわけではなく、治療に向けてのスケジュールはその間も進められています。
【自分ができることをする】
手術や入院を待つ間、あるいは治療開始前の検査期間が長く感じられ、『「がん」があるのに、何もできない』もどかしさもあると思います。
けれども、この時期にも、あなた自身ができることがあるはずです。それは、人によっては、治療に向けて体調を整え、こころもからだも最善の状態で治療を受けることができるようにする(栄養をできるだけバランスよくとること、十分睡眠をとることなど)、自分が入院している間の仕事や家事の調整をする時間、病気や治療について理解する時間など、さまざまだと思います。
【何をしても気持ちが落ち着かないとき】
それでも、不安が強く気持ちが落ち着かないときには、その気持ちを誰かに打ち明けてみましょう。
全国のがん診療連携拠点病院のがん相談支援センターには、あなたのつらさや不安な気持ちをじっくり聴いてくれるがん専門相談員がいます。がん相談支援センターの情報は、『国立がん研究センター がん情報サービス』の『』の『相談先・病院を探す』ページで確認することができます。がん相談支援センターが設置されている病院にかかっていなくても、相談できます。相談員は、患者さんやご家族のいろいろな不安や悩みを聴き、問題を整理するお手伝いをしたり、必要な情報を提供したりしています。病気や治療について、今後の療養や生活のことが心配などの、質問や相談にお答えしています。
また、ご家族や親しいお友達でもいいですし、あなたがこころを許せる人、気持ちを話せる人に、つらさを口に出してみましょう。
待っている期間はつらいかもしれませんが、一人ではありません。
(最終更新日 2024年6月10日)
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