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治療を待つ間に病状が進むかもしれない不安



助言


患者さんの多くは、「がんは進行する病気」という認識があるため、がんと診断されると、一日も早く治療を始めなければと追い込まれた気持ちになることがあります。
ただ、一部の例外を除いて、多くのがんは長い年月をかけて成長し、急激に大きくなることは少ないと考えられていて、何年もの時間を経て大きくなっているといえます。
ですから、慌てずに治療方法を十分に理解し、自分で納得して治療を受けることが大切です。

治療開始までの間(あるいは入院待機をしている間)、不安が全くなくなるというのは難しいかもしれません。ただ、その間であっても、あなたは、今かかっている病院の患者であり、担当医はあなたの主治医です。あなたは一人ではなく、あなたのための準備も進められています。

【治療前の検査】
治療開始までの期間には、治療の前段階として治療のために必要な全身状態の検査などを進めていきます。以前は、入院してから実施していた検査も、現在、多くは入院までに外来で行われ、入院期間は短くなっています。これらの検査は、治療をより的確に安全に行うために必要で大切な検査です。

治療前に行う検査では、がんの性質や大きさ、転移の有無や状態、臓器の機能(肺機能、心機能、腎機能、肝機能など)、併存疾患(糖尿病、高血圧など)の有無やそのコントロール状況などを調べ、その患者さんにとって、どの治療が一番効果が期待でき(プラス面)、危険性、副作用や障害などが少なくなる(マイナス面)のかを検討します。
ですから、治療を待つ間は何もしていないというわけではなく、治療に向けてのスケジュールはその間も進められています。

【自分ができることをする】
手術や入院を待つ間、あるいは治療開始前の検査期間が長く感じられ、『「がん」があるのに、何もできない』もどかしさもあると思います。
けれども、この時期にも、あなた自身ができることがあるはずです。それは、人によっては、治療に向けて体調を整え、こころもからだも最善の状態で治療を受けることができるようにする(栄養をできるだけバランスよくとること、十分睡眠をとることなど)、自分が入院している間の仕事や家事の調整をする時間、病気や治療について理解する時間など、さまざまだと思います。

【何をしても気持ちが落ち着かないとき】
それでも、不安が強く気持ちが落ち着かないときには、その不安な気持ちを誰かに打ち明けてみましょう。
全国のがん診療連携拠点病院のがん相談支援センターには、あなたのつらさや不安な気持ちをじっくり聴いてくれるがん専門相談員がいます。そこの病院にかかっていなくても、相談ができます。国立がん研究センターの<がん情報サービス>で、各拠点病院にあるがん相談支援センターの詳しい情報もみることができます。
また、相談員は、患者さんやご家族のいろいろな不安や悩みを聴き、問題を整理するお手伝いをしたり、必要な情報を提供したりしています。病気や治療について、今後の療養や生活のことが心配などの、質問や相談にお答えしています。
また、ご家族や親しいお友達でもいいですし、あなたがこころを許せる人、気持ちを話せる人に、つらさを口に出してみましょう。
待っている期間はつらいかもしれませんが、一人ではありません。

(更新日:2019年11月11日)


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