情報・知識不足による治療選択の難しさ

医師の説明を聞き、治療方法についてどの治療方法が良いか分からず、知識がないため決断できず悩んだ。
3件の体験者の声があります。
治療の選択をするよう言われたが、情報も時間も無く動転している状態では難しかった。
2件の体験者の声があります。
事前に正確な知識を得て、落ち着いて治療法を選択すべきだったと後悔した。
1件の体験者の声があります。
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情報や知識不足で悩んでいるあなたにとって、大切なこと】
●あなたにとって一番頼りになる情報源は、今のあなたの主治医です
●治療選択が難しい、病気や治療の情報を十分理解できないなどのときは、『双方向性の情報』(言葉のやりとり、情報のやりとりができる)をうまく活用しましょう。インターネット、書籍、雑誌などの情報は、一方向性の情報なので、誤解や曲解を招くことがあります。
●まず、あなたのがん(部位、病気の状況など)の標準治療を知りましょう。国立がん研究センターのがん情報サービスによると、「標準治療とは、科学的根拠に基づいた観点で、現在利用できる最良の治療であることが示され、ある状態の一般的な患者さんに行われることが推奨される治療」です。標準治療を知るには、国立がん研究センターの「がん情報サービス 」の情報が参考になるでしょう。がん情報サービスは、インターネットを通じた一方向性の情報ですが、主治医の情報の再整理、確認や理解をするのに役立ちます。
●主治医以外の双方向性の情報源は、あなたがかかっている診療科の看護師、がん相談支援センターのがん相談員などです。がん相談支援センターは、全国のがん診療連携拠点病院に設置されています。

【頼りになる情報源であるあなたの担当医(主治医)】
治療を選択するときに、病気や治療の知識や情報が少ない、あるいは、ないから選べないと感じたとき、一番頼りになる情報源はあなたの担当医です。
がんは、たとえ同じ場所にできたものであっても、性質や状態は人それぞれです。医師はがんに関する知識をたくさん持っていますが、なかでもあなたの担当医は、『あなた自身の病気』の特徴を一番正確に知っています。不明な点や疑問点については、きちんと確認するようにしましょう。

その前に、もう一度、担当医からの説明を振り返り、ノートに書き出してみましょう。こうすると、頭の中をもう一度整理することができ、わかっていること、不明なことがより明確になると思います。
また、治療を選択するには、ご自身の病気の状況、からだ全体の状況、治療について、理解することが必要になります。医師から説明用紙や説明用パンフレットなどをもらっているときは、それも見ながら頭の中を整理するとよいでしょう。

頭の中を整理するためのポイントをいくつかご紹介します。

1. なぜその治療が提示されたのか、 なぜその治療が必要なのか
◎ 担当医は、患者さんのがんの性質や進み具合、心臓、肺、腎臓などの重要臓器の状態、糖尿病や高血圧などの併存する病気があるかどうか(それらは現在コントロールされているか、どのような状況なのか)、その他体全体の状況などを十分考慮した上で、治療法を説明します。
治療を決める時には、現在の病気の状況、自分の体全体の状況を十分理解する必要があります。

2. 治療の効果
◎ 治療の効果はどのくらい期待できるのか。
◎ 治療の目標はどこにあるのか。

3. 治療の副作用、合併症など
◎ 手術であれば、手術の危険性、合併症、後遺症の起こる可能性はどうか。どのような症状や障害などが起こる可能性があるのか。
◎ 薬物療法や放射線療法では、どのような副作用がいつ頃起こり、どのくらいの期間続くのか。
◎ 副作用に対して、どのような予防策や対応策があるのか。
◎ 今後の日常生活や社会生活(仕事など)に、どのような影響が出ると考えられるのか。

4. 治療のスケジュール
◎ 通院治療なのか、入院治療なのか。
◎ どのようなスケジュールになるのか
手術の場合:およその入院期間、手術はいつ頃かなど
放射線治療の場合:何回実施するのか。何週間くらいかかるのか。
薬物療法の場合:全体のスケジュール

5. 治療の費用
◎ どのくらい費用がかかるのか
薬物療法の場合は、1ヶ月にどのくらいかかるか、あるいは1回(1コース)の治療でどのくらいかかるか。
◎ 保険適用なのか、保険適用外の自費診療になるのか。

6. 日常生活や社会生活とのかねあい
◎ 仕事、家事・育児、趣味、結婚、性機能(卵巣や精巣などの性腺機能、子宮や精巣などの生殖臓器の喪失などの性機能への影響)など、日常生活や社会生活の中で、治療により影響が出ると考えられることは何か。
◎ 治療中に制限されること、できることとできないことは何か(食事や行動など)。

7.自分が大切にしていることへの影響
◎ 治療により、自分のこれからの仕事、趣味、生き方などに影響があるかどうか。
例) 医師からの治療による副作用の説明で、末梢神経障害の可能性の話があった。
   指先を使う仕事をしているが、仕事は続けられるだろうか、など

8. その他
◎ 通院の際の交通手段、交通費はどうか。

このように、治療の選択を検討する際、その治療による自分にとってのプラス面(その人自身にとって、あるいは病気をコントロールするうえで良いこと)だけではなく、マイナス面(副作用、危険性、合併症の可能性、日常生活や社会生活への影響のことなども含めて、その人自身のからだ、こころ、暮らしなどさまざまな側面のどこかにマイナスの影響や変化が出る可能性)も含めて考える必要があります。
まず、今あなたが理解している現在の病気の状態と、提示されている治療方針の内容について、整理してみましょう。

【担当医にもう一度説明をうけるための準備】
あやふやな点やわからない箇所をもう一度確認したいとき、担当医に質問する前に、自分なりに準備をしましょう。
なぜなら、担当医に診察(説明)時間を少し長く取ってもらうことを、いつもお願いできるとは限りません。
ある患者さんの診察の時間を長くすれば、その分だけ、別の患者さんの診察の時間が短くなってしまうことは避けられません。一般的には、すべての患者さんについて、診察の時間そのものを延ばすのは、なかなか難しいというのが現実です。

そこで、次のようなことをお試し頂くことを提案します。

(1)聞きたいこと、相談したいことはメモにまとめて持参し質問する
メモ作りは、自分の頭の中を整理するのにも役立ちます。できるだけ簡潔に箇条書きでまとめ、質問の優先順位を決めて作ってみましょう。当日、担当医の時間が特に限られているようであれば、作ったメモを渡して、後日話を聞くとこともできます。また、質問はいっぺんにたくさんするのではなく、3つくらいにまとめるのがよいでしょう。

2. 医師から説明を受けるときは、誰かに同席してもらい、わからなかったことを確認しあう
特に診断結果や治療方針について説明を聞くときは、内容によっては激しいショックや動揺が起こります。このようなときに、医師の説明のすべてを理解するというのは難しいものです。しばらくして少し気持ちが落ち着ついたときに、話の内容を同席者と確認してみましょう。

3. 話の内容をメモや録音機で記録する
医師の説明を聞くときには、メモを用意し重要だと思ったことなどをメモしましょう。説明を聞きながらメモをとるのは自信がないということであれば、医師に断ってから、説明を録音するという方法もあります。ただし、録音する際には、内緒にするというのは礼儀に反し、その医師との関係を損ねる原因にもなります。医師に事前に断りを入れましょう。

4. わからない言葉があれば、途中でも確認する
医師はなるべく患者さんにわかりやすい言葉を用いるようにしていますが、無意識に専門用語を使用していることがあります。わからない言葉や内容があったら、医師の説明の途中でも、どのような意味か確認しましょう。[わかったつもり]になってそのままにしておくのは、よくありません。
特に、診断結果やこれからの治療方針などの説明では、たくさんの情報が提供されます。その情報は、あなたがこれから医療をうける上で重要な情報であり、情報を理解し納得することが次への一歩になります。
医師の説明の途中で、話を中断するのは申し訳ないと思う人もいるかもしれませんが、医師が説明している内容は、あなたの体のことであり、あなたがこれから受ける治療のことです。「すみません、ちょっと今の説明でわからないところがあるので、教えていただけますか」と断りを入れてから、確認するとよいでしょう。

5.説明の際、もらった資料や医師が説明の際に用いた用紙に記載された内容などを自宅に戻ってから確認する
診察室で説明を受けたときにはわかったつもりだったのに、自宅で説明用紙を見直すと、つながりや単語の意味などがわからないということがあります。もう一度見直し、わからない点を確認したり、自分のメモと比べてみましょう。

【その他の情報源】
がんや治療の情報や知識は、多くの方の場合、日頃から詳しいわけではありません。テレビや雑誌、インターネット、新聞などのメディアの情報、有名人のがんにかかったことやその後の闘病に関する情報、身内など近い方のがん闘病から抱いているがんや治療のイメージなどが多いのではないでしょうか。ただし、それらの情報は、断片的な記憶、また主観やイメージが中心の情報となっていることがほとんどです。
さらに、医師から説明を受けて、その場で医師や他医療者と同じレベルの理解を得られる人というのは、なかなかいません。たとえ、患者さんが医療者であっても、「がん」という言葉からくる社会的なイメージが先行し、心が揺さぶられ、頭で理解しようと思っても心がそれを拒むという状況が生じることがあります。

一般的な情報として、ご自身のがんの治療法について書かれた本を読んだり、雑誌や新聞、インターネットなどで調べたりする方法があります。ただし、インターネットで得た情報や本や雑誌などに書かれている内容がそのままご自身にも当てはまるとは限りません。いろいろな側面から考え、実際に治療を受ける自分自身が納得することが大切です。
また、インターネット、本、雑誌などで収集した情報は[一方向性]なので、その情報が正しいかどうか、きちんと理解できるかどうかなどは、情報収集した人の情報処理能力(情報について正しく判断し活用する能力)によって異なります。
これらの情報の中には、古い情報、根拠の全くない情報、誤解を与えるような情報、営利目的で作られた情報、主観的な情報などがあります。
すぐにうのみにするのではなく、以下の3点を意識しながら情報収集しましょう。

◎ 情報発信者(提供者)が明確になっているか
◎ 情報は新しいものか
◎ 一方的に偏った情報ではないか (良いことばかり書いてある)  など

情報はただ収集するだけでは意味がありません。収集した情報と自分が現在持っている情報を照合して、情報を吟味し、自分の理解を深めていく必要があります。振り返るためにも、一番望ましいのは、情報のやりとりができる[双方向性]といえるでしょう。また、人に話すことで自分の頭の中が整理できることもあります。そういった意味では、[がん相談支援センター]を活用してみるのもよいでしょう。

<がん相談支援センター>
全国のがん診療連携拠点病院には、がん相談支援センターが設置されています。がん相談支援センターでは、患者さんやご家族のいろいろな不安や悩みを聴き、患者さんやご家族が問題を整理するお手伝いをしたり、必要な情報を提供したりしています。
病気や治療について、今後の療養や生活のことが心配などの質問や相談にお答えしています。相談員は、研修を受けた看護師や社会福祉士、心理療法士などです。相談方法は、面談、電話相談、電子メールなどありますが、病院によって相談方法も異なり、また予約が必要な場合もあります。がん相談支援センターの情報は、国立がん研究センターの「がん情報サービス」で確認することができます。
相談支援センターの名称は医療機関によって異なる場合があります。

<インターネット>
インターネットには多くの情報があふれていますが、玉石混淆です。インターネットから情報を得ることに慣れていない場合や、医療に関してほとんど知識がない場合は、まず公的機関が発信する情報を中心に情報を探しましょう。病気や治療の情報に関しては、まず国立がん研究センターの「がん情報サービス」、あるいは「がん情報サイト」(アメリカの国立がん研究所が配信するがん情報を日本語に翻訳し、ネットで公開している)で確認してみましょう。

<書籍>
情報の新しさや量の面では、インターネットに一歩追いこされてしまった書籍ですが、有力な情報源であることには変わりありません。特に、一つの事柄についてじっくりと考えたり、いくつかの資料を比較して考えたりする際には、手元に置いておける利点があります。ただし、発行年数から時間がたっている書籍に掲載されている情報(診断、検査、治療など)は、古い情報の場合があるので注意しましょう。また、書籍によっては、効果がない治療を効果があるように記載したり、根拠のない内容であったり、良いことばかり記載していたりするものもあるので、十分な注意が必要です。

<雑誌・新聞>
雑誌や新聞では、新しい情報を、書籍よりもすばやく読むことができます。
雑誌については、専門的な情報を一般の人にも、わかりやすく書いてあるものも刊行されています。書店で読みやすい雑誌に出会ったら、病院の患者図書室や図書館でバックナンバーを調べてみるのもよいでしょう。ただし、これも書籍やインターネットの情報と一緒で、誤解を招くような情報、科学的な根拠がない情報の場合もあるので、注意が必要です。

<テレビ>
画像や音が伴うテレビからの情報は、印象に残りやすいものです。ただし、録画でもしない限り、放送が終われば内容を確かめられなくなります。情報にふりまわされないように、放送内容が本当にあなた自身の病気に関係していることなのかどうか、注意しながら見るようにしましょう。また、まだ試験段階のものであっても、一部分を強調したような表現をする場合もあり、誤解しやすいことがあります。

以上のほか、いわゆる口コミも情報源の一つといえます。ただし、口コミは個人的な体験や感想、思いが入っています。本当にあなたの体や病気の状態に適したものであるのか、科学的な根拠があるのか正確さや適切さの点で、注意が必要だということは忘れないようにしましょう。

【セカンドオピニオン】
セカンドオピニオンというのは、直訳すると『第2の意見』で、『診断や治療方針について、現在の自分の担当医以外の医師の意見を聞き、参考にすること』をいいます。
セカンドオピニオンを受ける際には、担当医に「セカンドオピニオンを受けたい」とはっきりと申し出ることと、セカンドオピニオンは病院を移るのではなく、他の医師の意見を聞くことであることをよく理解しておくことが大切です。



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●静岡がんセンター「よろず相談
●お近くのがん診療連携拠点病院の「がん相談支援センター
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