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【治療について】
治療法や治療に伴うつらさなどへの不安や悩みがある場合、その根底には治療への理解が不十分であったり、未知の事柄への漠然とした不安があったりします。
そこで、納得いくまで担当医にわからない点を確認したり、がんや治療法について書かれた本を読んだり、インターネットで調べたりしてみましょう。治療法については、期待できる効果、副作用、起こりうる合併症、他の治療法と比べたときの利点や欠点などをまずよく理解することが大切です。
『国立がん研究センター がん情報サービス』は、国立がん研究センターが運営するがんに関する「確かな」情報(信頼できる情報)を提供するサイトです。がんの部位や診断名による解説、診断や治療、生活や療養に関する情報、制度やサービスに関する情報などの他、『地域のがん情報』では、都道府県別のがんに関連した情報へのリンクなどがあります。
【入院期間】
どういう治療をするのか、どういう病状なのかなどによって入院期間は異なりますが、大体この治療であれば、このくらいという目安はあります。現在では、どこの医療機関でも、入院期間は短縮されてきていますが、医療機関によっても、少し差はあります。
入院が決まった際に、入院期間がどのくらいか、およそのところを担当医に確認してみましょう。また、それ以外にも、入院に際し、疑問な点、確認しておきたい点は、メモなどに箇条書きであらかじめ整理しておき、きちんと確認しておきましょう。
【入院前の手続きなど】
初めて入院される方は、いろいろな不安を抱えていらっしゃると思います。不安を軽減するためにも、入院のおおまかな流れを知っておくとよいでしょう。
まず入院が決まると、入院の手続きをします。その際、入院案内などのパンフレットをもらい説明を受けます。個室を選択する場合は、差額ベッド代を確認しておきましょう。差額ベッド代は、二人部屋等でもかかることがあります。入院に必要な物、入院費用など、気になることがあれば質問し、説明を受けましょう。
入院日決定の連絡があるまでは、どのように過ごせばよいのか不安かもしれませんが、体調を整えるなど身近な目標を設定して日々を送りましょう。
◎病室、持ち物などの説明を受ける
◎入院案内、手術(検査)同意書などの書類を読み、署名する
◎入院に必要な物を準備する
◎入院中の調整が必要なものがないか確認し、調整する(家事の代行、仕事の調整、お子さんの世話、介護の代行など)
【家族のこと】
入院になると、これからの治療といった自分自身の身体面のほかに、家族や仕事関係などの心配が増すと思います。特に、家庭内で自分が担っていた役割に関して不安になり“家族に迷惑をかける”と思う患者さんは多くいらっしゃいます。
けれども、家族というのは、誰か一人が支え、その責任を果たしているのではありません。入院中の家事についてなど、家族とよく話し合い、決めていくことが大切です。ご家族だけでの解決が難しいときは、病院の相談室などで相談してみましょう。
また、入院中の調理などの家事を他のご家族にまかせる場合でも、食事がつくりやすいように、買い置きできるものは買い置きして整理しメモをしておくとか、どこに何をおいているかメモにしておくとか、工夫してみてもよいでしょう。何かをすることは、落ち着かない気分をやわらげるのにも役立ちます。
【仕事のこと】
仕事に関しては、医師からの説明時に、仕事に関しても確認しておきましょう。治療によっては入院するしないにかかわらず、しばらく仕事はお休みするように説明や指示があるかもしれません。また、退院してすぐ仕事復帰できるとは限りません。仕事の内容(事務系、営業系、体を使う仕事など)によっても異なり、もともとのその方の基礎体力、治療によるからだの影響の程度も個人差があります。また、入院して治療、手術予定が入っても入院待ちの期間があるかもしれません。
いつ頃入院できるのか、どのくらいの入院期間なのか等、まず一般的な場合の見通しを確認しておきましょう(ただし、これはそのときの状況でずれることもあるので、まだ目安であることを理解しておきましょう)。
そして、まずその一般的な想定期間の仕事の調整を検討しましょう。入院待ちの間は、基本的には仕事は続けても問題ないと思います。この間に、仕事の引き継ぎ、さまざまな手続きなどしておきましょう。
雇用者の場合、仕事を休む期間、年次休暇とするか、あるいは病休とするかという点もあります。
病気休業中の健康保険加入者とその家族の生活を保障するための制度として『傷病手当金』があります(詳細は、保険証に記載のある保険者にご確認ください)。傷病手当金は、病気やけがで休んだ期間のうち、最初に連続して休んだ3日間を待機期間として、4日め以降に支給されます。支給期間は通算1年6ヶ月です。
ご自分でお店などされているときは、誰にまかせるか、引き継ぎはどうするか、まかせた相手が、仕事をしやすいようにいろいろと説明が必要になるかもしれません。
営業職であれば、得意先にもそれなりの説明をする必要があるかもしれません。ただ、がんの治療と必ずしも言う必要はありません。信頼できる上司と相談してみましょう。
【入院したら】
入院当日、病棟看護師から入院生活や病棟設備について、担当医から検査や治療について、説明があります。わからないことや不安に思っていることは遠慮なく伝えて、十分な説明を受けましょう。また緊張しその場でわからなかったことは後から尋ねても構いません。
適宜、検査や治療のスケジュールに沿って説明が行われます。もし担当医に聞き忘れたことがあれば、看護師に伝えて下さい。
◎入院生活や治療について十分な説明を受ける
◎治療スケジュールを知る
◎入院中の生活スケジュールを知る(食事の時間、検温の時間、消灯の時間、注意事項など)
◎病院のなかの配置を覚える(トイレ、浴室、面会室、洗濯室、売店、公衆電話など)
◎リラックスして過ごす
入院中は、医師はもちろん看護師、栄養士、薬剤師等、いろいろなスタッフが関わります。心配や不安などがあったとき、遠慮なく聞きやすい人に相談してみてください。コミュニケーションをとることが信頼関係を築く第一歩になり、安心して入院生活を送ることにつながると思います。
【入院の費用について】
入院前に、ご自分の治療が全体としてだいたいどのくらいの医療費がかかるのか、医師あるいは会計事務に確認してみましょう。どのくらいお金を準備しておいたらよいか把握しておくことは、安心感にもつながります。
また、1ヶ月にかかる医療費が自己負担限度額を超えそうなときは、自分が加入している保険者(保険証に記載してあります)に問い合わせ、所得区分の『認定証』の交付申請をしておきましょう。
また、加入している民間保険(がん保険、医療保険など)があれば、もう一度保険証書を確認し、不明な点があれば、加入している保険会社の相談窓口に連絡して確認しておきましょう。
どういう条件だと支払われるのか、1日いくら支払われるのか、いつ頃保険がおりるのか、申請手続きはどうなのかなどもあらかじめ確認しておくと安心でしょう。
(最終更新日 2024年6月2日)
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