自分の助言集をつくる
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がんの患者さんの経済的な悩みに関しては、以下で示すような、さまざまな支援制度の活用を検討することができます。
注意しないといけないのは、これらの制度は、無条件に誰でも利用できる、というものではない、ということです。かかっている医療費の金額、からだの状態、家庭の状況など、制度ごとに利用できる条件が決められています。
各制度について、自分の場合に制度が使えるかどうか、問い合わせ窓口に確認するのは大変です。そんな時に力になる専門職がソーシャルワーカーです。
ソーシャルワーカーはあなたの状況をうかがった上で、どの制度が活用できそうか助言し、必要な場合には利用するための手続きを手伝ってくれます。おかかりの病院にソーシャルワーカーがいない場合には、お住まいの地域の近くにあるがん診療連携拠点病院のがん相談支援センターのソーシャルワーカーに相談することも方法です。がん相談支援センターについては、下記のホームぺージで調べてみてください。
![]() 国立がん研究センター『がん情報サービス』:相談先を探す https://ganjoho.jp/public/index.html [相談先・病院をさがす]では、成人や小児の相談先・病院一覧(がん診療連携拠点病院、小児がん拠点病院)を病名や地域、病院の種類などから探すことができます。 |
かっこ内は、その制度の問い合わせ窓口です。
○ 高額療養費制度(保険証、資格確認証、資格情報のお知らせ記載の保険者)
保険診療の対象となる医療費について、1か月に収入に応じて決められている自己負担限度額を超えた場合、その超えた金額が返還される制度です。ただし、マイナ保険証を利用される場合等については、病院の窓口での支払いが自己負担限度額までに抑えることができます。
〇国民健康保険の高額療養費貸付制度(市区町村の担当課、もしくは社会福祉協議会)
医療費が高額で一時払いも難しいとき、国民健康保険の保険者によっては高額療養費貸付制度を持っている場合があります。
この制度は後から払い戻される高額療養費分を先に戻してもらうものであり、借金とは異なります。貸付金と本人負担分を添えて、医療機関にお支払いください。
なお、加入している保険者によって貸付金額は、異なります(高額療養費の8~10割相当額)。また、国民健康保険の保険者によっては受領委任払いを採用している場合もあります。その場合にはまず自己負担分を医療機関にお支払いいただくと、残りの高額療養費の該当分を保険者が直接医療機関に収めることになります。
○ 傷病手当金(保険証、資格確認証、資格情報のお知らせ記載の保険者)
会社員や公務員等の場合、病気の治療や療養のために連続して3日以上仕事を休み、収入を得ることができなかった場合、4日目より健康保険から傷病手当金の給付を受けることが可能であり、通算で1年半まで受け取ることができます。(国民健康保険には傷病手当金の制度はありません)
なお、退職によって被保険者でなくなる場合も、継続して1年以上の被保険者期間があり、退職日に給付を受けているか、または受けられる状態にある場合には、引き続き傷病手当金の給付を受けることができます。
○ 身体障害者手帳(市区町村の担当課)
病気や病気の治療で回復の見込みがない障害が残った場合、身体障害者として認定を受け、取得できます。医療費の助成(障害等級等条件があります)、障害の種類に応じた補装具等の交付、税金の控除、交通機関・公共施設・携帯電話の料金の割引など、さまざまな支援が受けられます。
○ 障害年金(国民年金:市町村役場、厚生年金:年金事務所等)
病気そのものの影響や、病気の治療による障害や全身の衰弱が原因で働くことや日常生活に制限を受けたり、生活上の介助が必要になったりしたときに、生活の保障として利用できる制度です。一部の例外を除き、初診から1年半経過後に申請することが可能となり、初診時に加入していた年金の種類や障害の状況等によって受け取れる年金額が異なります。
○ 老齢年金の繰り上げ支給(国民年金:市町村役場、厚生年金:年金事務所等)
60歳以上であれば、通常65歳から支給される老齢基礎・厚生年金を申請によって繰り上げて受給することができます。ただし繰り上げをした時期に応じて年金額は減額されます。
○ 医療費控除(税務署)
生計を一にする親族の医療費の合計が1年間に合計10万円(所得金額が200万円未満の人は所得金額の5%)以上になった場合、確定申告をすることで所得税等が軽減されます。くわしくは、公開資料『学びの広場 医療費控除のしくみ』をご覧ください。
○ 生活保護(市区町村の担当課)
資産や能力等使えるすべての手段を活用してもなお、生活に困窮する方に対し、「健康で文化的な最低限度の生活」を保障する制度になります。日常生活に必要な生活費や家賃等は現金給付で、また医療費や介護費等についてはサービスを現物給付するというシステムになっています。
実家や娘の支援を受けて「申し訳ない」とのことですが、相手に気持ちを伝えるときには、「ありがとう」と伝えましょう。
現在、男性は2人に1人、女性は3人に1人が、がんにかかると言われています。がんという病気はけっして珍しい病気ではありませんし、あなたがたまたま病気になったことについて、負い目のような気持ちを感じる必要はないでしょう。
手伝ってもらって嬉しい、ありがたい、という気持ちを、感謝の言葉でお伝えになってみてはいかがでしょうか。たとえば仮に、あなたではなく、あなたのご家族の誰かが病気になったことを想像してみてください。あなたが何かお世話をして帰ってくる言葉は、「申し訳ない」よりも、「ありがとう」の方が嬉しいのではないでしょうか。
患者さんが周りの人に負担をかけていると感じているとき、相手の方ではそれを負担に思っていず、むしろ“もっと支えたい”と感じていることも少なくありません。
ただ、一人では気持ちの整理がつかなかったり、周りの人とうまく気持ちを伝えあうことができなかったりする場面も療養生活の中であるかもしれません。そんな時には、おかかりの病院の『相談支援センター』や『医療相談室』にいる相談員と話してみると、一緒に考えてくれると思います。
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なお、個別の回答やご相談は、仕組み上できかねますので、お困りごとやご相談がある方は、下記「がん相談支援センター」をご利用ください。