悩み

お金も底をつき、実家からの助けや嫁に行った娘に大変世話になっていて申し訳ない。



助言


【ソーシャルワーカーに相談してみましょう】


がんの患者さんの経済的な悩みに関しては、以下で示すような、さまざまな支援制度の活用を検討することができます。
注意しないといけないのは、これらの制度は、無条件に誰でも利用できる、というものではない、ということです。かかっている医療費の金額、からだの状態、家庭の状況など、制度ごとに利用できる条件が決められています。
各制度について、自分の場合に制度が使えるかどうか、問い合わせ窓口に確認するのは大変です。そんな時に力になる専門職がソーシャルワーカーです。
ソーシャルワーカーはあなたの状況をうかがった上で、どの制度が活用できそうか助言し、必要な場合には利用するための手続きを手伝ってくれます。もしおかかりの病院にソーシャルワーカーがいない場合には、地域のがん診療連携拠点病院の相談支援センターにソーシャルワーカーがいないかどうか、確認してみてもよいでしょう。


 
参考になるホームページ
国立がん研究センター『がん情報サービス』:相談先を探す
https://hospdb.ganjoho.jp/
成人や小児の相談先・病院一覧(がん診療連携拠点病院、小児がん拠点病院)が掲載されています。

 

【経済的な悩みに関する支援制度の例】


かっこ内は、その制度の問い合わせ窓口です。

○ 高額療養費制度(保険証記載の保険者)
保険診療の対象となる医療費について、1か月の自己負担を一定の金額におさえることができる制度です。くわしくは、当ホームページ『冊子・動画ダウンロード』の学びの広場シリーズ『医療費のしくみ』をご覧ください。

○ 介護保険制度(市区町村の担当課)
65歳以上の介護が必要な方は、市区町村に申請して認定を受けることで、さまざまな介護サービスを1割から3割の自己負担で受けられます(年金収入等が、280万円未満の場合は1割。また、収入により自己負担の割合が2割や3割負担の場合も、月額44,400円の負担の上限があります)。
40歳以上65歳未満の方も、特定の疾病にかかっている場合には利用できます(がんも特定疾病の一つに含まれるので、介護が必要という認定を受けた場合は、介護保険を使ってサービスが受けられます)。

○ 身体障害者手帳(市区町村の担当課)
病気や病気の治療で回復の見込みがない障害が残った場合、身体障害者として認定を受けることで、医療費助成、福祉機器の交付、交通機関・公共施設・携帯電話の料金の割引など、さまざまな支援が受けられます。

○ 障害年金(社会保険事務所等)
加入している年金の種類、障害の程度に応じて、年金や一時金を受給できます。

○ 老齢基礎年金の繰り上げ支給(社会保険事務所等)
60歳以上であれば、通常65歳から支給される老齢基礎年金を申請によって繰り上げて受給することができます。

○ 年金担保貸付事業(独立行政法人福祉医療機構)
年金を受給していて、急にまとまった額のお金が必要になった場合には、受給権を担保に融資を受けることができます。

○ 生活福祉資金貸付制度(社会福祉協議会)
低所得者世帯、高齢者世帯は、福祉費として社会福祉協議会から貸付を受けることができます。民生委員も相談に応じます。

○ 傷病手当金(保険証記載の保険者)
患者本人が会社員や公務員であった場合、病気の療養等で仕事を休んでいる期間、標準報酬日額の3分の2に相当する所得保障を受けられます。条件が整っていれば、退職した場合も引き続き受給できます。支給期間は、支給されるようになった日から通算して1年6か月になります。

○ 医療費控除(税務署)
1世帯で1年間に合計10万円(所得金額が200万円未満の人は所得金額の5%)以上の医療費を支払った場合、申告によって税金の一部が戻ってきます。くわしくは、公開資料『学びの広場 医療費控除のしくみ』をご覧ください。

○ 生活保護(市区町村の担当課)
使える手段をすべて活用したとしても最低限度の生活を保つことができない場合に、足りない部分を補うために、金銭や現物(医療サービスなど)が支給されます。


 

【「申し訳ない」よりも「ありがとう」を】


実家や娘の支援を受けて「申し訳ない」とのことですが、相手に気持ちを伝えるときには、「ありがとう」と伝えましょう。
現在、男性は2人に1人、女性は3人に1人が、がんにかかると言われています。がんという病気はけっして珍しい病気ではありませんし、あなたがたまたま病気になったことについて、負い目のような気持ちを感じる必要はないでしょう。
手伝ってもらって嬉しい、ありがたい、という気持ちを、感謝の言葉でお伝えになってみてはいかがでしょうか。たとえば仮に、あなたではなく、あなたのご家族の誰かが病気になったことを想像してみてください。あなたが何かお世話をして帰ってくる言葉は、「申し訳ない」よりも、「ありがとう」の方が嬉しいのではないでしょうか。
患者さんが周りの人に負担をかけていると感じているとき、相手の方ではそれを負担に思っていず、むしろ“もっと支えたい”と感じていることも少なくありません。
ただ、一人では気持ちの整理がつかなかったり、周りの人とうまく気持ちを伝えあうことができなかったりする場面も療養生活の中であるかもしれません。そんな時には、おかかりの病院の『相談支援センター』や『医療相談室』にいる相談員と話してみると、一緒に考えてくれると思います。


 
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