「がん体験者の悩みQ&A」では、2003年と2013年に実施した全国調査結果を整理して構築したがん体験者の悩みデータベースを公開しています。このデータベースに基づき、がん体験者の方々の悩みや負担をやわらげるための助言や日常生活上の工夫などの情報ツールの作成等を行っています。
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悩み
親への告知に悩んだ。
25 件の体験者の声があります。
- (患者本人、50代、女性、乳房、2003年版)両親や子どもたちに伝えて良いものか否か悩み結局知らせなかった。
- (患者本人、50代、女性、肺、2003年版)高齢の母が心配するので病名は言えず、医師も話をあわせてくれたので安心した。
- (患者本人、40代、女性、子宮、2003年版)診断結果がでて入院手術となって、老齢の母がショックを受けるのではないかと心配だった。
- (患者本人、50代、女性、乳房、2003年版)主人の両親のショックをどう乗り越えるか悩み、母には手術直前に、父には半年後に話した。
- (患者本人、50代、女性、子宮、2003年版)がん告知を家族に伝えるのに、父が老人保健施設に入所していることもあり母には特に伝え難く入院1週間前まで言えなかった。
- (患者本人、60代、女性、胃、2003年版)田舎で病気がちの親はいつも「死の順番」を言っており、親に告げることがいいのかどうか悩み、結局手術後元気になってから告げた。
- (患者本人、50代、女性、大腸、2003年版)子どもたち、老母に病気を伝えるか否か悩み、受験期の子どもの自由を奪わないように、母にも心配をかけ気を遣われるのが嫌で結局話さなかった。
- (患者本人、50代、女性、胃、2003年版)高齢の母に何と言おうかとても悩んだが、手術直前に母に知られてしまい母は青ざめていた。
- (患者本人、60代、女性、胆道・胆のう、2003年版)老齢の母がまだ元気でいたので、どう知らせればよいか悩んだが、最後まで知らせなかった。
- (患者本人、30代、女性、乳房、2003年版)診断を受けて、親にどう話そうかと思った。
- (患者本人、60代、女性、肺、2003年版)老親と2人で生活しており、老親は心臓病なので私の現状は言えない。
- (患者本人、30代、女性、甲状腺、2003年版)父や義母など身内をがんで亡くしているので、母にまた父のときの不安を思い起こさせることが不安で、何と言ったら良いか恐かった。
- (患者本人、30代、女性、乳房、2003年版)主人、両方の両親に話をするときに悩んだ。
- (患者本人、50代、女性、乳房、2003年版)3人の老いた親に話すかどうか悩んだ。特に義母は娘をがんで亡くしておりいえないと思った。結局手術を受けたことも知らせず済み話さなかった。
- (患者本人、40代、女性、乳房、2003年版)いとこがおなじ乳がんで脳転移し昨年死亡したので、親に病名を言うかどうか、言う時期について悩んだ。
- (患者本人、40代、女性、子宮、2003年版)高齢の親に話すべきか、子どもたちの説明など悩んだ。
- (患者本人、40代、女性、子宮、2003年版)親に病名を告げにくかった。
- (患者本人、40代、女性、乳房、2003年版)実家の親に心配をかけるのでなかなか言い出せなかった。
- (患者本人、40代、女性、悪性リンパ腫、2003年版)病名を告げると高齢の両親が大変落ち込んでしまい余計につらかった。
- (患者本人、50代、女性、乳房、2003年版)心配させたくなかったので両親にどのように話そうか悩んだ。
- (患者本人、60代、女性、卵巣・卵管、2003年版)年老いた母親に病名を知らせるのが心底つらかった。母親は短期間だったが一時的に精神異常に陥ってしまった。
- (患者本人、40代、女性、子宮、2003年版)家族、親戚に中にも誰もがんになった者がいなく、両親に何といったらよいかわからなかった。
- (患者本人、40代、女性、子宮、2003年版)老親にどう伝えたら良いかと悩んだ。
- (患者本人、50代、女性、卵巣・卵管、2003年版)両親に知らせるかどうか悩んだ。
- (患者本人、50代、女性、乳房、2003年版)年老いた母への説明に悩み、手術前はがんと説明しないで、術後確定診断をもとに説明した。
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【伝えることと伝えないこと】
原則的には、家族内での隠し事は、できるだけしないことが望ましいと思います。たとえ隠す事が思いやりや優しさのつもりでも、家族内のコミュニケーションがうまくすすまなくなったり、こころのずれが生じたりする原因になります。
一方、家族関係にもいろいろあり、長い年月疎遠なご家族もいらっしゃいます。優しさや思いやりからのためらい、希薄な関係性からのためらい、ためらう理由は、人それぞれといえます。
このように考えると、親や兄弟等に伝えるかどうかは、最終的にはご本人が決めることになります。
ここでは、「年老いた親にショックを与えたくない」等の理由により、告げるのをためらっている方に、これまで出会った多くの患者さんやご家族との経験をもとに、一つの考え方の例についてお話しします。
親にとって、自分の子どもは何歳になっても大切な存在です。自分が守り慈しんで育ててきたお子さんががんになったということを知らされれば、動揺しショックを受けてしまうかもしれません。
だからといって、もしご両親が高齢だから、あるいは気が小さく受けとめきれないかもしれない、親御さんも体調が悪いからとかの理由で伝えないというのは、本当の優しさや思いやりなのか、もう一度自分自身に問い直してみましょう。
逆の立場にたって考えてみると、自分の大切な家族に起こった大変な出来事を全く知らなかったことを後で知ったときには、何ともいえないつらさを感じるのではないでしょうか。また、時には知らないばかりに何もできなかったと自分を責めたり、後悔したりすることもあります。
がんは、慢性疾患の一つといわれています。治療が終わればそれで終わりということではなく、定期的な通院や検査が必要ですし、もし再発や転移が見つかったら、再び治療を開始しなければいけないこともあります。そのなかで隠し続けること自体、とても大変なことです。
たとえ同居をしていなくても、ご両親は何かのきっかけで“どこかおかしい”と感じるかもしれませんし、電話であなたと話していても、どこかにこれまでと違うあなたを感じるかもしれません。そして、ご両親からの問いかけに嘘をつき通すことは、あなたにとってもこころの負担になってしまうことだと思います。
ただ、伝えると言っても、あなたが伝えなければいけないということはありません。あなたが診断と治療の説明を受けたばかりであれば、あなたは自分の中でその事実を受けとめていくだけでも大変な努力をしているはずです。治療に向けてやらなければいけないことがたくさんあるかもしれません。また、自分のことだからこそ、伝えたときのご両親の反応を思うとやりきれない気持ちになるかもしれません。
伝えるかどうか、伝えるとしたら誰が伝えるか、どのように伝えるかをあなたが信頼できる人とよく話し合ってみましょう。あなたのパートナーでもあなたのお子さんでも、友人でもかまいません。一緒に考えてもらうことで、もしあなたのご両親がその事実で動揺やショックを受けても、あなたの周囲の人々がそんな両親をサポートしてくれるでしょう。また、あなたが信頼できる方に話してもらうことが、説明を聞くご両親にとってもワンクッションとなり、動揺やショックをやわらげるかもしれません。
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