研究所長挨拶

研究所長 山口 建

総長

静岡がんセンター研究所は、2002年の静岡がんセンター設立時に病院の一角を間借りして産声を上げ、2007年以降、新たに建設された研究所棟において8部3支援室体制で研究活動を展開してきました。

研究所の使命は、「がんを上手に直すための医療技術の開発」、「患者・家族支援技術の開発」そして「ファルマバレープロジェクトの推進」という三本柱です。ファルマバレープロジェクトは、静岡がんセンターを核として、医療健康産業の活性化を目指す静岡県主導の構想です。関係者は、「私たちは、患者・家族の視点に立ち、 叡智を育み結集し、共に病と闘い、支えあい健康 社会の実現に貢献することを宣言します。」というファルマバレー宣言を胸に活発な活動を続けています。

第一の柱である「医療技術の開発」は、遺伝子診療、免疫治療、診断技術開発、新規薬剤開発・評価、地域資源、陽子線治療のウェットラボ6部門が担っています。開設当初から、各部門は、ゲノミクス、トランスクリプトミクス、プロテオミクス、メタボロミクスなどの遺伝学的・生化学的な網羅的解析技術を磨き、2013年度以降はそれを統合する形で、静岡がんセンターの患者さんを対象としたがん患者のマルチオミクス解析を進めてきました。
現在、Project HOPE(High-tech Omics-based Patient Evaluation、高度オミクス技術を用いた患者評価)として、合わせて3,000症例のがん患者についての臨床データと解析データの統合データベースが構築されました。このプロジェクトの目的は、「近未来のがんゲノム医療のシミュレーション」を行うこと、そして、その成果を新しい薬剤や診断技術の開発に役立てることとしています。
さらに、中央実験室、実験動物管理室、医学図書館の3部門がこれらの研究の支援につとめています。

第二の柱である「患者家族支援技術の開発」は、患者・家族支援、看護技術開発の2部門が担当しています。
日本で初めて設置されたがんサバイバー研究部門である患者・家族支援研究部は、がんの患者さんや家族がどのような悩みや負担に遭遇するかを明らかにするため、2003年に、全国の7885名の患者さんを対象としたアンケート調査を実施し、収集された約2万6千件の悩みや負担を分析し、科学的評価を可能とする「静岡分類」を完成させました。その後、2007年にはがん対策基本法や基本計画が定められたので、その効果を知る目的で2013年にも同じ設問での調査を実施し、その成果を我が国のがん対策に生かしてきました。
看護技術開発研究部では、患者さんへの医療情報の提供の在り方を研究し、「情報処方」という新たなコンセプトを打ち立て、病院スタッフや疾病管理センターと協働し具体的な情報提供を進めています。特に、がんの薬物療法について、処方別の説明書を作成し、投与を受ける患者さんの理解を増す新たな試みに取り組んでいます。

第三の柱である「ファルマバレープロジェクトの推進」は、早稲田大学、東京工業大学、東京農工大学、慶應義塾大学、国立遺伝学研究所、静岡県立大学な どの大学・研究機関、国内企業、地域企業との協働で実施されています。
共同研究においては、研究所内に大学や企業の研究室の入居を可能とし、医療スタッフとの対話を深めながら、臨床データを活用し、成果を上げることを目指しており、1)トランスレーショナルリサーチ、2)医療スタッフや患者の求める機器、3)企業の次世代機種開発、を基本方針としています。これまで、医療機器、遺伝子解析機器、腫瘍マーカー、さらには患者のための支援ツールなどが開発され、医療スタッフや患者さんのために活用されてきました。

ファルマバレープロジェクトの最終目標は、静岡県、静岡がんセンター、ファルマバレーセンターが協働して、静岡県東部に医療健康産業のクラスターを構築し、アジアの中心となって活動することとしています。そのため、「ものづくり」、「ひとづくり」、「まちづくり」、「世界展開」をテーマとして、地域の活性化を目指した取り組みが続けられています。

 

静岡がんセンター研究所部門

静岡がんセンター研究所

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研究活動

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