製剤業務

P017

診断、治療する上で、市販の医薬品では、十分に効果が得られない場合があります。
そのため、病院独自の処方や剤型が必要となる場合があります。
その際、病院として種々の検討を行い、製剤可能と判断されたものに限り、病院内の薬剤部において調製されます(医薬品として承認されていない薬物等を原料とする場合もあります)。
これらを院内特殊製剤といいます。
通常の医薬品と異なり、その病院のみの使用に限られています。

静岡がんセンターの院内特殊製剤の例として、Mohsペーストについて紹介します。
進行した皮膚がん、または体表に露出した皮膚がん以外のがん(乳がん、頭頸部がんなど)は、広範囲の潰瘍性病変を生じ、増大した腫瘍や皮膚潰瘍からの出血・浸出液や悪臭などを生じ、患者さんやご家族のQOL(生活の質)を著しく損なうことがあります。
Mohsペーストには、タンパク質を凝固させる性質があり、以下の目的で使用しています。

①腫瘍を凝固させ、凝固した部分を切除することにより腫瘍を小さくする。
②腫瘍を凝固させることにより、出血・浸出液や悪臭などの症状を緩和し、QOLを向上させる。

元来、①の目的で使用されていたものですが、近年では②の目的の使用が多くなっています。

P030【処方】
塩化亜鉛飽和水溶液      50mL
亜鉛華デンプン        20~35g
グリセリン          15mL
(亜鉛華デンプンの量で硬さを調節)

薬剤部

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