調剤業務
調剤室では、入院及び外来患者さんの内服・外用薬の調剤を行っています。
オーダリングシステムにより医師が処方を入力すると、薬剤部で処方せんと薬袋、薬剤情報提供文書が発行されます。
薬剤師は処方せんをもとに、錠剤、水剤、散剤、外用薬などの調剤を行います。
①入院調剤
入院患者さんの内服薬を調剤し、病棟へ搬送しています。
静岡がんセンターでは定期処方という形を取らずに、全て臨時薬として処方せんを発行・調剤しています。
また、緊急のお薬については、一時間毎(平日の午前9時~午後6時まで)にSPDのスタッフが病棟へ搬送しています。
②外来調剤
外来のお薬ができるまで
★ 外来処方せんには患者さんのお薬番号がバーコードで表示され、処方せんが発行された順番にお薬番号が印字されます。
★ 患者さんがお会計をされると、医事課での会計終了の情報が薬剤部パソコンに送られます。
→薬剤部パソコン画面の未調剤の欄に、医事会計の順番で、患者さんのお薬番号がお薬待ちの番号として表示されます。
★ 薬剤部で調剤を始めるときに処方箋のバーコードを読ませ、調剤開始とします。
→薬剤部パソコン画面の調剤中の欄に、お薬番号が調剤中の番号として表示されます。
★ 薬剤の監査終了時に処方せんのバーコードを読ませ、監査済とします。
→お薬窓口のモニターに「お渡しできるお薬」としてお薬番号が表示されます。
同時に、患者さんがお持ちの呼び出し受信機にも情報が送られ、お薬が出来たことをお知らせします。
これで、外来患者さんのお薬が完成です。
麻薬初回処方の説明
初めて麻薬が処方された外来患者さんに、お薬相談室で薬剤の服用方法や注意して頂くことなどを説明しています。
静岡がんセンターで作成したパンフレットをお渡しし、患者さんに安心していただけるようにお話することを心がけています。
また、麻薬の貼付剤が処方された時にも、使用方法を説明しています。
内服抗がん剤(ティーエスワン配合OD錠、ゼローダ錠等)の初回説明
初めて内服の抗がん剤が処方された外来患者さんや、抗がん剤の種類が変わった外来患者さんに対して、お薬相談室で薬剤の説明を行っています。
また、静岡がんセンターや他院で受け取られている薬剤との併用についても確認しています。
禁煙指導
<禁煙外来における薬剤師の役割>喫煙は心血管系疾患・呼吸器系疾患を始め、多くのがんにおいて因果関係が示されています。
喫煙されている患者は、病気になったことをきっかけに禁煙を決意されることが多いのですが、長年摂取したニコチンによる影響で、なかなか禁煙できないことが多く見受けられます。
禁煙外来を受診された場合、一定の基準を満たした喫煙者に対して、保険診療で禁煙補助薬などを用いた禁煙支援を行うことが可能となります。各職種の役割については、以下のようになります。
初回診察時
看護師:禁煙治療に関する問診票の記載内容の確認と呼気中一酸化炭素濃度測定
薬剤師:禁煙開始日の決定、禁煙開始時の不安除去、禁煙継続に至っての問題点抽出
と助言、禁煙補助薬に関する助言 など
医師 :診察、保険適応についての確認、禁煙補助薬の処方2回目以降
看護師:呼気中一酸化炭素濃度測定
薬剤師:禁煙ノートの記載確認,禁煙補助薬の副作用確認,禁煙継続の助言など
医師 :診察、禁煙補助薬の処方 など最後の診察時に、禁煙を達成された方に対しては院長からの禁煙認定書をお渡し、お祝いしています。
簡易懸濁法の導入説明
<服薬支援:簡易懸濁法について>静岡がんセンターでは患者さんやご家族への服薬支援の一環として、簡易懸濁法を導入しております。
簡易懸濁法は、「錠剤をつぶしたり、カプセルをあけたりせずに、錠剤・カプセルをそのまま、あるいは亀裂を入れて、温湯(約55℃)に入れ、崩壊・懸濁させて服用する方法」であり、静岡がんセンターでは錠剤やカプセルをそのまま服用することが困難な患者さんや、チューブからお薬をいれる必要がある患者さんなどに活用しています。
錠剤をつぶしたり、カプセルをあけたりすると、実際に服用できるお薬の量が減ってしまったり、湿気や光の影響で成分が分解してしまったり、患者さん以外のご家族などが吸いこんでしまったりする危険性があります。
簡易懸濁法を用いると、これらの危険を軽減することができ、より安全で確実な服薬が可能になります。
簡易懸濁法は多くのお薬に適応できますが、すべてのお薬に適する方法ではなく、実際に行う際には、適応できるお薬であるかの確認と、それぞれのお薬に合わせた手順などをご説明させていただくことが必要になります。処方されているお薬が飲み込みづらい、むせやすいなどの場合には、患者さんご自身の判断で割ったり、つぶしたりせず、必ず医師や薬剤師にお尋ねいただいています。
③処方せんの工夫
調剤が正確・迅速・安全に行えるように処方せんの表記を工夫しています。
電子カルテに登録されているアレルギー情報を記載しています。
どこに薬剤が置かれているかが分かるように、処方せんに棚番地を記載しています。
処方せんに調剤する薬剤の総量を表記しています。
調剤時の過誤を防止するため、錠剤を分割する処方では用量を赤字で印字し、注意を喚起しています。
④薬剤情報提供の工夫
薬剤をお渡しする際には、「お薬説明書」、「お薬の使い方」、「お薬手帳シール」を発行し、お薬を正確かつ安全に服用・使用していただけるように努めています。
お薬説明書
お薬の一般名、効能効果や服用・使用していただくときの注意事項を掲載しています。
また、薬剤で起こりうる副作用についても、初期症状の特徴を列挙し、患者さんに分かりやすいように工夫しています。
さらに、お薬説明書は英語版にも対応しており、患者さんのご要望があれば、お渡ししています。お薬の使い方
お薬を服用・使用していただく時間帯を薬剤ごとに、24時間形式の図に表示しています。
どの薬をいつ、どれだけ服用すればよいかが、ひと目で分かるようになっています。薬袋とお薬説明書に簡易懸濁法の可否を記載し、患者さんやご家族、スタッフ等が確認しやすいようにしています。
⑤内服抗がん剤の服用処方管理システム
静岡がんセンターでは、パソコンで作成したシステム「chemoる(けもる)」を利用し、内服抗がん剤の処方管理を行っています。
主にティーエスワン配合OD錠、ゼローダ錠、イブランス錠、レブラミドカプセル等の休薬期間を必要とする薬剤を対象としています。
「chemoる(けもる)」に患者さんごとの薬歴を入力し、これら薬剤の投与量や休薬期間をチェックしています。
⑥麻薬調剤
静岡がんセンターでは麻薬の採用が多岐に渡り、処方量、調剤量も多いのが特徴です。
このため、麻薬管理システム「まもる」(文珠システム株式会社)を導入し、患者さんごとに薬歴を入力し、管理しています。
また、「まもる」により麻薬の発注、在庫管理も行っています。
⑦治験薬調剤
静岡がんセンターでは、主に抗がん剤や麻薬、それらの副作用による対処療法及び支持療法で使用する薬剤について、治験を行っています。
薬剤部では、これらの治験薬の保管、管理、調剤を行います。
さらに、治験が適正に行われるように、パソコンを用いた一般薬との併用禁止薬チェックシステムを導入しています。
治験の中止・逸脱を防止するとともに、安全に治験薬が投与されるように、患者さんの全処方について、併用禁止薬が処方されていないか確認しています。