レジデント向け情報

研修の特徴

  1. 静岡がんセンターでは、医師だけでなく、薬剤師を含めて全13職種の医療従事者ががん医療の場で活躍できるよう、多職種レジデント制度を構築しており、様々な研修を実施している。
  1. 静岡がんセンターの多職種レジデント制度では、2年間のカリキュラムで、がん医療のみならず病院薬剤師としての全てのスキルを学ぶことができる。
  1. 静岡がんセンター薬剤部では、学会参加の支援に加え、学会発表や論文執筆の指導を行い、がん専門薬剤師の認定取得を支援するとともに、研究マインドを持った薬剤師の育成に注力している。
  1. 日本トップクラスのがん専門病院として、専門的教育に多くの研修機会がある。日本臨床腫瘍学会指定のカリキュラムに沿ったプログラム「静岡がんセンター臨床腫瘍学コース(年間35回の講義)」を無料で毎週受講することが可能であり、がん医療に関する最新の専門知識を体系的に修得できる。

 独自の多職種チーム医療を展開する静岡がんセンターの一員となる2年間は、多職種チーム医療を理解し、これを推進するリーダーシップやメンバーシップを養うことができる。

研修コースと研修内容

1.研修コース

 ①一般コースと、それに続く専門コースの2年間にわたる研修を行う。

 ②一般コースでは、薬剤師の基本的業務の習得に加え、がん医療で必要となる基本的な知識や技能を修得する。

 ③専門コースでは、より専門性の高い臨床薬剤師の業務を経験することで質の高いチーム医療を実践できる高度な知識ならびに技能を修得する。

2.研修内容

    ①一般コースでは、薬剤部内のセントラル業務の研修として、調剤、処方監査、高カロリー輸液の無菌調製、注射用抗がん剤の調製、レジメン監査、麻薬管理、DI業務など、すべての薬剤師が身に付けるべき基本的な知識や技能の習得を目標として、5か月間研修を行う。

    ②専門コースでは、病棟や化学療法センターでの薬剤管理指導、各種の医療チーム活動(ICT、PCT、NST、禁煙など)、TDMなど、主に臨床業務を中心に19か月間研修を行う。

 

2023年度薬剤師レジデント用研修スケジュール

レジデントの声

田中 怜 薬剤師(研修期間2年 現在は湘南医療大学 薬学部に勤務)

 私は2012年に薬剤師レジデントとして入職し2年間の研修を修了した後、現在は常勤薬剤師として働いています。当時の私は薬学部6年制が始まってから初めての新卒薬剤師であり、何から覚えれば良いか手探りのまま研修を開始しましたが、先輩方に厳しくも多くのことを学ばせて頂きました。
 実際の業務として、調剤業務と抗がん剤を中心としたミキシング業務から始まり、薬剤の用法・調製法を一通り学んだ後、病棟研修にて患者さんへの指導に入りました。病棟研修では消化器・呼吸器など各領域病棟や緩和ケアチームなどチーム医療に参加させて頂きながら、様々な症状に苦しんでいる患者さんに対し、単純に添付文書に適応があるから選択するのではなく、「既往歴や検査値をよく見て、この患者さんへの投与は危険性がないか」、「同効薬と比較してこの薬剤は本当に最良の効果を望めるエビデンスがあるか」を各がんのガイドラインや原著論文を探し回って提案していきました。
 また、薬物療法においてエビデンスがない場合は自ら臨床研究を行い、新たな知見を創造することも、薬剤師の重要な役割です。私は各領域を学んだ後、緩和ケア領域に興味を持ち、医療用麻薬による疼痛治療や向精神薬の研究に従事することになりました。今も臨床業務を行いつつ、学会発表や論文投稿を行っており、各学会認定薬剤師の取得や大学院より博士号を頂くことができました。
 現在は新入レジデントの教育担当も兼任しており、レジデント入職当時に教えて頂いた先輩方に負けないよう、多くのことを教えてあげたいと思っています。

原田翔平 薬剤師(研修期間2年 現在は静岡がんセンター 常勤薬剤師として勤務)

 私は2016年4月より2年間、薬剤師レジデントとして研修を行いました。消化器内科、呼吸器内科、婦人科、血液内科の病棟を2~3か月ごとにローテーションし、多くの患者さんに介入しながら化学療法や支持療法について深く学ぶことができました。また、化学療法センターや緩和ケアチーム担当の薬剤師のもとで、外来化学療法や緩和ケアにおける多職種でのチーム医療に携わることもできました。
 静岡がんセンターの薬剤師レジデントは多職種レジデント制度の一環であり、薬剤師としてあまり関わることがない職種について理解を深めることができます。私は臨床検査技師、理学療法士、歯科衛生士のレジデントと同時期に入職しましたが、職場での関わり以外に、プライベートでも楽しく過ごすことができました。2年間で学んだ幅広い知識と経験、人脈は大切な財産です。
現在は実務実習指導薬剤師として、薬学生の指導に携わっています。レジデント研修の成果を薬学教育にフィードバックできたらいいなと考えています。

田中健太 薬剤師(研修期間2年 現在は群馬中央病院 常勤薬剤師として勤務)

 私は卒後教育として、当院で実施されている多職種レジデントを選びました。
 静岡がんセンターはがん専門病院であり豊富な症例数や最新の知見に触れることが可能なうえ、レジデント研修によって学会発表や臨床研究についての経験を積むことができるためスキルアップが見込めると考えました。また、薬剤部にはがん専門薬剤師を含む多くの認定取得者が在籍しているため、将来認定取得に向けたアドバイスをもらえることも利点の1つです。
  臨床現場では知らないことばかりで日々のルーチン業務でも得られる知見はたくさんあり、私はその都度メモを取り知識を深めています。ご指導してくださる先輩方は業務内容だけでなく、臨床現場で実践する知識など基礎から丁寧に教えてくださるため毎日有意義な日々を送ることができました。

磯岡 奈未 薬剤師(研修期間2年 元薬剤師レジデント)

 私は2021年4月より薬剤師レジデントとして2年間の研修を行っております。
 入職後は薬剤部のルーチン業務(調剤業務、注射薬の払い出し)を行い、静岡がんセンター全体での薬剤の流れを学ぶとともに、さまざまな薬剤、レジメンに触れ知識を付けていきます。その後、IVHや抗がん剤のミキシング業務を学びます。それぞれの薬剤の特徴を学ぶだけでなく、あくまでも業務ですので正確で効率の良い作業を意識して調製するのは大変ですがやりがいを感じます。さらに9月からは消化器内科での病棟研修が始まり、先輩薬剤師に指導していただきながら実際に薬剤指導を行っています。治療に対する患者さんの思いや不安をお話しいただけることもあり、その中からヒントを得て患者さんの求めている情報についてさらに勉強しています。まだまだ知識不足で先輩方に迷惑をおかけしていますが、患者さんに寄り添った治療に貢献できるよう、少しずつ成長できていればと思っています。
 また、多職種レジデントという制度ですので、さまざまな職種のレジデントが同時に入職します。各部署がどのような業務をされているのか、病理や放射線科、歯科口腔外科、リハビリテーション科だけでなく、事務関連の部署等も見学させていただきました。カルテからでは読み取れない治療の実際を見せていただくことで、患者さんが受けておられる治療をより理解する一助になっていると思います。
 今後はさらに血液内科や婦人科、緩和ケア病棟、外来など、様々な部署での研修を行う予定です。より多くの症例に触れて知識を付け、患者さんやご家族が安心して治療を受けられるように支援できる薬剤師になることが目標です。

薬剤部

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