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放射線の副作用による赤みや色素沈着など皮膚症状

放射線で、皮膚がだんだん赤くなり、ただれてひりひりして心配だった。
6件の体験者の声があります。
放射線治療による色素沈着(赤みや黒ずみ)が、なかなか消えない。
2件の体験者の声があります。
放射線治療で肛門が荒れ、排便がつらく今後どうなっていくのか心配。
1件の体験者の声があります。
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助言

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【放射線治療と皮膚の変化】
放射線の治療を行っていると、放射線をあてている部位に炎症が起こり、皮膚の症状(皮膚が赤くなる、かさかさになる、症状が強いと皮膚がめくれてただれたようになるなど)が出てくることがあります。皮膚炎が特に起こりやすい部位は、首、耳の後ろ、乳房の下、肘関節やわきの下、足の付け根や外陰部などしわの多い場所です。これは、皮膚同士がこすれることが刺激になるためです。
これらの症状は治療の後半になるにつれ強くなります。皮膚の炎症は、治療が終われば徐々によくなってきます。
副作用症状は放射線をあてている部位、放射線のあて方によって異なり、個人差もあります。どこの部位にあてるとどのような副作用が出てくるかは、あらかじめ予測することができます。そこで、できるだけ症状が強くならないように、対応していくことができます。
皮膚炎をできるだけ起こさないように、あるいは悪化させないようにするためには、症状の予防や症状に対する対処などの自己管理が大切です。
抗がん薬と併用の治療の場合、また、部位によって、症状の出方や自己管理の注意点など異なる場合もあるので、担当医や看護師の説明やアドバイスにそって、わからないことや困ったことがあるときは、そのたびに、確認し相談するようにしましょう。

【保清・保湿・保護】
放射線治療開始後は、照射部位に対しての刺激(物理的刺激、化学的刺激など)を避け、清潔を保つようにします。

■清潔
◎入浴やシャワーは、熱いお湯は避ける。
◎入浴やシャワー時には、石けんやボディシャンプーをよく泡立てたうえで使用し(泡立てが大変な場合、もともと泡で出るタイプのものを利用してもよい。また、洗顔用などで売っている泡立てネットや泡立て器などを使うなどの方法もある)、照射部位は、手でなでるように洗い、ナイロンタオルなどで強くこすらない。シャワーの場合は水圧を弱くし、あるいはぬるま湯で石けんの泡を洗い流すようにする。
◎石けんやボディシャンプーなどは、特に指示がなければこれまで使用してきたものでも構わない。ただし、メントールなどの刺激物質が入ったものは避ける。
◎入浴・シャワー、洗浄後は、やわらかいタオル等で優しく押さえ込むようにしてふき、こすらない。
◎温泉、サウナ、岩盤浴、プールなどは避ける。

■刺激を避ける
◎照射部位の皮膚に摩擦等で刺激にならないように、しめつけないゆったりめでやわらかい素材の服や下着を着用する。
◎女性で胸部に放射線をあてるときは、ソフトブラジャー、ワイヤーなしのブラジャーなどを使用する
◎直接肌にあたる下着などは、綿やシルクなど肌触りのよい素材にする。
◎首の周りに放射線をあてるときは、襟付きの服は避ける(照射部位が、襟の布地でこすれて刺激になり、皮膚を傷める原因になる)、もしくは開衿シャツ(オープンカラーシャツ)とし、開襟シャツの場合は、からだの動きで襟が照射部位にあたらないか必ず確認する。また、のりのついたシャツも避ける。
◎照射部位に絆創膏やテープ類は貼らない。
◎かゆみなどが出たときに爪でひっかいて傷をつけたり刺激しないように、爪は短く切っておく。
◎照射部位が陰部のときは、下半身をしめつけない下着や服にし、ジーンズのような固い素材は、歩くことなどでこすれて刺激になり、皮膚や粘膜を傷める原因になるので着用しない。
◎肛門部にも放射線があたる場合、排泄後は優しく押さえるように拭く。介護が必要な人用の『トイレに流せるお尻ふき』などを優しく押し当てるようにして利用してもよい。ウォシュレットは、一番弱くしても、しみるときがある。その場合は、ペットボトルにぬるま湯を入れて流したり、旅行用の簡易ウォシュレット(ノズルがついている)にぬるま湯を入れて使ってもよい(押すときに勢いよく押すと、刺激になるので、上からそっと洗い流すようにする)。

■保湿
◎照射部位は、皮膚の乾燥を防ぐために、保湿に努める必要がある。ただし、自己判断で市販の軟膏やクリームをつけたり化粧品をつけたりせず、まず担当医や看護師に相談する。

■その他
◎照射部位に、使い捨てカイロ、電気あんかなどをあてないようにする
◎照射部位に熱感やかゆみがあるときは、クーリング(冷やす)を行う。その際、保冷剤は冷凍庫から出してすぐの固いものではなく、シャーベット状にやわらかくしたものを使用する。
◎外出時、肌が露出する部分に放射線をあてていれば、日傘、帽子、長袖の上着などを使用し直射日光を避けるようにする。

皮膚炎も個人差があります。黒ずみが消えるまでに1年以上かかることもあります。

【放射線治療終了後】
放射線治療で起こった皮膚の炎症(ただれ、赤み、熱感など)は、治療が終われば1ヶ月程度でよくなってきます。ただ、皮膚のつっぱる感じや乾燥などの症状が長く残る場合もあります。また、色素沈着(皮膚の黒ずみ)が残ることもあります。

【参考資料】
(1)定塚 佳子.放射線皮膚炎の最新の知見.がん看護23(5):463-465, 2018
(2)野澤桂子, 藤間勝子.がん患者のアピアランスケア.南山堂.2017
(3)日本乳癌学会編.患者さんのための乳がん診療ガイドライン2016年版.金原出版

(更新日:2019年2月18日)



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