「がん体験者の悩みQ&A」では、2003年と2013年に実施した全国調査結果を整理して構築したがん体験者の悩みデータベースを公開しています。このデータベースに基づき、がん体験者の方々の悩みや負担をやわらげるための助言や日常生活上の工夫などの情報ツールの作成等を行っています。
なお、個別の回答やご相談は、仕組み上できかねますので、お困りごとやご相談がある方は、お近くの「がん相談支援センター」をご利用ください。

抗がん剤治療による脱毛

抗がん剤の副作用による脱毛(髪の毛、眉毛、まつ毛、体毛)が辛く、悩んだり落ち込んだりしている。
72件の体験者の声があります。
抗がん剤の副作用による脱毛に他の副作用症状が重なり、辛くて悩んだり落ち込んだりした。
51件の体験者の声があります。
脱毛したため人に会ったり外出するのが嫌になり、対人恐怖症のような状態や孤立状態に陥ったりした。
18件の体験者の声があります。
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助言

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【ポイント】
■すべての抗がん薬で脱毛が起こるわけではない。自分がこれから受ける抗がん薬で、どのような副作用が起こる可能性があるのかを担当の医師や看護師に確認し、理解することがまず大切になる。
■脱毛は、髪の毛だけではなく、まつげ、眉毛、鼻毛、体毛などにも生じる。
■脱毛が起こる抗がん薬を使った場合、脱毛は1回目の治療開始後、2~3週間めから起こる。
■全治療終了後、早い人で1ヶ月頃から髪が生えはじめて、半年から1年でショートヘアくらいまでにはなるが、期間は個人差がある。
■事前に顔、頭(正面、側面、後ろ側)の写真をとっておく。頭の写真は、かつら購入時や購入後にかつらを整えるときに、自分の今までの髪型に近いものを選べて相談しやすい。顔の写真は、眉毛の脱毛時、眉を描く際の参考になる。
■かつらは購入とレンタルがあり、人毛、混合毛、人工毛がある。かつらは、医療費控除の対象にはならないので、購入費用の検討時にその点も考慮して選ぶ。
注)『医療用かつら』と表示があっても医療費控除の対象にはなりません。
■かつらは事前に試してみて、かぶり心地や似合うかどうかなど自分で確認する。
■脱毛前に購入する場合、髪が抜けるとサイズの調整が必要なことが多いので、サイズ調整ができるか購入前に確認する。
■シャンプーは以前から使用していたもので構わない。
■洗髪時は、最初に髪と地肌を十分ぬるま湯でぬらし、シャンプーはよく泡立ててから使用し、頭皮への刺激をやわらげる。
■頭皮が傷つきやすくなっているので、爪は短くして、爪をたてないように指の腹で優しく洗う。

【脱毛について】
抗がん薬は、細胞分裂が早いがん細胞を攻撃します。そのため、正常細胞のなかでも分裂が早い毛母細胞(髪のもとになる細胞、毛根の細胞)も攻撃してしまい脱毛が起こります。

ただし、脱毛はすべての抗がん薬で起こるわけではありません。また、脱毛は抗がん薬を開始したらすぐに起こるわけではなく、大体、治療を開始して2~3週間目くらいから起こりますが、抗がん薬の種類や多剤併用などの薬の組み合わせによって異なります。通常抗がん薬による治療は何回か繰り返して行うので、抗がん薬を行っている間は脱毛が続きます。

抗がん薬の全クールの治療が終わってから1ヶ月前後で髪の毛が生えてきて、6ヶ月くらいでショートヘアくらいまでになります。けれども、元に戻るまでは個人差があります。
生え始めは、以前より細い毛、くせ毛など、髪の太さや髪質が以前と異なるという方もいます。これは、髪をつくる毛母細胞がすぐには元に戻らないためです。髪質は、加齢など他の原因もあり、回復に関しても個人差があります。

治療が終わってからの回復にも個人差があることから、時間がかかることをふまえ、それまでの期間をどのようにしていくかを考えてみましょう。

治療や副作用の説明で脱毛が起こりやすい抗がん薬とわかったら、できることを準備し始めましょう。
事前にできることを準備したり、実際に行ったりすることで、心構えも変化してきます。つまり、脱毛に対応するための準備をすすめていくことは、こころの準備もすすめることになります。自身で脱毛のケアを行うことは、心のつらさをやわらげ、体をいたわることになります。
脱毛は、いつ頃から、どのように出てくるのか、脱毛に対してどのように対応していけばよいのかなど、一つ一つ情報を集めたり、必要な物品を準備したり、髪と地肌のケアを始めてみましょう。

【脱毛が起こる前にできること】
■脱毛時、かつら購入を考えているようであれば、事前に自分の頭の写真をとっておく(正面、側面、後ろ側)。
こうしておくと、実際にかつらを購入するときや購入したかつらを整えるときに、今までの自分の髪型に近いものを選ぶことができ、購入先で相談する際にも役立ちます。
また、顔の写真をとっておくことで、眉毛が抜けた場合の対応時、アイブローなどでカバーする際に写真で元々の眉毛の形や位置を確認できます。

■脱毛が始まる前に、髪を短く切る
髪を短くするのは、髪の毛がからまないようにするためです。脱毛が始まると、髪を洗ったときなどに髪がからまり、ほぐれなくなることがあります(ほぐれないときは、その部分を切らざるをえなくなることがあります)。ただし、髪をあまり短くすると、脱毛時に衣服の繊維の間に髪の毛が入り、チクチクすることがあるので、注意しましょう。男性の場合は、スポーツ刈り程度の長さでよいでしょう。

■治療中、治療終了後の理美容室の検討
病院に理美容室があれば、個室やカーテン、パーティションなどの配慮がされている場合があるので、治療を受ける病院に理美容室があるか確認しておきましょう。病院の理美容室であれば、理美容師さんもさまざまな患者さんの髪の手入れに慣れているので、相談等もしやすいでしょう。
街の理美容室に行く際は、事前に電話等で事情を簡単に話し(「脱毛症があり、髪を整えたいが」など)、人が少ない時間帯に行くなど相談してみましょう。その場合、電話での対応で理美容師さんの反応をみてから検討してもよいと思います。個人経営の理美容室であれば、対応できる人数にも限りがあり、他のお客さんに会いにくい利点はあると思います。
また、かつらを購入される場合は、かつらの購入先で相談してみてもよいでしょう。

【かつら】
かつらは価格帯も種類もいろいろですが、人毛になると高額になります。医療費控除の対象にはなりませんので、ご注意ください。
購入するか、レンタルするか、どのような種類にするかなど事前にイメージをつけておくと、よいでしょう。

■かつらのレンタル
かつらのレンタルをしているところもありますが、手続き、申し込みから届くまでの期間なども考慮する必要があります。レンタルを検討しているときは、事前にホームページなどで確認しておきましょう。医療用かつらのレンタルをインターネットで探す際は、検索サイトで、『医療用かつら レンタル』で検索すると出てきます。
◇---◇---◇コラム:2015年に『医療用かつら』に関するJISを規定◇---◇---◇
医療用かつらやその付属品に関して、概観、性能、試験方法などを規定したJISが制定されました。直接皮膚に触れるネット部、スキンベース部、インナーキャップ部などについて、パッチテストの皮膚刺激指数を規定するなどされています。また、洗濯や汗での堅ろう度の性能や試験方法などについても規定されました。

■かつらの購入
かつらは、通信販売、かつらのメーカー、美容室でつくっているものなど、いろいろあります。
かつらを購入するときは、自分にあった素材、スタイル、色を選びましょう。また、費用もさまざまななので、価格をよく検討しましょう。商品の機能特性を確認することも大切です。
どこでかつらを購入したらよいかわからないときには、かかっている病院の看護師や相談室に相談してみましょう。それでも、もしわかる方が見つからなければ、お近くのがん診療連携拠点病院のがん相談支援センターに相談してみましょう。

■かつらの種類
かつらには、以下のような種類があります。すぐ使えるかどうか、フィット感、費用などよく検討しましょう。
◎既製品
比較的安価なものからあり、購入した日から使用できます。サイズの調整は、できるものとできないものがあります。
(脱毛前に購入する場合、髪が抜けるとサイズの調整が必要なことが多いので、サイズ調整ができるか購入前に確認しましょう)
◎セミオーダー品
髪の長さや分け目の位置、毛質など、いくつかの選択肢のなかから選べます。メーカーによってシステムや納期が違いますから、前もって確認しておきましょう。フルオーダー品よりは安価です。
◎フルオーダー品
その人その人の頭の形にそって型どりをして、ヘアスタイル・色・毛質など自由に選ぶことができます。自分の頭の形にそって作るので、フィット感もあります。ただ、値段が高く、できあがるまでに1ヶ月から数ヶ月かかります。どのくらいかかるか事前に販売店に確認しておきましょう。

■毛質の違い
◎人工毛
アクリル系またはポリエステル、ポリアミドなどでつくられていて人毛よりも軽くできています。ただ、熱や摩擦に弱いので、後からパーマをかけたり染めたりはできません。また、てかり感もあります。
◎混合毛
人毛と人工毛をミックスして作られています。形はくずれにくいというメリットがありますが、パーマやカラーなどのスタイルの変更はできません。また、人毛部分が色あせすることがあります。
◎人毛
特殊加工した人の毛髪です。ドライヤーでセットしたり、パーマやカラーを変更することもできます。自然な質感を楽しめますが、色あせや枝毛などのダメージを受けることがあります。色あせはカラーを施せば大丈夫です。

■分け目やかつらの裏側
分け目がネットの場合は、上からみるとネットが透けてかつらとわかってしまうことがあります。ただ、ネットの種類には、フィット感をよくする以外に、汗の吸収をよくしたり、分け目部分を隠すものもあり、販売店によっても違います。かつらの販売店でどのような種類のネットがおいてあるか確認して自分に合ったものを選びましょう。
なお、ネットを着けていると、かつらがずれたときに気づかないことがありますので注意しましょう。
ネット以外に、地肌のようにみえる人工皮膚が裏側についているかつらもあります。
もし、可能であれば実際に試着し、締め付け感はないか、肌触りはどうかなども確認しましょう。

■その他注意点
◎かつらの価格は、数千円から数十万円とさまざまです。抗がん薬による脱毛とか円形脱毛症などの時に用いるかつらを『医療用かつら』と呼ぶことがありますが、かつらは医療費控除の対象にはなりませんのでご注意ください。『医療用かつら』の場合、JISマークを確認してください。『医療用かつら』というのは、脱毛症の治療を目的としたものではなく、患者さんの整容を改善し、生活の質を高めることを目的としたかつらのことをいいます。

◎頭の大きさは髪の毛があるときとないときでは、1~2cmほどかわります。髪の毛の量が変わり、頭の大きさも変わるので、かつらを購入する際はこの点も十分気をつけましょう。サイズが調整ができるかつらもあります。

◎夏などの季節はかつらをつけると蒸れたり、暑いときがあります。脱毛時は、頭皮もデリケートになっているので、汗などかいたときは特に清潔に注意しましょう。また、蒸れにくいように裏側のネットは通気性のよいものを選んだり、付け毛のついた帽子で代用してもよいでしょう。

◎かつらも自分に合うようにカットするのが一般的です。スタイリングをお願いする場所は、理美容院ですが、地毛とかつらをカットする技術は異なるそうです。どこへお願いするか迷ったときには、購入したかつらメーカーに相談してみましょう。

◎男性用の場合、前髪があるものが多く、毛の量など現在の髪型との差が生じてしまうことがあり、本人も違和感が大きいことがあります。かつらを希望する場合、試着をしながら早めに選んで、練習として治療前(脱毛前)に着用して生活を送るなどしてみましょう。

【帽子やバンダナ】
■帽子やバンダナの良いところ
◎かつらをつけるのが面倒という方もいらっしゃいます。特に、夏の暑い時期は、苦手という声があります。普段の生活では、帽子やバンダナ、付け毛などもあわせて、時と場所に応じて活用するとよいでしょう。
◎髪がぬけると、頭皮が露出し、暑さや寒さを敏感に感じて、汗や皮脂も出やすくなります。帽子をかぶることにより、頭を保護することもできます。
◎帽子を選ぶときは、頭を締めつけず、肌触りのよい素材で、頭全体を覆うモノがよいでしょう。
◎就寝時(横になる時)、飾りやむずび目がない綿ニットなどのフィットキャップは、枕にあたってもごろごろした不快感はありません。頭全体を覆うので、床に髪の毛が落ちるのを防いだり、枕や布団に抜けた毛がつきにくいなどの利点もあります。
◎帽子と付け毛を組み合わせて、帽子から少し髪が出ると、見た目が自然になり、ちょっとした外出や突然の来客にも気を遣わないくてよいでしょう。

■つばの広い帽子
帽子を選ぶ場合、生え際が気になるときは、つばの広い帽子を選びましょう。ただし、つばの広い帽子は、強風時に、かつらが一緒に飛ばされる可能性が高いので、強風時は、フィット感のある帽子やバンダナで押さえるなどの工夫をしましょう。

■ニット帽などフィット感のある帽子(フィットキャップ)
治療中は、ニット(綿ニットなど)などの素材で作られた、柔らかく頭にフィットする帽子が便利です。ニット帽は夜眠るときにも頭皮を守り、結び目等がないので、後ろ頭などが枕にあたっても痛くなりません。寒い時期には保温効果もあります。

■バンダナやスカーフ
バンダナは、手軽で手入れも楽で安価でもあり、便利です。巻き方もいろいろあります。完全に脱毛している際は、後頭部の肌が隠れるように巻きましょう。また、目のすぐ上のあたりまでくるようにすると、前髪や眉毛の脱毛も少しカバーできます。付け毛などをバンダナやスカーフにつけてもよいでしょう。

■その他
帽子につけ毛がついたタイプのものもあります。

【脱毛中のケア】
■脱毛中の髪と頭皮の清潔に関して
シャンプーは以前から使用していたもので構いません。
シャンプーの原液が直接頭皮に触れたり指で頭皮を傷つけないように、洗髪時は、髪と地肌を十分ぬるま湯でぬらし、シャンプーはよく泡立てて(洗顔時の泡たてネットを使用してもよい)使いましょう。同様に、爪は短くして、爪をたてないように指の腹で優しく洗い、十分すすぐようにしましょう。

■ドライヤー
ドライヤーは刺激になるので、できるだけ控え、かけるときは弱風で低温、または冷風にしましょう。

■ 育毛剤
育毛剤も刺激になるので、脱毛中は使わないようにしましょう。

■髪が抜けてしまったときの頭皮の清潔
髪が抜けてしまったときの頭皮の清潔のためには、シャンプーを量を少なめにして使うか、ボディーソープや洗顔料などを使用してもかまいません。原液による皮膚への刺激を少なくするように、脱毛時と同様、地肌を十分ぬるま湯でぬらしてから、シャンプーやボディーソープ等は、よく泡立てて使いましょう。

■髪が生え始めた時期
治療終了後、髪が生え始めた際も、以前から使用していたシャンプーの使用で構いません。洗い方も脱毛中と同様、頭皮を傷つけないように注意しましょう。

■髪の毛以外の脱毛に関して
脱毛は髪の毛だけではなく、眉毛・まつ毛・鼻毛などの体毛にも起こります。
鼻毛がないと、鼻の中が乾燥し粘膜がいたみやすくなるため、外出時などはマスクなどを使用するとよいでしょう。
眉毛は、アイブロー(眉ずみ)などで書き、まつ毛がないと眼にごみが入りやすいため、めがねやサングラスなどを使用するとよいでしょう。

【眉毛やまつげなどの脱毛への対処】
■脱毛後に眉毛を描くときは、眉の位置がわかりにくいので、脱毛前にとった写真を参考にし、最初に、顔と眉のバランスを確認しましょう。

■アイブロー(眉ずみ)は、ウォ-タープルーフ(防水用)のものにすると、皮脂や汗が出てもアイブローが落ちにくくなります。

■男性の場合、アイブローの使用など未経験の場合が多いので、事前に練習をしておくとよいでしょう。また、ペンシルタイプよりアイブローパウダーが使いやすいでしょう。一色ではなく、ダークブラウン系やグレーで下書きしたうえに、黒を部分的に足していく方が自然な印象に仕上がります。

■眉毛やまつげに脱毛が起こっているときは、外出時などサングラスをかけると目元を目立たなくなります。

■つけまつげを使うときは、まず接着剤のパッチテストを行ってください。また、皮膚に直接接着剤が付着することは避け、メイクアップしたうえでつけまつげをつけるようにしましょう。

■「貼る眉毛」というものもあり、男性用もあります。男性は、うまくアイブローで描くのが難しい場合もあるので、こういったものを利用してもよいでしょう。商品をそのまま貼るのではなく、まず鏡で貼ったときのイメージを確認し、自分の顔にあうようにカットなどして調整してから貼りましょう。ただし、皮膚への刺激を避けるため、接着剤つきのものを使用しない方がよい場合もあります。「貼る眉毛」の使用を考えている場合は、一度看護師にご相談ください。また、試してみる場合も、まずパッチテストシートなどでかぶれ等がないか確認しましょう。パッチテストシートがあるかどうかは、購入元のメーカーでご確認ください。

【抜けた髪の処理】
コロコロなどの粘着シートがあると便利です。外出時、服についた毛をとるには、小さな携帯用のコロコロもあります。また、抜け毛が多い時期は、黒や紺などできるだけ濃い色の服を着ると、服に髪の毛がついていても目立ちにくいでしょう。

【運転免許証の写真】
2018年6月に、警察庁から都道府県の警察本部に「運転免許証の写真に関するがん患者等への配慮について」という通達が出されました。
がんの治療で脱毛している人が運転免許証の写真をとるときに、顔の輪郭がわかる範囲で頭を覆うなどする帽子(ニットキャップなど)に関しても、個人識別が確保できれば、使用が認められるようになりました。ただ眼が隠れたり影にならないようにかぶり方や帽子の種類など気をつけましょう。
また、かつらやウィッグ、スカーフなどに関しては、以前から使用を認められていましたが、この場合も顔の輪郭や眼が隠れたり影にならないようにしましょう。
不明な点は、運転免許センターや警察署にご相談ください。
がんの治療による脱毛など医療上の理由がある方から、運転免許証の写真について相談を受けたときや理由を確認する場合などは、その方のプライバシー等にも十分配慮するように通達が出ています。相談することを声に出して伝えにくいときは、あらかじめ、メモ用紙に「がんの治療で脱毛しているので、写真のことで相談したい」、理由を確認されたときは、「がんの治療で脱毛しているため、帽子をかぶっています」というような内容を書いて持参し、担当者にメモを渡すようにしてもよいと思います。

【つらい気持ちを一人で抱え込まない】
外見の変化というのは、こころのつらさを伴うことが多いと思います。
自分にとって、この治療は必要だ、この治療では脱毛が起こると説明を受けて、頭ではわかって納得したつもりでいても、こころがついていかないことがあります。かつらをつけたり、帽子をかぶったりして、人の視線が自分の頭にばかり注がれているように感じてしまうこともあります。これは、その人自身のこころのつらさから出ることなので、明確な1つの回答はありません。

つらいときは、我慢せずに、担当医や看護師、おかかりの医療機関の相談員やがん診療拠点病院相談支援センターの相談員、あるいはご家族に、相談したり、つらい気持ちを話してみてください。あなたは一人ではありません。一緒に考え、あなたのつらさを受けとめてくれる人がいるはずです。

通院治療のときは、外来診察の待ち時間や治療時などに顔を合わせる患者さんとお話してみてもよいでしょう。また病院以外でも、知り合った同じ病気の患者さんと話をしてみたり、患者会等が主催する同病者同士のおしゃべり会などに参加してみてはいかがでしょうか。同じ体験をしたからこそ分かち合える気持ちもあります。また人に話すことで、つらさが少し楽になることもあります。もしかしたら、良いアドバイスをもらえるかもしれません。

【参考資料】
(1)国立がん研究センター研究開発費 がん患者の外見支援に関するガイドラインの構築に向けた研究班.がん患者に対するアピアランスケアの手引き 2016年版.金原出版社
(2)野澤桂子, 藤間勝子.がん患者のアピアランスケア.南山堂.2017
(3)日本乳癌学会編.患者さんのための乳がん診療ガイドライン2016年版.金原出版

(更新日:2019年2月18日)



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