「がん体験者の悩みQ&A」では、2003年と2013年に実施した全国調査結果を整理して構築したがん体験者の悩みデータベースを公開しています。このデータベースに基づき、がん体験者の方々の悩みや負担をやわらげるための助言や日常生活上の工夫などの情報ツールの作成等を行っています。
なお、個別の回答やご相談は、仕組み上できかねますので、お困りごとやご相談がある方は、お近くの「がん相談支援センター」をご利用ください。

悩み

子宮がんの手術後、初回化学療法を行ったが、食欲がでず食事量も減っている。体重も減ってきて気にしているので、何か食べられそうなものを教えてほしい。
子宮がんの手術後、初回化学療法を行ったが、食欲がでず食事量も減っている。体重も減ってきて気にしているので、何か食べられそうなものを教えてほしい。(その他、子宮、2003年版)

助言

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【食欲不振に対する工夫のポイント】

食欲不振に対する工夫のポイントとして
◎ 食欲不振の原因が明らかならば、それを改善する工夫をする
◎ 気分のよい時に、食べられるものを食べる
◎ 抗がん剤治療に伴うからだの変化を知り、メリハリをつける
◎ 栄養補助食品を利用する
◎ 口に合う、たんぱく質豊富な食品をさがす
などがあります。

抗がん剤治療の副作用は、それぞれの薬によって起こってくる副作用が異なり、同じ薬であっても、患者さんによって副作用の程度などが異なります。また、副作用によって出てくる時期が異なり、続く期間も異なります。抗がん剤治療を受けている自分の体が、治療によりどのように変化するか、自分の場合、どういう副作用が、いつ頃でて、いつ頃まで続くのか等、メモなどとりながら整理してみましょう。
治療によって起こる体調の変化をあらかじめ理解しておくことで、予防策もたてやすくなり、副作用がやわらいでくる時期の目安を知ることで、安心感にもつながります。
そして、食事や栄養については、この体の変化に応じて、『がんばる時期』と『無理をしない時期』とメリハリを意識してみましょう。

具体的なメニューやレシピ、副作用への対応策に関しては、このサイトの『発行した冊子』にある『がんよろず相談Q&A 第3集 抗がん剤治療・放射線治療と食事編』が参考になるでしょう。また、メニューやレシピを症状に合わせて絞り込んで探したりができるインターネット上の情報提供サイトとして、『SURVIVORSHIP.JP』も参考になります。


 
参考になるホームページ
オストメイトJP
https://www.ostomate.jp
オストメイトJPでは、全国のオストメイト対応トイレを検索することができます。オストメイト対応トイレとは、オストメイトがトイレで、排泄物の処理、ストーマ装具の交換・装着、ストーマ周辺皮膚の清拭・洗浄、衣服・使用済み装具の洗濯・廃棄などができる設備があるトイレです。住所や施設名、駅・鉄道路線、高速道路・道の駅などで検索できます。また、スマートフォン用のアプリ(iPhone版、アンドロイド版)もあります。

 
【気分のよい時に、食べられるものを食べる】

治療中は正常細胞へのダメージも強く、通常よりもエネルギー量を必要とするため、体力を維持するための食事は重要です。けれども、栄養面や体力にこだわりすぎていると、食べることが「義務感」となり、かえって苦痛になってしまいがちです。
食事の基本的なルールはあまり気にせず、気分のよい時に食べられるもの、好きなものを食べるという気持ちをもちましょう。

1. 食べやすく、栄養をとりやすいもの
(1) 汁物
手軽にたくさんの種類の食品をとる方法として、みそ汁やスープのような汁物をおすすめします。いろいろな食品を一緒にとることで、相互作用が引き出され栄養価が高まります。また、温かいスープや冷たいスープなど工夫して食べてみましょう。
(2) カレーライス・めん類・酢の物
香辛料や味の濃いもの、酸味などで食欲を刺激することもあります。
(3) プリン・茶碗蒸し・豆腐・山いも
食べられるようであれば、たんぱく質が多く含まれている食品を加えるとよいでしょう。また、のどごしを良くするのも、おすすめです。豆類、鶏肉、卵などが比較的加えやすいといえます。
(4) 季節のくだもの・野菜ジュース
何種類かのくだものや野菜を組み合わせて、効率よく栄養をとることができます。旬のものなどを取り入れ、おいしく飲みましょう。ただし、あまり甘くしすぎないように気をつけましょう。
※ イレッサ服用中は、グレープフルーツジュースを控えてください。

◎ 患者さんの声
『のどごしのよいもの、冷たいもの、酸味のあるもの、味付けの濃いもの、食べやすいもの』などが、比較的皆さんに好まれています。 (※ 個人差があります)

2. すぐに食べられる工夫
食事の時間にこだわらず、「今なら調子も少し良いし、食べられそう」というように、自分の身体やこころに問いかけて、気分のよい時にすぐに食べられる工夫をしましょう。

○ 好きなものや食べられそうなものをいつも近くにおいておくと、気分のよい時にすぐに食べられます。
○ おむすびやおかずを小分けにするなどして、冷蔵庫や冷凍庫に入れておくと、食べたい時に電子レンジで温めれば、すぐに食べられます。また、気分のよい時に作り置きしておくとよいでしょう。
○ 食べられそうなものや食べやすかったものを覚えておいたり、作る人に伝えたりするとよいでしょう。


 
【口に合う、たんぱく質豊富な食品をさがす】

患者さんの多くは食欲不振などの症状から低栄養状態になり、食べやすいものとして糖質系(めん・パン・くだものなど)が中心になりがちです。そのため、たんぱく質の補給がとても重要になります。
けれども、実際にはたんぱく質を多く含む食品は、においなどから敬遠されがちです。患者さんの口に合うもので、たんぱく質が豊富に含まれる食品を探してみましょう。

1. チーズ
料理にのせて焼いてみましょう : パン・ハンバーグ・ホットドック・ピザ・肉・魚・野菜・卵
すり下ろして料理にかけてみましょう : スープ・ソース・グラタン・野菜・マッシュポテト・パスタ
サラダに混ぜてみましょう
料理に加えてみましょう : パスタ・オムレツ・炒り卵・カレー
おやつに加えてみましょう : チーズケーキ・ホットケーキ・クレープ

2. 牛乳・ヨーグルト
飲み物や料理に使ってみましょう : カレー・シチュー・グラタン・卵焼き・スープ・ホットケーキ・ヨーグルトサラダ
インスタント食品に加えてみましょう : シリアル(コーンフレーク)・スープ・ココア
その他 : ドレッシング、魚や肉の下味、ヨーグルトシェイクやヨーグルトアイスなどデザートに

3. 豆・豆腐
煮たり裏ごししたりして食べてみましょう : 茶碗蒸し・あんこ・プリン
料理に加えてみましょう : カレー・グラタン・ハンバーグ・煮物・炊き込みご飯


 
【食感的・視覚的な工夫】

食欲は食べる場所や雰囲気などによっても変わります。庭やベランダなど、いつもと違う場所での食事や、家族・友人と楽しく食事をするなど、気分を変えてみるのも食欲増進に効果的ですので、いろいろな工夫をしてみましょう。

1. 食感的な工夫
温かいものよりも、冷たいものの方が比較的食べやすいと感じられます。冷たくてもおいしく食べられるものを、メニューに取り入れてみましょう。

2. 視覚的な工夫
付け合わせや食器の柄などの色も食欲を増す効果があります。付け合わせは、食べられずに残すことになっても構わないと割り切り、それがあることで少しでも食べたいという気持ちにつながると考えるようにしましょう。
また、盛り付け方も工夫してみましょう。大きな器にたくさん盛り付けてしまうと、「こんなに残してしまった・・・」とか「これだけしか食べられなかった・・・」などと思ってしまうので、少しずつ盛り付け、いろいろな種類を用意してみるのもよいでしょう。


 

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