自分の助言集をつくる
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子どもに話をする前に、あなたがすべての不安を乗り越えておく必要はありません。しかし、不安が少しでもやわらげば、その分だけ、自信や余裕をもって子どもと向き合うことができるのではないでしょうか。
子どもは、親が病気にかかった、という事実よりもまず、『お母さん/お父さんが、何かを不安に思っている』という事実を敏感に察し、不安を感じます。
まず、病気に関して分からないことが残っていれば、担当医に確認しましょう。
不安が強く、とてもつらいとき、自分の気持ちを受けとめてくれる人、家族や何でも話せる友人に、不安に思っていることや揺れ動く思いを聴いてもらうことは、気持ちを楽にします。
一人でつらさを抱え込まないで、誰か周りの人に話してみましょう。つらい気持ちを誰かに打ち明けることは、あなたが自分の考えや思いを整理し、自分自身の中にある強さに気づくことにも役立ちます。
もし身近に自分の気持ちを受け止めてもらえそうな理解者がいないと感じるときには、おかかりの病院の相談室や地域のがん診療連携拠点病院にある相談支援センターにいる相談員に相談してみるとよいでしょう。
![]() 国立がん研究センター『がん情報サービス』:相談先を探す https://ganjoho.jp/public/index.html [相談先・病院をさがす]では、成人や小児の相談先・病院一覧(がん診療連携拠点病院、小児がん拠点病院)を病名や地域、病院の種類などから探すことができます。 |
病気について子どもに説明するときには、できるだけわかりやすい言葉で伝えましょう。
ただ、言葉を選ぶ、ということは、嘘をついたり、ごまかしたりすることではありません。
隠しごとをしたり、何かを聞いてはいけないような雰囲気を作ったりすると、病気という事実以上に子どもを傷つけ、不安にさせてしまうこともあるので、注意してください。
また、一度に何もかも伝えようとする必要はありません。子どもの反応を確かめながら、ゆっくりと段階的に話してよいのです。新しい状況を柔軟に受け止めるという点では、大人よりも子どもの方が長けていることもあることを、思い出してみてください。
また、がんについて子どもと一緒に考えるための絵本もいくつか出版されています。言葉の選び方や、話す順番について迷った時には、患者図書室、図書館、書店などで調べてみるのもよいでしょう。
がんについて説明するときに、もう一つ気をつけてほしいことがあります。
それは、『病気になったことで、親としての責任を果たせない』というメッセージを子どもに伝えてはならない、ということです。
がんになったことで、やり方そのものは変わるかもしれませんが、あなたはあなた自身のやり方で、親としての責任を果たすことができます。病気になったことで、引け目を感じたり、自分を責めたりする必要はありません。
がんになることで、あなたには、あなたにしか果たせない、新しい役割の果たし方が見えてくるのではないでしょうか。
病気に毅然と立ち向かう姿はもちろん、人間らしく悩んだり落ちこんだりする姿や、自分の病気をさしおいて見せてくれた気遣い、そういったものの一つひとつが、あなたの子どもにとって、きっと、かけがえのない学びとなり、人生の糧となるはずです。
“親であるからにはこうするべきだ”という自分自身の思いこみに縛られることなく、あなただけが子どもに伝えられることはなにか、考えてみてください。
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