「がん体験者の悩みQ&A」では、2003年と2013年に実施した全国調査結果を整理して構築したがん体験者の悩みデータベースを公開しています。このデータベースに基づき、がん体験者の方々の悩みや負担をやわらげるための助言や日常生活上の工夫などの情報ツールの作成等を行っています。
なお、個別の回答やご相談は、仕組み上できかねますので、お困りごとやご相談がある方は、お近くの「がん相談支援センター」をご利用ください。

悩み

社内や社外に知られていないはずの病名が噂となり、会社は退職を迫った。
1 件の体験者の声があります。

助言

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【解雇には合理的な理由が必要です】

法制度上は、会社には労働者を解雇する権利(解雇権)が認められています。このため、体の状態や職場の環境によっては、たとえあなたが仕事を続けたいと希望しても、本意ではない部署に配置換えされてしまったり、解雇されてしまったりすることもあるのが現実です。
ただし、『解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする』という労働契約法第16条の規定をはじめ、会社による解雇権の行使には一定の制限が課されています。
お悩みの件ですが、一般的には、がんを含めて『病名』(病気である、という事実)は、解雇の理由にはなりません。
ですが、病気によって、所定の業務を継続することが困難になると、解雇の合理的な理由とみなされる可能性が出てきます。ただし、その場合であっても、会社は配置転換の可能性などを検討して、解雇を避けるための努力をすべきである、という考え方が、判例によって示されています。
解雇の理由となりうる具体的な条件は、会社やあなたが結んでいる労働契約によっても変わってきます。解雇の要件は就業規則に明記されているので、必要に応じて調べておいた方がよいでしょう。


 
【仕事と病気に関する相談窓口】

仕事は、お金の面ではもちろん、自分らしく生きていくための支えにもなります。仕事に対するあなたの気持ち、職場の状況、からだの状況、家庭の状況などを含めて、今のあなたにとって一番よい方法はなにか、相談できる窓口を見つけることができれば、心強いと思います。
例えば、おかかりの病院の相談室やがん診療連携拠点病院の相談支援センターにソーシャルワーカーがいれば、就労に関する制度の知識をいかしながら、相談にのってもらえると思います。また、あなたの会社に産業医がいれば、仕事の状況や過去の事例を踏まえた助言を得られるかもしれません。労働基準監督署等に設置されている『総合労働相談コーナー』でも、病気に関係した就労上の悩みを相談できます。最寄りの『総合労働相談コーナー』の連絡先は、下記のホームページで調べることができます。


 
参考になるホームページ
(1)国立がん研究センター『がん情報サービス』:病院・相談先を探す
https://hospdb.ganjoho.jp/
がん情報サービスの[相談先・病院を探す]では、全国のがん診療連携拠点病院や小児がん拠点病院、希少がん情報公開専門病院等の一覧が掲載されていて、さまざまな条件で検索できます。病名やがんの種類、地域や病院の種類、診断や治療の実施状況、小児がん治療後のフォローアップ状況、小児がんの治療方法やセカンドオピニオンの対応状況などから探すことができます。また、成人や小児の相談先・病院一覧を見るでは、相談支援センターの名称や電話番号、病院情報などを閲覧できます。
(2)国立がん研究センター『がん情報サービス』:がんと仕事のQ&A
https://ganjoho.jp/public/institution/qa/index.html
厚生労働省の研究グループの研究成果をもとに作成された冊子「がんと仕事Q&A」第3版のweb版です。診断から復職まで、復職後の働き方、新しい職場への応募、お金と健康保険、家事や子育てなどの章にわけられ、それぞれQ&A方式で情報があります。
冊子PDF「がんと仕事Q&A」第3版は、下記からダウンロードできます。(A4縦サイズ)
https://ganjoho.jp/public/qa_links/brochure/pdf/cancer-work.pdf
(3)厚生労働省:総合労働相談コーナーのご案内
https://www.mhlw.go.jp/general/seido/chihou/kaiketu/soudan.html
厚生労働省のホームページ内の上記のページから、全国の総合労働相談コーナーの連絡先を調べることができます。

 
【これからのことを考えていく】

伏せていた病名が噂になっていたことで、ショックは大きかったと思います。“どこから話が伝わってしまったんだろう”と気になさっているかもしれません。ですが、“これからの社会生活で、どうすればよいコミュニケーションを取っていけるだろう”という風に、前向きな気持ちで考えていくことも大切だと思います。
たとえば、これから聞かれそうな事柄ついて、ご家族などと一緒に、『これを聞かれたら、こんな風に答えよう』と練習をしておくと、実際に誰かから尋ねられた時にも、ある程度こころに余裕をもって受け答えすることができると思います。
ご家族や親しい友人、病院のスタッフと話をすることで、気持ちが整理でき、これからのために何をしたらよいか、見えてくることもあります。つらい気持ちは自分のこころの中だけに閉じ込めずに、あなたがふさわしいと思う人にできるだけ聞いてもらうようにしましょう。


 

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【がん相談支援センター】
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静岡がんセンター「よろず相談
もしくは、静岡県内のお近くのがん診療連携拠点病院の「がん相談支援センター
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お近くのがん診療連携拠点病院の「がん相談支援センター
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