「がん体験者の悩みQ&A」では、2003年と2013年に実施した全国調査結果を整理して構築したがん体験者の悩みデータベースを公開しています。このデータベースに基づき、がん体験者の方々の悩みや負担をやわらげるための助言や日常生活上の工夫などの情報ツールの作成等を行っています。
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悩み

これからの仕事のことについて悩んだ。
30 件の体験者の声があります。

助言

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【仕事は、実生活、こころ、自分らしさなどいろいろな側面にかかわってきます】

仕事をどうしていくかは、実生活では、生活・経済面と大きく係わります。ただ、それだけではありません。患者さんによっては、がんの治療が終わっても、どこか自分の足が地についていない感覚だったり、自分だけが社会から取り残されたような感覚に陥ってしまうといわれる方もいらっしゃいます。仕事はある意味社会と接する機会です。仕事を続けること、仕事に復帰することが自分らしさを保つことにもつながる方もいらっしゃいます。ですから、早急に結論を出さずに、時間をかけて考えていきましょう。
現実的には残念ながらあなたが仕事を続けたいと思っても、会社から「病気が治るまで休むように」といわれたり、配置転換になったり、リストラ、自主退職をにおわされることもあるかもしれません。
現在向き合っている自分の生活、自分のからだを見据えながら、目の前にある問題を1つ1つ片付け、具体的で小さい目標を設定しながら、少しずつ事をすすめていくことが大切です。
たぶん、がんと診断されてから、理不尽と思うこと、なぜ自分がという思い、働きたくてもからだがついていかないと感じるときなど様々なつらさを感じておられると思います。山や谷があると思いますが、一人ですべてを考える必要はありません。できるだけ情報を集め、同時にあなたが気持ちを分かち合える人や支えてくれる人を見つけていきましょう。同じ患者さん同士、病院のソーシャルワーカー、あるいは仕事場に産業カウンセラーや産業医がいれば、そういう方々もあなたのサポーターになってくれるはずです。


 
【病気や治療の状況と仕事】

現在、あなたはどういう状況でしょうか。がんと診断された直後、治療開始までの精査・入院待ちの時期、治療中、治療終了後、再発・転移とわかったとき、などそれぞれの時期であなたの状況や予定も異なってくると思います。

1.がんと診断された直後
がんと診断された直後は、これまであまり意識することのなかった死が脳裏をよぎったり、未来が突然ふさがれたような感覚に陥ったり、家族のこと、仕事のこと、お金のこと、これからの生活のこと、今後自分がどうなっていくのかなど様々な思いが渦巻くことがあります。この時期は、こころが激しく動揺していたり不安定です。

仕事については目前の調整を済ませることを優先しましょう。今後の病院でのスケジュールにあわせて、休みや早退、あるいはご自身でお店などされているときは、その日は誰かにまかせるなどが可能かどうかという短期的な調整をまず行っていきましょう。

2.治療開始までの精査・入院待ちの時期
がんと診断がついた後も、がんの広がりや性質を詳しく調べていくための検査が入ってきます。その後、最終的に治療方針が決まり、今後の治療スケジュールがわかってくると思います。
あなたのこころは、がんと診断直後よりは少し落ち着いてきているかもしれません。

医師からの説明時に、仕事に関しても確認しておきましょう。治療によっては入院するしないにかかわらず、しばらく仕事はお休みするように説明や指示があるかもしれません。また、退院してすぐ仕事復帰できるとは限りません。仕事の内容(事務系、営業系、体を使う仕事など)によっても異なりますし、もともとのその方の基礎体力、治療によるからだの影響の程度も個人差があります。また、入院して治療、手術予定が入っても入院待ちの期間があるかもしれません。
いつ頃入院できるのか、どのくらいの入院期間なのか等、まず一般的な場合の見通しを確認しておきましょう(ただし、これはそのときの状況でずれることもあるので、まだ目安であることを理解しておきましょう)。

そして、まずその一般的な想定期間の仕事の調整を検討しましょう。入院待ちの間は、基本的には仕事は続けても問題ないと思います。この間に、仕事の引き継ぎ、様々な手続きなどしておきましょう。雇用者の場合、仕事を休む期間、年次休暇とするか、あるいは病休とするかという点もあります。また、病気休業中の健康保険加入者とその家族の生活を保障するための制度として『傷病手当金』があります(詳細は、保険証に記載のある保険者にご確認ください)。
傷病手当金は、病気やけがで休んだ期間のうち、最初に連続して休んだ3日間を待機期間として、4日め以降に支給されます。支給期間は通算して1年6ヶ月です。
ご自分でお店などされているときは、誰にまかせるか、引き継ぎはどうするか、まかせた相手が仕事がしやすいようにいろいろと説明が必要になるかもしれません。
営業職であれば、得意先にもそれなりの説明をする必要があるかもしれません。ただ、がんの治療と必ずしも言う必要はありません。信頼できる上司と相談してみましょう。

3.治療中
治療中の仕事に関しては、仕事の種類、治療形態や治療方法、治療によるからだへの影響などで異なります。通院治療で定期的に抗がん剤治療を外来で受けながら仕事をしていらっしゃる方もいらっしゃいます。また、治療中は休職し治療に専念して治療が終了してから考えるという方もいらっしゃいます。担当医、勤務先ともよく相談して決めていきましょう。

4.治療後
仕事に復帰する際には、大前提として、『自分の体のことは、自分で責任をもって守り、いたわる』という気構えを持っておくことが大切です。その上で、必要に応じて、周囲の理解や協力も求めて行きましょう。
また、仕事内容にもよりますが、仕事復帰直後から手術前と同じように100%のペースで仕事をするのではなく、できることなら、職場の仲間や上司と相談して、仕事の量を減らしたり、軽い仕事から始めさせてもらったりしましょう。
大切なことは、無理をしないでいい範囲で、少しずつ、からだとこころの両方を慣らしていくことです。
時間が経つことで、あなたの体力は少しずつ回復します。それと同時に、あなたのこころもまた、新しい状況を受けとめるための力をつけていくはずです。
周囲の人は、治療がどんな影響をもたらすのか、あなたがどういうことに不自由を感じているのか、“教えてもらわないと分からない”と思っているかもしれません。回復途中にあるときは、状況が変化するのでなおさらです。
協力してほしいことは、あなたから口にだすようにしてみましょう。周囲の人が負担に思うことは少なく、あなた自身の思いを聞くことで、あなたのことをより理解できるようになると思います。
治療後の体と社会生活の適応をはかっていくとき、予想しない問題にぶつかったような気持ちをもったり、気疲れしたりすることがあるかもしれませんが、少し前のことを振り返ってみると、回復を感じられると思います。


 

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