自分の助言集をつくる
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退職という選択については、おそらくご主人もよく考えて選ばれたのだと思います。あなたを支えたい、というご主人の思いがよい形で実を結び、ご夫婦が安心して暮らしていくためにも、経済面の気がかりは早めに解消しておきましょう。
いろいろな状況が考えられ、取るべき対処法もそれぞれに異なると思いますが、前提として、今後の治療やからだの状態の見通しについて、担当医から話を聞いておくことが大切です。
治療がどのくらい続き、その間にどの程度の医療費の負担が見込まれるのか、また、看病のために人の手を借りなければならない状態がどのくらい続きそうなのか、担当医に確認して、ある程度の目安を教えてもらいましょう。
今後必要になるお金や人手について、おおよその見当がつけば、具体的に準備を整えていくこともできるでしょう。
お悩みについてですが、かかっている医療費の額、からだの状況、家庭の状況、ご夫婦の希望、といった条件が合えば、次のような制度が活用できるかもしれません(かっこ内は問い合わせ窓口)。なお、これらの制度は変更になる場合があるので、ご注意ください。
○ 高額療養費制度(資格確認書、マイナ保険証の資格情報のお知らせ、もしくはマイナポータル記載の保険者)
『高額療養費制度』は、医療機関等で支払った保険診療の対象となる医療費(差額ベッド代や食事代などは別途必要になります)が、月の初めから終わりまでの1か月で一定の額(自己負担限度額)を超えた場合に、保険者に申請することで(多くの健康保険組合や共済組合は、自動的に高額療養費が支給されます)、その超えた金額を支給する制度になります。
医療費は年齢や収入に応じて1カ月に支払う自己負担限度額が定められています。この自己負担限度額は、月単位で設定されていましたが、2026年8月から年間単位での上限も設けられるようになりました。これを「年間上限」と言い、ひと月の医療費の支払いが自己負担限度額に達することなく多数該当による医療費の減額ができなかった場合でも、1年間に支払った医療費の累積で「年間上限」を超えれば還付を受けられる仕組みになります。なお、「年間上限」は所得区分で金額は異なります。
現在はマイナ保険証利用、もしくは健康保険の記号番号のオンライン認証システムを採用している医療機関の場合、資格確認書を利用されている方でも医療機関の窓口で高額療養費の自己負担限度額までの請求となります。マイナ保険証を利用されている場合、あらかじめマイナポータルにて限度額の確認をすることができます。
なお、入院費と通院費の双方が高額になるなど世帯合算をして高額療養費に該当する場合など、一部の保険者を除き保険者への申請が必要になります。
医療費が高額になりそうな時には、あらかじめ『限度額適用認定証』等を保険者に申請・交付を受けて、医療機関の窓口で提示することで、入院、外来診療ともに窓口の支払いを自己負担限度額までにとどめることもできます。
『限度額適用認定証』等の手続きは、新しく保険加入をしたばかりなどの理由で、①オンライン認証システムに保険情報がまだ反映されていない場合、②資格確認書の記号番号でのオンライン認証システムを採用していない医療機関に受診する場合、または③資格確認書を利用する方でご自身の負担限度額を確認したい場合や証明する書類が欲しい場合に行うとよいでしょう。
なお、後期高齢者医療保険制度の場合、限度額適用認定証等は廃止されており、希望者に資格確認書へ限度額を併記する運用に変更されています。
注意)国民健康保険・後期高齢者医療保険制度の被保険者の方で、保険料の滞納がある方は、医療機関の窓口での自己負担限度額までの支払いにできない場合や限度額適用認定証等の発行がされない場合があります。
なお、入院中の食事代や個室等を利用する際の差額ベッド代等は別途必要になります。
〇 国民健康保険の高額療養費貸付制度(市区町村の担当課、もしくは社会福祉協議会)
医療費が高額で一時払いも難しい時、国民健康保険の保険者によっては高額療養費貸付制度を持っている場合があります。
この制度は後から払い戻される高額療養費分を先に戻してもらうものであり、借金とは異なります。貸付金と本人負担分を添えて、医療機関にお支払いください。
なお、加入している保険者によって貸付金額は、異なります(高額療養費の8~10割相当額)。また、国民健康保険の保険者によっては受領委任払いを採用している場合もあります。その場合にはまず自己負担分を医療機関にお支払いいただくと、残りの高額療養費の該当分を保険者が直接医療機関に収めることになります。
〇 雇用保険(失業給付)の受給期間の延長手続き
退職後も引き続き傷病手当を受給する場合、雇用保険の失業給付を合わせて受給することはできません。失業給付については原則退職日から1年以内の受給期間内に支給される再就職のための給付金になりますが、病気・妊娠・出産・親族の介護等のやむを得ない事情により引き続き30日以上職業につけない場合は、ハローワークに「受給期間延長」を申請することで受給期間に職業につけない期間を加えることができ、離職日より最長4年以内(本来の受給期間をあわせた期間)まで延長することが可能です。この手続きを行うことで、働ける状態になった時、失業給付を受給しながら求職活動を行うことができるようになります。
○ 介護保険制度(お住まいの市区町村の担当課)
65歳以上の介護が必要な方は、市区町村に申請して認定を受けることで、収入に応じて1割から3割の自己負担でさまざまな介護サービスを受けられます。40歳以上65歳未満の方も、特定の疾病にかかっている場合(がんもがんの治療が難しくなり、生活で何らかの介護が必要になった場合には特定疾病の一つに含まれます)で要介護認定を受けると利用できます。
○ 身体障害者手帳(市区町村の担当課)
病気や病気の治療で回復の見込みがない障害が残り、その障害の状態が既定の基準に該当する場合、身体障害者として認定を受け取得できます。医療費の助成(障害等級等条件があります)、障害の種類に応じた補装具等の交付、税金の控除、交通機関・公共施設・携帯電話の料金の割引など、さまざまな支援が受けられます。
○ 障害年金(国民年金:市町村役場、厚生年金:年金事務所等)
病気そのものの影響や、病気の治療による障害や全身の衰弱が原因で働くことや日常生活に制限を受けたり、生活上の介助が必要になったりした時に、生活の保障として利用できる制度です。一部の例外を除き、初診から1年半経過後に申請することが可能となり、初診時に加入していた年金の種類や障害の状況等によって受け取れる年金額が異なります。
○ 老齢年金の繰り上げ支給(国民年金:市町村役場、厚生年金:年金事務所等)
60歳以上であれば、通常65歳から支給される老齢基礎・厚生年金を申請によって繰り上げて受給することができます。ただし繰り上げをした時期に応じて年金額は減額されるなどデメリットもあります。
○ 医療費控除(税務署)
生計を一にする親族の医療費の合計が1年間に合計10万円(所得金額が200万円未満の人は所得金額の5%)以上になった場合、確定申告をすることで所得税等が軽減されます。
○ 生活保護(市区町村の担当課)
資産や能力等使えるすべての手段を活用してもなお、生活に困窮する方に対し、「健康で文化的な最低限度の生活」を保障する制度になります。日常生活に必要な生活費や家賃等は現金給付で、また医療費や介護費等についてはサービスを現物給付するというシステムになっています。
これらの制度は、それぞれ利用するための条件があり、問合せや申請の窓口も異なります。インターネットで調べたり、各窓口に問い合わせたりするほか、当ホームページで公開している学びの広場シリーズ暮らし編『医療費控除のしくみ』、『医療費のしくみ』でも情報を得ることができます。
(更新日:2026年7月29日)
制度の詳しい内容を調べ、自分たちの場合にどう活用していけばよいか検討するためには、時間もエネルギーも必要になります。
調べるのが大変な時には、通院先の病院のソーシャルワーカーに相談してみるのがよいでしょう。ソーシャルワーカーは、あなたの状況を詳しく伺った上で、制度の活用を含めた生活に関する様々な助言をくれると思います。
通院先の病院にソーシャルワーカーがいない時には、お住まいの地域の近くにあるがん診療連携拠点病院等に設置されているがん相談支援センターを調べて、相談してみてもよいでしょう。なお、ソーシャルワーカーへの相談は一般的には無料です。

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