「がん体験者の悩みQ&A」では、2003年と2013年に実施した全国調査結果を整理して構築したがん体験者の悩みデータベースを公開しています。このデータベースに基づき、がん体験者の方々の悩みや負担をやわらげるための助言や日常生活上の工夫などの情報ツールの作成等を行っています。
なお、個別の回答やご相談は、仕組み上できかねますので、お困りごとやご相談がある方は、お近くの「がん相談支援センター」をご利用ください。

悩み

自分の気持ちをどうもっていけばいいのかわからなくなり、考え込んでばかりだった。
1 件の体験者の声があります。

助言

自分の助言集をつくる EPUB形式でダウンロード  印刷用表示

【がんと診断されることは誰にとっても衝撃的な出来事】

がんと診断されることは、衝撃的な出来事です。特に、余命を告げられるということは、死を意識し、その衝撃はとても大きいと思います。今回の悩みの調査のなかにも何人も書かれていた「その瞬間頭が真っ白になってしまって、その後先生が何を話したのか全然覚えていない、どうやって自宅に帰ったのかもわからない。」、「呆然として何が何だかわからない。」などの言葉が、その衝撃の大きさをあらわしていると思います。混乱のなかで、気持ちが落ち込んだ状態が続き、部屋に引きこもってしまったり、誰とも話したくなくなることもあります。ご家族や親しい人々の何とか支えたいという思いからかけた言葉も、時には白々しく感じ、誰にも自分のつらさはわからないのに、簡単なことを言うな!と怒りの気持ちがわくこともあります。同時に、どうなるのかわからない未来への漠然とした不安が次々と頭をめぐります。
こういうときは、こころがとても過敏になっていますから、周囲の何気ない言葉や振る舞い、視線などに対して、悪い方へと考えがちで、自分だけが孤立してしまったような感覚にもなります。
こころの動揺や不安定さは、がんを告げられたとき、余命を告げられたとき、誰にでもあることです。ご家族や周囲の方々も、患者さんのこのようなこころの状態を理解することが大切です。


 
【その後のこころの動き】

こころが落ち着いてくるまでの期間は人によって異なりますが、2~3週間くらいすると、少しずつ具体的なことを考えたり、気持ちが落ち着いてきます。これは、こころがすっかり落ち着きを取り戻したということではなく、まだ不安定ではありますが、その中でも少しずつ変化が出てくるということです。
この時期になると、周囲の人々の自分へのいたわりや、自分を必要としてくれる気持ちが少しずつ素直にこころの中にも入ってきます。


 
【こころが不安定な状態が続く時は、こころの専門家もサポートしてくれる】

不安定なこころの状態が続く時には、一度こころの専門家に相談してみるという方法があります。
こころが不安定で、他には何も考えられなくなった、何事にも集中できない、誰とも話したくない、夜眠れない、食欲がない、などそういった症状が続くような時は担当医やこころの専門家(精神腫瘍科医、心療内科医、精神科医、臨床心理士、心理療法士、リエゾンナースなど)に相談してみてください。気持ちを落ち着けるお薬を飲んだ方がいい場合もあります。
こころの専門家というと、“自分がおかしくなったのではないか”と思い抵抗がある方もいらっしゃると思いますが、このようにこころが不安定な状態になることは、がんにかかった多くの方が経験することです。
がんと向き合う時、からだの方は担当医がサポートしてくれますが、こころの方は周囲の人とともにサポートしてくれる専門家に少し頼ってみることで、どうしていけばよいのか、自分なりの答えがみつけられることがあります。


 
【焦らない】

がん告知を受け入れられなかったり、医師の診断に疑いや不信があったり、気持ちが動揺して落ち着かなかったり、訳もなく怒りがこみあげてきたり・・・そういうときは、すぐに何かをしようとしたり、焦る必要はありません。人と話したくなければ話さなくてもよいですし、一日中布団に入っていたければそれでもかまいません。泣いてもいいですし、怒ってもかまいません。これは、こころが、あなた自身を支えていくための準備期間です。
そして、翌日、あるいは数日おいて、ふっと、「なぜ○○なんだろう。」とか、「○○って何だろう。」とか、疑問が浮かんだり、ご家族の言葉がすうっと耳に入ってきたり、ご家族の優しさがあたたかいと感じたり・・・となったときに、ご家族や周囲の人と話をし、相談してみましょう。
医師の説明がわからなかったり、納得がいかないのであれば、もう一度面談を申し込んで、ご家族と一緒に説明をきいてみましょう。


 
【家族や周囲の方の対応】

ご家族や身近な方は、患者さんのこころが不安定な状態になっていることを、心に留めておきましょう。患者さんが、ご家族の言葉やふるまいに過剰とも思える反応があっても、それは患者さんが心を許せるご家族だから自然に出ていることです。また、大きな衝撃を何とか乗り越えようと、患者さんのこころの中では本当に大変な努力が行われているのです。
このような時期には、特に「がんばれ」や「しっかりしろ」という励ましや、「考えるな」という言葉は禁句です。患者さんは一生懸命がんばっているし、しっかりしたいと誰よりも願っているからです。この時期には、「見守る」ことが大切です。


 

ご意見・ご感想

よりよい情報提供を行うために、ご意見やご感想をお寄せください。
いただいた評価やご意見・ご感想は、今後、このコンテンツ(情報のなかみ)に役立たせていただきます。

なお、個別の回答やご相談は、仕組み上できかねますので、お困りごとやご相談がある方は、下記「がん相談支援センター」をご利用ください。

【がん相談支援センター】
お困りごとやご相談がある方は、
●静岡県内の方は、
静岡がんセンター「よろず相談
もしくは、静岡県内のお近くのがん診療連携拠点病院の「がん相談支援センター
●静岡県外の方は、
お近くのがん診療連携拠点病院の「がん相談支援センター
にご相談ください。

【このコンテンツの評価】
※このコンテンツは役立ちましたか?
役立った 少し役立った どちらでもない あまり役立たない 役立たない
※あなたは  患者  家族  医療関係者  行政関係者  その他

【このコンテンツへのご意見・ご感想】
注)自由記述欄への個人情報のご記入はご遠慮ください。


がん体験者の悩みQ&A

がん体験者の悩みQ&A