「がん体験者の悩みQ&A」では、2003年と2013年に実施した全国調査結果を整理して構築したがん体験者の悩みデータベースを公開しています。このデータベースに基づき、がん体験者の方々の悩みや負担をやわらげるための助言や日常生活上の工夫などの情報ツールの作成等を行っています。
なお、個別の回答やご相談は、仕組み上できかねますので、お困りごとやご相談がある方は、お近くの
「がん相談支援センター」をご利用ください。
悩み
がんと診断され、目の前が真っ暗になった。
35 件の体験者の声があります。
- (患者本人、60代、女性、胃、2003年版)目の前が真っ暗になった。何で私が1番恐れていた病気になるのかと思うといたたまれなかった。
- (患者本人、60代、女性、卵巣・卵管、2003年版)がんと診断されたときは目の前が真っ暗になり、精神的に落ち込んだ。
- (患者本人、60代、女性、膀胱、2003年版)まさか自分にがんが、と目の前が真っ暗になった。医学書で読んだら、膀胱がんは他に転移しないとあったので少しは安心をした。
- (患者本人、70代、女性、胃、2003年版)告知を受けたときは、目の前が真っ暗になり精神的に非常に落ち込み、自分はもう死ぬのではと思った。時が経つにつれて精神的にも落ち着き、がんばろうと思った。
- (患者本人、50代、女性、子宮、2003年版)目の前が真っ暗になった。
- (患者本人、50代、女性、胃、2003年版)告知されたときは目の前が真っ暗。入院までの数日間は泣きながら家の整理、掃除を済ませた。家族を残して死ぬわけにいかない、早く手術で悪いものを取ってもらいたい。
- (患者本人、70代、女性、乳房、2003年版)目の前が真っ黒になり何も考えられなかった。
- (患者本人、60代、女性、胃、2003年版)診断された瞬間やはり目の前が真っ暗になった。冷静になると1年程前から家族の介護をしていたのでそれができなくなることで1番悩んだが、その悩みのために自分の病気への悩みは半減されていたように思う。
- (患者本人、50代、女性、肺、2003年版)突然目の前が真っ暗になったような気がした。とりあえず何をしたらよいかどうしたらよいのか暮らしはどうするのか頭の中を同じことがぐるぐる回るばかりの日々だった。結局医者の指示に従って病気の治療に専念することが第一とそこからスタートした。
- (患者本人、60代、女性、子宮、2003年版)がんと診断された日は目の前が真っ暗で、体の力が抜け何することもできなかったが、入院と共に静かに治療を受けることができた。
- (患者本人、60代、女性、肺、2003年版)検査結果を先生から聞かされた時は心臓に銃口を突きつけられたように身の毛がよだち、目の前が真っ暗になったような思いにかられた。
- (患者本人、60代、女性、乳房、2003年版)看護婦なのである程度のことは知っていたが、自分ががんとなるとやはり目の前が真っ暗になり、主人が一人で生活していけるかが1番心配だった。
- (患者本人、60代、女性、乳房、2003年版)一瞬死を思った。がんと診断された時、目の前が真っ暗になった。
- (患者本人、50代、女性、乳房、2003年版)目の前が真っ黒で何も考えられなかった。
- (患者本人、60代、女性、乳房、2003年版)健診で乳房にしこりがあると言われて、家族歴、身内にもがん患者がいなかったため、目の前が真っ暗になり、身内に告白するのもショックがあると思い悩んだ日々だった。
- (患者本人、50代、女性、胃、2003年版)もともとポリープがあると言われており、しばらく検査をしていなかったので、やはり、と思った。特に自覚症状とかはなかったので、とにかく初期であることを願った。目の前が真っ黒になった。
- (患者本人、60代、女性、乳房、2003年版)一瞬目の前が真っ黒になった。でも友だち、親戚が乳がんをして2人共10年以上元気なので安心した。親戚はがんでもたちの悪いがんだったと聞いたが10年以上元気だったので、安心した。
- (患者本人、70代、女性、その他のがん、2003年版)初めての入院でもあり、ましてリンパ腺がんと聞かされ、なぜ私が、と目の前が真っ暗になった。高齢でもあり、このまま二度と家に帰れないのではと不安でいっぱいだった。
- (患者本人、50代、女性、乳房、2003年版)目の前が真っ暗になって、何も考えることができなかった。
- (患者本人、60代、男性、肺、2003年版)目の前が真っ暗になった。医者は手術すれば早く治ると言うけれど、果たして成功するかどうか考えた。
- (患者本人、80代、男性、咽頭・喉頭、2003年版)死ぬかと思った。目の前が真っ暗になった。
- (患者本人、60代、女性、乳房、2003年版)乳がんと告知され、目の前が真っ暗になり、どうやって家に帰ってきたかわからなかった。
- (患者本人、60代、男性、咽頭・喉頭、2003年版)仕事の事が1番心配だった。先行きどうなっていくのか、目の前が真っ黒になった。
- (患者本人、60代、男性、胃、2003年版)胃がんは集団検診で発見されると思っていたが、血液検査で発見されないことを知り、検査の結果が出て目の前が真っ暗になった。生きていても、死んだ方がましかと思った。
- (患者本人、70代、女性、子宮、2003年版)乳がん、5年後に子宮がんと診断された。その時どうして私ががんにと目の前が真っ暗になるような気がした。
- (患者本人、70代、女性、子宮、2003年版)どうして私ががんにと目の前が真っ暗になるような気がした。
- (患者本人、70代、男性、前立腺、2003年版)告知を受け、目の先が真っ黒になり、これから先どのように生きるべきか、職場のことが最も悩んだことであり、家庭については将来の私の考えを話し合い理解することに努めた。
- (患者本人、50代、女性、口腔・舌、2003年版)自分はどうなってしまうのか、手術をして本当に完全に治るのか、再発はしないのか、言葉をちゃんと喋れるのか、食べ方はどうなるのかなど不安で目の前が真っ黒になった。
- (患者本人、70代、男性、肺、2003年版)がんは他人のものと思っていた。私に告知された時はびっくり。動転いたし、目の前が真っ黒になった。
- (患者本人、60代、男性、大腸、2003年版)妻が脳出血で倒れ現在身障者なので、世話をする立場の自分ががんと診断された時は目の前が真っ暗になった。
- (患者本人、50代、女性、乳房、2003年版)目の前が真っ暗になり、診断から1週間後に手術だったが、その間泣いてばかりで、子どもが小さかったので子どものことが気がかりだった。
- (患者本人、70代、女性、胃、2003年版)自分ががんと診断され目の前が真っ暗になった。頭のすみはいつもがんであることを考え悩んだ。また胃だけ切っても他のところに転移するのではと心配。
- (患者本人、60代、女性、子宮、2003年版)がんと診断された時は目の前が真っ暗になり、悪い方ばかり考え何も手に付かず、子どもや友だちに相談し少しずつ気持ちが落ち着き、入院の準備をした。
- (患者本人、60代、女性、甲状腺、2003年版)がんと告知された時は、目の前がまっ黒くなった。主が脳内出血で倒れ、身体も不自由になり、その上言語障害が重いままの8年間の看病を私1人で看取ったあげくの自分の病気、それも「がん」とのことで、とっても落ち込んでしまった。
- (患者本人、50代、女性、胃、2003年版)どうして、どうしてどこも痛くなにのにと思い、目の前が真っ暗になり何も手につかない。
助言
自分の助言集をつくる
EPUB形式でダウンロード
印刷用表示
【がんと診断されることは誰にとっても衝撃的な出来事】
がんと診断されることは、衝撃的な出来事です。特に、余命を告げられるということは、死を意識し、その衝撃はとても大きいと思います。今回の悩みの調査のなかにも何人も書かれていた「その瞬間頭が真っ白になってしまって、その後先生が何を話したのか全然覚えていない、どうやって自宅に帰ったのかもわからない。」、「呆然として何が何だかわからない。」などの言葉が、その衝撃の大きさをあらわしていると思います。混乱のなかで、気持ちが落ち込んだ状態が続き、部屋に引きこもってしまったり、誰とも話したくなくなることもあります。ご家族や親しい人々の何とか支えたいという思いからかけた言葉も、時には白々しく感じ、誰にも自分のつらさはわからないのに、簡単なことを言うな!と怒りの気持ちがわくこともあります。同時に、どうなるのかわからない未来への漠然とした不安が次々と頭をめぐります。
こういうときは、こころがとても過敏になっていますから、周囲の何気ない言葉や振る舞い、視線などに対して、悪い方へと考えがちで、自分だけが孤立してしまったような感覚にもなります。
こころの動揺や不安定さは、がんを告げられたとき、余命を告げられたとき、誰にでもあることです。ご家族や周囲の方々も、患者さんのこのようなこころの状態を理解することが大切です。
【つらい気持ちを抱え込まない】
とてもつらい時、自分の気持ちを受けとめてくれる人、家族や何でも話せる友人に、不安に思っていることや揺れ動く思いを聴いてもらうことも、気持ちを楽にします。一人で、つらさを抱え込まないで、周囲の人に話してみましょう。泣いてしまってもかまいません。
また、口にしなくても、ふっと自分を心配し気遣う周囲の人々の思いが感じられた時、一人ではないと感じて温かい気持ちになれたり、そんな時間がほんの少しでも気持ちを楽にしてくれると思います。
【家族や周囲の方の対応】
ご家族や身近な方は、患者さんのこころが不安定な状態になっていることを、心に留めておきましょう。患者さんが、ご家族の言葉やふるまいに過剰とも思える反応があっても、それは患者さんが心を許せるご家族だから自然に出ていることです。また、大きな衝撃を何とか乗り越えようと、患者さんのこころの中では本当に大変な努力が行われているのです。
このような時期には、特に「がんばれ」や「しっかりしろ」という励ましや、「考えるな」という言葉は禁句です。患者さんは一生懸命がんばっているし、しっかりしたいと誰よりも願っているからです。この時期には、「見守る」ことが大切です。
【その後のこころの動き】
こころが落ち着いてくるまでの期間は人によって異なりますが、2~3週間くらいすると、少しずつ具体的なことを考えたり、気持ちが落ち着いてきます。これは、こころがすっかり落ち着きを取り戻したということではなく、まだ不安定ではありますが、その中でも少しずつ変化が出てくるということです。
この時期になると、周囲の人々の自分へのいたわりや、自分を必要としてくれる気持ちが少しずつ素直にこころの中にも入ってきます。
【自分の中の強さ】
人間というのは、ある意味でとても強いものです。無意識のうちに、こころを防衛しようと試みますし、過去に自分が同じようなつらさを味わった時の対処を試みようとします。
『がん体験者の声』の中には、動揺や絶望感だけではなく、それぞれの方が自分なりに対処しようとする行動や周囲へのサポートを求める中で解決しようとしている行動も書かれています。
前向きにという言葉は、いろいろとつらい思いをされている患者さんやそのご家族にとって簡単に口にできるものではありませんが、自分の中の強さを信じることは大事だと思います。同時に、周囲の人々から、積極的に眼にみえる言葉やふるまいはなくても、さまざまな場面で支えてもらっていると思います。
【こころが不安定な状態が続く時は、こころの専門家もサポートしてくれる】
不安定なこころの状態が続く時には、一度こころの専門家に相談してみるという方法があります。
こころが不安定で、他には何も考えられなくなった、何事にも集中できない、誰とも話したくない、夜眠れない、食欲がない、などそういった症状が続くような時は担当医やこころの専門家(精神腫瘍科医、心療内科医、精神科医、臨床心理士、心理療法士、リエゾンナースなど)に相談してみてください。気持ちを落ち着けるお薬を飲んだ方がいい場合もあります。
こころの専門家というと、“自分がおかしくなったのではないか”と思い抵抗がある方もいらっしゃると思いますが、このようにこころが不安定な状態になることは、がんにかかった多くの方が経験することです。
がんと向き合う時、からだの方は担当医がサポートしてくれますが、こころの方は周囲の人とともにサポートしてくれる専門家に少し頼ってみることで、どうしていけばよいのか、自分なりの答えがみつけられることがあります。
【自分なりの対処方法が見つかります】
不安が強い時、精神的に不安定な時、どうしたらよいかということに対して、はっきりした答えはありません。それぞれ自分なりのやり方があります。
どうしたらよいか考える時、自分が今まで同じようにつらい出来事に遭遇した時、どうしたかを思い出してみましょう。人によっては何かに集中したり、そういう時間が少しでもあるとほんの少しでも楽になる時があります。泣けるようなテレビや映画をみて、思い切り泣いたという人もいます。スポーツをした人もいます。仕事に集中した人もいます。病気や治療について、一生懸命に調べて情報を集める人もいます。
自分が過去に行ってみて成功したやり方を試してみましょう。
ご意見・ご感想
よりよい情報提供を行うために、ご意見やご感想をお寄せください。
いただいた評価やご意見・ご感想は、今後、このコンテンツ(情報のなかみ)に役立たせていただきます。
なお、個別の回答やご相談は、仕組み上できかねますので、お困りごとやご相談がある方は、下記「がん相談支援センター」をご利用ください。
【がん相談支援センター】
お困りごとやご相談がある方は、
●静岡県内の方は、
静岡がんセンター「よろず相談」
もしくは、静岡県内のお近くのがん診療連携拠点病院の「がん相談支援センター」
●静岡県外の方は、
お近くのがん診療連携拠点病院の「がん相談支援センター」
にご相談ください。