「がん体験者の悩みQ&A」では、2003年と2013年に実施した全国調査結果を整理して構築したがん体験者の悩みデータベースを公開しています。このデータベースに基づき、がん体験者の方々の悩みや負担をやわらげるための助言や日常生活上の工夫などの情報ツールの作成等を行っています。
なお、個別の回答やご相談は、仕組み上できかねますので、お困りごとやご相談がある方は、お近くの「がん相談支援センター」をご利用ください。

悩み

おう吐や髪の毛が抜けるなどの副作用に対する不安があった。
1 件の体験者の声があります。

助言

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【自分の治療を理解しましょう】

抗がん剤治療というと、「髪が抜ける」、「吐く」というマイナスイメージを持たれる方が多いかもしれません。これまで経験したことのない事柄であれば、なおさら不安があって当然です。
ただ、抗がん剤の副作用といっても、薬の種類や組み合わせによって出現する副作用は異なり、また副作用の出方は個人差があります。同様に、「苦痛=つらさ」というのも、感じ方は痛みと同じで人それぞれです。また吐き気や食欲不振などは、精神的な影響もあります。
抗がん剤の副作用には、自覚的なものとして、吐き気やおう吐、脱毛、便秘や下痢、食欲不振、しびれなどがあります。白血球や血小板の低下や貧血等の骨髄抑制は、自覚症状が乏しく血液検査から把握します。臓器(肝臓や腎臓、肺、心臓など)などの影響についても検査を行なって判断します。
多くの副作用は短期間で回復してきます。患者さん自身が特に苦痛に感じられるのは、脱毛、吐き気やおう吐、食欲不振、倦怠感などが多いようですが、時期がくれば落ち着いてきます(ただし、脱毛は治療開始後2~4週目頃から起こり、治療を何コースか繰り返すために回復が間に合わず他の副作用に比べて長期に感じられますが、最終的には全治療が終了すれば生えてきます)。
抗がん剤は、分裂の盛んながん細胞の分裂を抑えて破壊するような働きをするため、同じように分裂の盛んな正常な細胞にも影響を及ぼします。ただし、繰り返しますが、時期がくればほとんどの副作用は回復します。


 
参考になるホームページ
(1)国立がん研究センター『がん情報サービス』:
http://ganjoho.jp/
『がん情報サービス』は、国立がん研究センターが運営するがんに関するさまざまな情報を提供するサイトです。2021年7月にサイトがリニューアルされています。トップページからは、病名から探す、がんの治療と生活、制度やサービスを知る、がんの予防・検診、資料室などで提供されているコンテンツの項目を確認できます。また、医療機関に関しては、がん診療連携拠点病院、小児がん拠点病院、希少がん情報公開専門病院などの検索や施設情報の概要などを確認できます。これまで発行した冊子などは、『資料室』のページからPDFでダウンロードできます。
(2)がん情報サイト:PDQ日本語版(米国国立がん研究所のがん情報サービス)
https://cancerinfo.tri-kobe.org/
がん情報サイトには、『PDQ最新がん情報』、『PDQがん用語辞書』、『NCCNガイドライン日本語版』などの情報があります。
『PDQ最新がん情報』は、治療(成人、小児)、支持療法と緩和ケア、スクリーニング(診断と発見)、予防、遺伝学的情報、補完代替医療の情報があり、それぞれ『患者様向け』と『医療専門家向け』の2つのボタンがあり、より詳しい情報は『医療専門家向け』から得られます。

 
【副作用症状への対応も行われます】

抗がん剤治療の際、副作用症状を少しでも緩和するために、お薬を使ったり様々な対応策が行われます。適切な対処をとり副作用を最小限にするためにも、副作用のことで悩まれることがあれば、きちんと担当医に伝えましょう。
副作用をやわらげるためのお薬を例にすると、吐き気をやわらげるお薬もいろいろな種類がありますし、下痢や便秘の時は、その症状にあわせたお薬などで対応します。白血球数が下がったときには、白血球をあげる注射などもあります。それ以外にも、症状にあわせて、できるだけ副作用を軽減するための対応をしていきます。
また、患者さん自身もその副作用を少しでも軽減するためにできることがあります。自分なりの工夫が副作用の軽減につながることも少なくありません。他の治療方法も同じですが、治療を医療者にまかせておくのではなく、治療に一緒に参加することが大切です。


 
【自分で行える自分のためのケアを実践しましょう】

1. 自分の受ける抗がん剤治療について、副作用について理解する
抗がん剤治療の副作用は、それぞれの薬によって起こってくる副作用が異なりますし、同じ薬であっても、患者さんによって副作用の程度などが異なります。また、副作用によって出てくる時期が違いますし、続く期間も異なります。抗がん剤治療を受けている自分の身体が、治療によりどのように変化するか、自分の場合、どういう副作用が、いつ頃でて、いつ頃まで続くのか等、メモなどとりながら整理してみましょう。治療によって起こる体調の変化をあらかじめ理解しておくことで、予防策もたてやすくなりますし、副作用がやわらいでくる時期の目安を知ることで、安心感にもつながります。

2. 副作用など変化があったことやつらいことを担当医や看護師に伝える
抗がん剤の副作用を軽減したり予防するためのサポートを得るためにも、上記の1.で整理した内容を担当医や看護師等に伝えましょう。伝えることで、良い対応策をとることが可能になったり、アドバイスなどを受けることができます。

3. 自分でできる副作用対策を行ってみる
副作用を予防したり、できるだけやわらげたり、副作用が強くなるのを防ぐためにできることがあります。できる範囲で、自分の生活に合った調整や工夫を行ってみましょう。いくつかの方法を試してみることで自分にあった方法がきっと見つかるはずです。


 
【具体的に『脱毛』に対してできること】

脱毛自体は、抗がん剤の種類により、起こるものとそうでないもの、脱毛は起こる可能性があるが軽度のものなど異なります。患者さんによっては、脱毛や吐き気があるものは強い抗がん剤、そうでないものは弱い抗がん剤と考える人がいますが、決してそうではありません。
脱毛は、治療で抗がん剤を使用してから2~3週間目から起こります。通常、抗がん剤治療は、何回か繰り返し行うので、治療を行っている間は脱毛は続きます。ただし、治療がすべて終了すれば、髪は生えてきます。

脱毛が起こりやすい抗がん剤の場合、治療や副作用の説明があったときから、できることを準備してみましょう。脱毛が始まってからも、髪や地肌をいたわるためにできることを実行してみましょう。

1. 脱毛が起こる前にできること
かなりの確率で脱毛が起こる抗がん剤の場合で、かつらの購入を考えているようであれば、事前に自分の頭の写真をとっておきましょう(正面、側面、後ろ側)。こうしておくと、実際にかつらを購入するとき、あるいは購入したかつらを整えるときに、今までの自分の髪型に近いものを選ぶことができますし、購入先で相談する際にも役立ちます。
また、脱毛が始まる前に、髪を短く切っておいたほうがよいでしょう。脱毛が始まると、髪を洗ったときなどに髪がからまり、ほぐれなくなることがあります(最終的には、その部分を切らざるをえなくなります)ので、からまらないようにするためです。また、ヘアカラーやパーマは、刺激になりますので、やめましょう。

2. 脱毛中のケア
脱毛中は、頭皮も敏感になっていますから、低刺激のシャンプーを使用し、こすらずに、優しく洗い流すようにしましょう。リンスやトリートメントは、基本的に髪に対して使用するものなので、頭皮を中心に洗い流すときは、お湯や低刺激のシャンプーだけでも構いません。ドライヤーも刺激になりますので、できるだけ控え、かけるときは冷風にしましょう。育毛剤も刺激になりますので、脱毛中は使わないようにしましょう。
また、脱毛は髪の毛だけではなく、眉毛・まつ毛・鼻毛などの体毛にも起こります。鼻毛がないと、鼻の中が乾燥し粘膜がいたみやすくなるため、外出時などはマスクなどを使用するとよいでしょう。眉毛は、眉ずみなどで書き、まつ毛がないと眼にごみが入りやすいため、注意しましょう。
かつらや帽子を選ぶときは、よく検討しましょう。
かつらは、借りることもできますが、手続きや申し込みから届くまでの期間などもありますから、借りることを検討しているときは、事前にホームページで確認しておきましょう。


 

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