「がん体験者の悩みQ&A」では、2003年と2013年に実施した全国調査結果を整理して構築したがん体験者の悩みデータベースを公開しています。このデータベースに基づき、がん体験者の方々の悩みや負担をやわらげるための助言や日常生活上の工夫などの情報ツールの作成等を行っています。
なお、個別の回答やご相談は、仕組み上できかねますので、お困りごとやご相談がある方は、お近くの「がん相談支援センター」をご利用ください。

悩み

胃切除後より、食後の胃の不調、不快感に悩んだ。
2 件の体験者の声があります。

助言

自分の助言集をつくる EPUB形式でダウンロード  印刷用表示

【胃の働き】

胃は、口から食道を通って入ってきた食べ物が一度に腸に送り込まれないように、一時的に食べ物を胃のなかにとどめて、消化液の一つである胃液によってタンパク質を分解消化し、消化された食べ物を十二指腸に送ります。また、胃液には、食べたものを酸性にして殺菌し腐敗を防ぐ効果もあります。胃の入り口側にある『噴門』は、消化液が食道に逆流するのを防いでいます。
胃を切除(もしくは部分切除)すると、これらの働きが低下したり、消失することになります。
また、胃の切除(もしくは部分切除)によって胃の大きさ自体も小さくなりますから、一度の食事で十分に食べることはできません。


 
【切った胃に合わせた新たな習慣を身につける】

残念ながら胃の手術後に、残った胃がだんだん大きくなって元通りになったりするわけではありません。胃が小さくなったりなくなったりしたぶん、他の消化管でおぎない食習慣を変更していかなければいけません。ですから、早食いやほとんどかまずに丸呑みするような食事をしていた人は、元の食習慣を改善し新たな食習慣を身につけていかなければなりません。
また、胃を切ったことで、胃液の出が少なくなったりなくなるので、胃液による殺菌力が低下してしまいます。食中毒などを起こしやすくなるので、食事はできるだけ新鮮なもの、または火の通ったものを食べるようにしましょう。
手術で噴門を切除すると、横になったときに胆汁などの消化液が食道に逆流し、食道が炎症を起こしたり、胸やけが起こることがあります。食事が終わったらすぐ横にはならず、しばらく座っていましょう。また寝る前に何か食べると、寝ている間に消化液が逆流し、朝目が覚めたときに胸やけを起こしてしまうことがあるので、寝る前に食べるのはやめましょう。

胃を切ったことでこれまで胃が行っていたはたらきが低下して起こる様々な症状(胃切除後症候群)には注意が必要ですが、基本的には、食事の種類や内容に関しては特に制限はありません。ただし、以下の3点は基本的な事柄として続けていきましょう。

◎ よくかんでゆっくり食べる
胃の手術をすると、胃のはたらきをどこかで補っていかなければいけません。よくかむことで、食べ物は細かくなり、また唾液で消化も助けます。
◎ 1回の食事量を減らして回数を多くする
胃を切ったことで胃は小さくなりますから、つめこみすぎれば苦しくなります。そこで、1回の量を減らして回数を多くする必要がでてきます。最初は、3回の食事と3回の間食という6回食が目安ですが、3ヶ月を過ぎてくると、少しずつ1回の量を増やして間食の回数を減らしていけるかもしれません。ただし、1回に食べられる量、食事回数を減らす時期などは個人差があります。自分にとって適当な1回量をみきわめていくのはあなた自身です。また食事回数を減らしていくのも、1回の食事量とあわせて徐々に行っていきましょう。
◎ 食事は規則正しい時間に食べる
消化を少しでも助けるために、規則正しい時間に食べることは大切です。


 

ご意見・ご感想

よりよい情報提供を行うために、ご意見やご感想をお寄せください。
いただいた評価やご意見・ご感想は、今後、このコンテンツ(情報のなかみ)に役立たせていただきます。

なお、個別の回答やご相談は、仕組み上できかねますので、お困りごとやご相談がある方は、下記「がん相談支援センター」をご利用ください。

【がん相談支援センター】
お困りごとやご相談がある方は、
●静岡県内の方は、
静岡がんセンター「よろず相談
もしくは、静岡県内のお近くのがん診療連携拠点病院の「がん相談支援センター
●静岡県外の方は、
お近くのがん診療連携拠点病院の「がん相談支援センター
にご相談ください。

【このコンテンツの評価】
※このコンテンツは役立ちましたか?
役立った 少し役立った どちらでもない あまり役立たない 役立たない
※あなたは  患者  家族  医療関係者  行政関係者  その他

【このコンテンツへのご意見・ご感想】
注)自由記述欄への個人情報のご記入はご遠慮ください。


がん体験者の悩みQ&A

がん体験者の悩みQ&A