「がん体験者の悩みQ&A」では、2003年と2013年に実施した全国調査結果を整理して構築したがん体験者の悩みデータベースを公開しています。このデータベースに基づき、がん体験者の方々の悩みや負担をやわらげるための助言や日常生活上の工夫などの情報ツールの作成等を行っています。
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悩み

退院後、思うように動かぬ腕に苛立ちを感じた。
1 件の体験者の声があります。

助言

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【わきの下のリンパ節切除について】

わきの下のリンパ節切除を行うと、腕が上がりにくくなったり、動きにくくなったりすることがあります。また、わきの下のリンパ節の郭清を行うと、肋間上腕神経が傷つけられることがあり、上腕(腕の肘から上側)の内側のしびれやわきから腕にかけてのつっぱった感じや痛みなどが起こることがあります。
以前は、乳がんの手術もできるだけ広範囲に切除するという方法がとられ、大胸筋・小胸筋、腋窩(わきの下)のリンパ節切除と切除する範囲が広い手術(ハルステッド手術)が行われていました。ただ、最近では、QOL(生活の質)をできるだけ維持できるように、機能保存、縮小手術の方法などが開発されてきており、病気の状況などによっても異なりますが、以前に比べ、わきの下のリンパ節切除を行う件数は少なくなってきています。
わきの下のリンパ節を切除する理由は、2つあります。一つは、手術を行う前から(術前検査などの結果等)リンパ節転移の疑いがある場合、手術の際にリンパ節切除(リンパ節郭(かく)清(せい))も行うことで、リンパ節の転移を減らす期待はできるということです。ただ、リンパ節を切除した方の生存率が高くなるというはっきりした結果は出ていません。もう一つの理由は、リンパ節の転移があるかどうか、あるとしたらいくつあるのかを詳しく調べるという診断のためです。これらの情報は、今後の再発の危険性を予測し、今後の方針を決めていく上での手がかりになります。
最近では、わきの下のリンパ節切除を行う前に、センチネルリンパ節生検が行われるようになってきています。センチネルリンパ節生検というのは、がん細胞が最初に流れ着くリンパ節を調べて、その部分に転移がなければ、わきの下のリンパ節切除は行わないという方法です。


 
【日常生活のなかでリハビリを続けましょう】

どういう手術を受けられたのかによっても状況は異なりますが、リハビリを生活のなかに取り入れて根気強く続けてみましょう。続けてみる理由の一つは、動きにくいといって動かさずにいると、さらに動きにくくなってしまうことがあるからです。
リハビリ体操をする際には、まず準備として前後にストレッチ体操を行いましょう。リハビリ体操は、病院でならった体操などをそのまま続けてもかまいません。
また、日常生活の中で、Tシャツなどのかぶりものを脱ぎ着する、背中のファスナーを上げ下ろしする、エプロンのひもを後ろで結ぶ、洗濯物を干す、掃除をするなど何気ないいろいろな動作がリハビリにつながります。ただし、無理はしないで少しずつすすめていくことが大切です。
リハビリは継続して行った方が、術後2年くらい経過したときの肩関節の動きがよく、リンパ浮腫も少ないという研究結果もあります。


 

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