「がん体験者の悩みQ&A」では、2003年と2013年に実施した全国調査結果を整理して構築したがん体験者の悩みデータベースを公開しています。このデータベースに基づき、がん体験者の方々の悩みや負担をやわらげるための助言や日常生活上の工夫などの情報ツールの作成等を行っています。
なお、個別の回答やご相談は、仕組み上できかねますので、お困りごとやご相談がある方は、お近くの
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悩み
抗がん剤の副作用による脱毛に他の副作用症状が重なり、辛くて悩んだり落ち込んだりした。
51 件の体験者の声があります。
- (患者本人、50代、男性、肺、2003年版)抗がん剤の影響で吐き気による食欲低下や脱毛などの副作用に悩んでいる。
- (患者本人、60代、女性、乳房、2003年版)副作用の脱毛やむかつき、脱力感などがつらかった。
- (患者本人、60代、女性、乳房、2003年版)頭髪が抜け、便が出なくなる副作用は本当に苦しかった。このような治療は再度受けたくない。
- (患者本人、50代、女性、子宮、2003年版)抗がん剤使用による痛み、脱力感がつらかったのに加え、脱毛のわりには効果がなくがっかりした。30回程のコバルト療法の後に背中に鈍痛が生じ、椎間板ヘルニアとなった。現在も背中の痛みが続いている。
- (患者本人、60代、女性、乳房、2003年版)抗がん剤治療によって髪が抜けたことが心配だったが、幸い後から生えてきたので安心した。
- (患者本人、50代、女性、乳房、2003年版)脱毛や白血球減少という副作用、後遺症で悩んだ。
- (患者本人、50代、女性、悪性リンパ腫、2003年版)脱毛、手足のしびれ、粘膜のただれ、筋力低下など、薬の副作用や後遺症で様々な悩みがあり、苦しんでいる。
- (患者本人、40代、女性、乳房、2003年版)抗がん剤治療が始まり、吐き気や脱毛などの副作用が心配。
- (患者本人、50代、女性、乳房、2003年版)脱毛、吐き気などの副作用が辛かった。
- (患者本人、50代、女性、乳房、2003年版)抗がん剤の副作用で、脱毛、体調不良、便秘といった症状に加え、他のところも悪いような気がして、悩んだ。
- (患者本人、50代、女性、乳房、2003年版)特に吐き気と頭髪の脱毛に悩む。自分で克服するしかない。
- (患者本人、40代、女性、乳房、2003年版)脱毛、関節痛など、自分ではがんばりきれない苦痛と恐怖があった。
- (患者本人、50代、女性、乳房、2003年版)抗がん剤の注射後は気分が悪くなり、髪も抜けて最悪の状態。ようやく落ち着いた髪も、1年もしないうち転移が見つかり、治療再開で再び抜け落ちた。
- (患者本人、50代、男性、大腸、2003年版)薬の副作用によって髪が抜けることや、口の中の苦味、味の変化などに悩んだ。
- (患者本人、40代、女性、乳房、2003年版)術後1か月後に始まった抗がん剤治療は予想以上に辛いものだった。投与後1週間は寝たままで、吐き気との闘いだった。体重は落ち、髪も抜け、自分でなくなっていくような毎日だった。
- (患者本人、50代、女性、子宮、2003年版)化学療法を1クール受け、とても人に言えない辛さがあった。副作用による脱毛、吐き気、足の痛みなどで、がんばろうという意思とは反対に体は極限状態に達していた。
- (患者本人、50代、女性、乳房、2003年版)抗がん剤の副作用による脱毛や口内炎に悩んだ。
- (患者本人、40代、女性、乳房、2003年版)脱毛、便秘に悩む。社会復帰できるだろうか。
- (患者本人、60代、女性、大腸、2003年版)抗がん剤副作用による吐き気、脱毛等に悩んだ。
- (患者本人、70代、女性、乳房、2003年版)抗がん剤を打つようになった後、副作用で手足がしびれ、眉毛、髪の毛が抜け落ちてしまった。
- (患者本人、70代、女性、乳房、2003年版)治療での吐き気や抜け毛を心配した。
- (患者本人、40代、女性、乳房、2003年版)抗がん剤を打った後、1週間位は気分が悪く、食べ物がおいしくなかった。髪の毛もなくなった。
- (患者本人、50代、女性、乳房、2003年版)抗がん剤により体が思うように動かなくなったり、髪の毛が抜け始めたりすると将来の生活や社会復帰への心配が焦りにつながり、しばらく不安定な精神状態が続いた。
- (患者本人、70代、男性、肺、2003年版)頭髪の脱毛と足のだるさ。
- (患者本人、60代、女性、乳房、2003年版)抗がん剤の副作用で髪が抜けることや、治療による痛み。
- (患者本人、30代、女性、不明、2003年版)抗がん剤治療による吐き気、点滴中の導尿等の苦痛、脱毛があった。
- (患者本人、40代、女性、乳房、2003年版)抗がん剤治療を受けることで髪の毛が抜け、手足の痛みに悩んでいる。
- (患者本人、60代、女性、乳房、2003年版)髪の毛が抜け、つわりのような症状が出たうえ、便秘になり、食べ物もおいしくない時期がしばらく続いた。副作用について医師から事前に聞いていたが、一体この先私の体はどうなるのだろう、髪の毛は生えてくるのだろうかと不安だった。
- (患者本人、60代、女性、卵巣・卵管、2003年版)髪の毛が抜けたことに悩み、足のしびれがこのまま治らないのではないかと不安に思っている。
- (患者本人、60代、女性、子宮、2003年版)術後の抗がん剤で、吐き気による苦痛、脱毛、食欲不振があり。病院から抜け出したい気持ちだった。その後の経口抗がん剤も副作用に悩み、服用を拒否した。
- (患者本人、50代、女性、乳房、2003年版)髪の毛が抜け、手、爪が黒くなったこと。
- (患者本人、70代、男性、咽頭・喉頭、2003年版)抗がん剤や放射線のせいで少々の脱毛と唾液分泌の減少があった。
- (患者本人、50代、女性、乳房、2003年版)これまでに3種類の点滴を受け、脱毛、手足のしびれなど、副作用はとても辛かった。
- (患者本人、40代、女性、乳房、2003年版)髪がバサッと抜けたことに驚いた。吐き気が辛いにもかかわらず、台所に立たなければならない頃が悲しかった。
- (患者本人、60代、男性、胃、2003年版)副作用の症状が、脱毛→皮膚荒れ→関節のしびれ と時系列的に変化している。次はどんな症状があらわれるのか。
- (患者本人、50代、女性、卵巣・卵管、2003年版)副作用で髪が抜け、悲しかった。白血球が減少して心配し、体中の骨がギシギシと音をたてているようだった。6回の投与後、髪が伸びてカツラが取れたとき、気持ちが晴れ晴れとし、元の自分に戻ることができた。
- (患者本人、50代、女性、乳房、2003年版)抗がん剤による副作用があまりにひどく、不安(指がしびれピアノが弾けないと困るという不安)であり、脱毛でショックを受けた。
- (患者本人、40代、女性、乳房、2003年版)髪の毛が抜けてしまったり、吐き気のひどさ、だるさなど、体を起こしておくのもつらい時があった。
- (患者本人、50代、男性、軟部組織系、2003年版)脱毛、吐き気で苦しい日々だった。
- (患者本人、40代、女性、乳房、2003年版)どうして自分だけが吐き気や脱毛といった辛い副作用に見舞われるのか悩んだ。
- (患者本人、50代、女性、子宮、2003年版)抗がん剤治療は本当につらいものだった。退院後、髪の毛は抜け、体はだるく、吐き気はする。自分の体をどうしたらいいかわからない。1年数か月地獄のような毎日だった。
- (患者本人、70代、女性、大腸、2003年版)食欲がなくむかつき、髪がみんな抜けてしまった。
- (患者本人、60代、女性、乳房、2003年版)抗がん剤による脱毛に悩まされた。がんと判明する前に白血球の減る薬を服用していたため、抗がん剤の使用で更に白血球が減り、病気に対する抵抗力が少なくなることに不安を感じた。
- (患者本人、60代、女性、乳房、2003年版)術後、高価な新薬が投与されたが、のみ始めて1週間くらい経過すると、腰痛、下痢、脱毛、指先の脂っぽさ、爪の黒ずみなど様々な症状が必ず出て、医師に話し、安い薬に変更になった。
- (患者本人、50代、女性、乳房、2003年版)軽い吐き気程度だったが、髪の毛が抜けたのはショックだった。
- (患者本人、60代、女性、卵巣・卵管、2003年版)嘔吐、脱毛、白血球減少により、治療が遅れ、副作用についてもっとしっかり自分自身勉強しておくべきだった。説明はあっても実際納得できなかった。
- (患者本人、40代、女性、乳房、2003年版)点滴中のひどい吐き気と脱毛など。
- (患者本人、50代、女性、乳房、2003年版)吐き気、脱毛に悩まされ、うつ状態になった。再発、転移に対する恐怖も強く、ふさぎ込んだ。
- (患者本人、50代、女性、乳房、2003年版)抗がん剤の副作用(脱毛、脱力感、体重増加など)で悩んだ。
- (患者本人、40代、女性、乳房、2003年版)頭髪が全て抜け落ち、体力の低下、めまいなど、いろいろな副作用が出た。精神的な支えが心から欲しかった。
- (患者本人、40代、女性、乳房、2003年版)抗がん剤の副作用(吐き気や脱毛、味覚障害など)がつらかった。
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【理解をすること・参加すること】
抗がん剤治療による脱毛は、男性にとっても女性にとっても、とてもつらいものだと思います。しかも、抗がん剤治療の副作用はほとんどの場合、脱毛だけではなく、吐き気、下痢、手足のしびれなど様々な副作用が重なり、さらにつらいと感じるものです。からだのつらさが続くと、こころもつらくなってきます。
ただ、これは他の治療も同じですが、治療は医療者にお任せするのではありません。あなた自身が治療に参加する意識をもち、行動していくことが大切です。治療について理解し、きちんと対応していくことで、予防したり軽減できる副作用もあります。そのために、覚えておいていただきたいことがあります。
1. 自分の受ける抗がん剤治療について、副作用について理解する
抗がん剤治療の副作用は、それぞれの薬によって起こってくる副作用が異なりますし、同じ薬であっても、患者さんによって副作用の程度などが異なります。また、副作用によって出てくる時期が違いますし、続く期間も異なります。抗がん剤治療を受けている自分の身体が、治療によりどのように変化するか、自分の場合、どういう副作用が、いつ頃でて、いつ頃まで続くのか等、メモなどとりながら整理してみましょう。治療によって起こる体調の変化をあらかじめ理解しておくことで、予防策もたてやすくなりますし、副作用がやわらいでくる時期の目安を知ることで、安心感にもつながります。
2. 副作用など変化があったことやつらいことを担当医や看護師に伝える
抗がん剤の副作用を軽減したり予防するためのサポートを得るためにも、上記の1.で整理した内容を担当医や看護師等に伝えましょう。伝えることで、良い対応策をとることが可能になったり、アドバイスなどを受けることができます。
3. 自分でできる副作用対策を行ってみる
副作用を予防したり、できるだけやわらげたり、副作用が強くなるのを防ぐためにできることがあります。できる範囲で、自分の生活に合った調整や工夫を行ってみましょう。いくつかの方法を試してみることで自分にあった方法がきっと見つかるはずです。
ここでは、具体的に副作用として書かれている『脱毛』について説明をしていきます。
【抗がん剤による脱毛】
脱毛自体は、抗がん剤の種類により、起こるものとそうでないもの、脱毛は起こる可能性があるが軽度のものなど異なります。患者さんによっては、脱毛や吐き気があるものは強い抗がん剤、そうでないものは弱い抗がん剤と考える人がいますが、決してそうではありません。
脱毛は、治療で抗がん剤を使用してから2~3週間目から起こります。通常、抗がん剤治療は、何回か繰り返し行うので、治療を行っている間は脱毛は続きます。ただし、治療がすべて終了すれば、髪は生えてきます。
【体験者の話を聞いてみる】
たとえば、通院治療のときは、外来診察の待ち時間や治療時などに顔を合わせる患者さんと話をしてみましょう。同じ体験をしたからこそ分かち合える気持ちもあります。また人に話すことで、つらさが少し楽になることもあります。もしかしたら、良いアドバイスをもらえるかもしれません。
【自分でできることを実行してみる】
脱毛が起こりやすい抗がん剤の場合、治療や副作用の説明があったときから、できることを準備してみましょう。脱毛が始まってからも、髪や地肌をいたわるためにできることを実行してみましょう。
1. 脱毛が起こる前にできること
かなりの確率で脱毛が起こる抗がん剤を使用する場合で、かつらの購入を考えているようであれば、事前に自分の頭の写真をとっておきましょう(正面、側面、後ろ側)。こうしておくと、実際にかつらを購入するとき、あるいは購入したかつらを整えるときに、今までの自分の髪型に近いものを選ぶことができますし、購入先で相談する際にも役立ちます。
また、脱毛が始まる前に、髪を短く切っておいたほうがよいでしょう。脱毛が始まると、髪を洗ったときなどに髪がからまり、ほぐれなくなることがある(最終的には、その部分を切らざるをえなくなります)ので、からまらないようにするためです。また、ヘアカラーやパーマは、刺激になるので、やめましょう。
2. 脱毛中のケア
脱毛中は、頭皮も敏感になっているので、低刺激のシャンプーを使用し、こすらずに、優しく洗い流すようにしましょう。リンスやトリートメントは、基本的に髪に対して使用するものなので、頭皮を中心に洗い流すときは、お湯や低刺激のシャンプーだけで構いません。ドライヤーも刺激になるので、できるだけ控え、かけるときは冷風にしましょう。育毛剤も刺激になりますので、脱毛中は使わないようにしましょう。
また、脱毛は髪の毛だけではなく、眉毛・まつ毛・鼻毛などの体毛にも起こります。鼻毛がないと、鼻の中が乾燥し粘膜がいたみやすくなるため、外出時などはマスクなどを使用するとよいでしょう。眉毛は、眉ずみなどで書き、まつ毛がないと眼にごみが入りやすいため、注意しましょう。
かつらや帽子を選ぶときは、よく検討しましょう。
かつらは、借りることもできますが、手続きや申し込みから届くまでの期間などもあるので、借りることを検討しているときは、事前にホームページで確認しておきましょう。
かつらを購入するときは、1)自分にあった素材を選ぶ、2)自分にあったスタイルを選ぶ、3)自分にあったカラーを選ぶ、4)価格を検討する、5)商品の機能特性を確認する、ことが大切です。
どこで、かつらを購入したらよいかわからないときは、かかっている病院の看護師や相談室に相談してみましょう。そこでもわからないときには、お近くのがん診療連携拠点病院の相談支援センターに相談してみましょう。
帽子を選ぶ場合、生え際が気になるときは、つばの広い帽子を選びましょう。ご自宅では、スカーフやバンダナを使ってもよいかもしれません。なかには、帽子にかつらのような毛がついたタイプのものもあります。
【その他の副作用も同じように】
脱毛のところで説明したように、他の副作用に対しても、自分の場合はいつ頃、どの程度その副作用が出てくるのか、いつ頃からやわらぐのか、あるいは続いているものなのか、その副作用があることで日常生活上、不便なことやつらいことはないか、それはどうすれば軽くすることができるのかなど考えながら、副作用症状を軽くするためにできることを行ってみましょう。あなたのからだやこころを守るために、あなたができることがきっとあるはずです。
また、うまくいかないとき、つらいときは、我慢せずに、担当医や看護師、あるいはご家族に相談したり、つらい気持ちを話してみてください。あなたは一人ではありません。一緒に考え、あなたのつらさを受けとめてくれる人がいるはずです。
ご意見・ご感想
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