自分の助言集をつくる
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口のなかや喉の手術を受けると、食べ物をかみ砕いたり、まぜたり、飲み込んだりすることが困難になる場合があります。例えば、咽頭部の手術を受けた場合、鼻に逆流したり、むせたりすることがあります。
飲食物を飲み込むというからだの仕組みは複雑です。飲食物が咽頭に入ると、鼻、気道との通路がふさがれ、食道が開いて胃に送り込まれていきます。この複雑な協調運動のどこに原因があるかによって、対処法は異なります。
咽頭筋の収縮が不十分であれば、あごをひくと飲み込みやすくなります。一方、食べ物を後方に送り込む舌の力が弱いときには、あごを上げるとよいです。
姿勢のほか、食物の形態も飲み込みに関係します。サラサラしたもの、あるいはドロドロしたもの、どういった飲食物が摂りやすいかは、患者さんご自身がよく把握されていると思います。
軟らかいものから摂り始め、術前と同じような食事が摂れるようになるには、数ヶ月かかるとされています。ただし、固いものや大きなものは飲み込みにくさが続くようです。患者さんやご家族のなかには、退院後「しばらくは、食べたいもの、食べやすそうな食材を選んで、調理法も工夫して、試行錯誤だったが、だんだん分かってきた」と話される方もいます。
数ヶ月経っても、食事の飲み込みに困られているなら、担当医に相談して下さい。飲み込みに関するリハビリの専門家として、言語聴覚士がいる病院もあります。原因別に、食事のときの姿勢や、飲み込むコツを教えてもらうとよいでしょう。
かみくだいたり、飲み込んだりすることが困難になっている場合には、そういった動作が楽にできるように工夫する必要があります。
一般に、飲み込みやすいもの、飲み込みにくいものは、次のように言われています。
<飲み込みやすいもの>
○やわらかいもの
○性質が均一
○口の中でまとまったまま食べられる
○表面の滑りがよいもの
<飲み込みにくいもの>
○かたいもの
○さらさらした液体
○水分と固形物が混ざっているもの
○口の中でばらばらになるもの
○口の中に張り付きやすいもの
上記に該当する方向けの食事の工夫のポイントを紹介します。
<工夫のポイント>
1. 水分が多くやわらかいもの、口当たりのよいものを
○ ゼリー状にする
水分が多くさらさらしているものは、ゼラチンを使って、ゼリー状にすると食べやすくなります。寒天寄せは、一見良さそうに思われますが、かむと分散して誤って飲み込んでしまう恐れがあるので、注意しましょう。
○ とろみをつける・あんかけにする
液体や、口のなかでばらばらになるものは、むせやすくなります。片栗粉、くず粉、増粘剤などを使って、ポタージュ状、ヨーグルト状、ジャム状など、とろみをつけると食べやすくなります。また、あんかけやクリームソースをかけるのもよいでしょう。
*嚥下補助食品の「増粘剤」は、材料に添加して混ぜるだけなので、手軽にとろみをつけることができます。
○ ミキサーにかける
かたいものや繊維の多いものでも、ミキサーにかけると食べやすくなります。さといものような粘りけのあるものを一緒に入れると、とろみがつきやすくなります。
○ 油分を用いる
適度な油分が必要です。マヨネーズであえると食べやすくなります。
○ 卵を利用する
プ リンや茶碗蒸し、卵豆腐などにするとよいでしょう。
○ 薄味にする
味が濃いとむせやすくなります。特に、酸味や酢がきついとむせやすくなります。だしで薄めるなどしましょう。
2. 食品の形態、大きさを工夫
小さく、食べやすい大きさにしましょう。ただしあまり細かくきざみすぎるとむせやすくなるので、一口大くらいにするか、とろみをつけましょう。
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