「がん体験者の悩みQ&A」では、2003年と2013年に実施した全国調査結果を整理して構築したがん体験者の悩みデータベースを公開しています。このデータベースに基づき、がん体験者の方々の悩みや負担をやわらげるための助言や日常生活上の工夫などの情報ツールの作成等を行っています。
なお、個別の回答やご相談は、仕組み上できかねますので、お困りごとやご相談がある方は、お近くの
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悩み
手術の痕やその周辺部の痛みや不快感が長期間続き、悩んでいる。
37 件の体験者の声があります。
- (患者本人、60代、男性、胃、2003年版)退院して普通の体調になるのか、術後9ヶ月の今もまだ傷口が痛み、どの位で元の身体になるのか不安だ。
- (患者本人、80代、女性、乳房、2003年版)今でも手術の傷が神経痛のようにちくちく痛む。
- (患者本人、70代、女性、胃、2003年版)5年近く経った今でも痛みや再発の不安に苦しむ。
- (患者本人、60代、男性、膀胱、2003年版)手術後の手術部分の痛みがいつになったら軽くなるのか。もう1年になってきているが2年はかかるのか悩む。
- (患者本人、60代、男性、胃、2003年版)外科手術で悪いところと取り除いたら、もう転移はしないかどうか心配だった。手術をしてから満5年経過したが、切った痕の痛みによる後遺症が絶えず気になる。
- (患者本人、60代、男性、胃、2003年版)現在でも手術の後遺症による痛みやつっぱり感がいつも気になる。
- (患者本人、70代、男性、食道、2003年版)退院後、がんに対する治療は説明されていたが、手術跡の痛みが残っていたので苦痛であった。がん治療に対する苦痛はなかった。
- (患者本人、60代、女性、胆道・胆のう、2003年版)術後10ヶ月経っても未だ痛みがあり、再発か転移の恐れを抱いている。
- (患者本人、60代、女性、乳房、2003年版)リンパ腺を切除し、患部の痛みがなかなか取れず悩んでいる。
- (患者本人、70代、女性、肝臓、2003年版)手術後の痛みが長く恐怖に怯え、内科にまわされても、どうにもならなくて生きる意味なく、毎日不安な日を過ごした。
- (患者本人、50代、女性、乳房、2003年版)手術後も痛みが続き再発しているのではないかと心配した。
- (患者本人、60代、男性、食道、2003年版)四季それぞれの季節に現れる症状。気圧の変化による傷の痛みや寒さによる傷口の痛がゆさ等に対する不安
- (患者本人、60代、男性、大腸、2003年版)術後半年は痛みに苦しみ、妻の励ましで生きる望みを強く持つようがんばったが、後遺症も残り、身体障害者になってしまい、社会生活から逃げたような日常の中で家族にだけは隠すことなく努力をした。
- (患者本人、40代、女性、不明、2003年版)手術して1ヶ月になるが、腹の傷が痛む。
- (患者本人、70代、男性、肺、2003年版)手術後2年になるが、痛みは少しだがこの状態が死ぬまで続くのか心配だ。
- (患者本人、60代、女性、乳房、2003年版)術後、胸、肩、腕の痛みで普通の生活に戻るまで5年はかかった。1人で検査のための病院にはいけたが、自分の身体をかばうためうつむきがちになり姿勢が悪くなった。温泉等に行けず生活に張りがなくなった。
- (患者本人、80代、女性、肺、2003年版)2、3年前より患部に痛みがあり、次第にその痛みが強くなってきている、特に雨天の時はひどい。
- (患者本人、50代、女性、乳房、2003年版)1年半くらい痛みが続き、一生懸命リハビリして段々痛みがとれ、楽になると日常生活が楽しくなった
- (患者本人、70代、女性、肺、2003年版)退院して2ヶ月余りになるが、まだ少し痛みがある。
- (患者本人、60代、男性、胃、2003年版)点滴時、身体中が痛くて4、5日苦しかった。術後1ヶ月半位たつと痛みもなく順調になったが、食事が多すぎると苦しくなり少し痛む。
- (患者本人、60代、男性、大腸、2003年版)痛みに悩み、痛みが取れるのか心配だ。
- (患者本人、70代、女性、乳房、2003年版)半月くらい痛みがあり苦しんだ。
- (患者本人、50代、女性、乳房、2003年版)抗がん剤投与中、副作用で倒れ意識を失った際に頭を打ち、その後また手足のしびれが出て、胸の傷とともに大変な苦痛の中、仕事に出ることが辛かった。
- (患者本人、60代、女性、乳房、2003年版)身体が痛くて一日中苦しい日々が5年くらい続き、その後少し和らいだ。
- (患者本人、60代、男性、肺、2003年版)胸の痛みが取れるかどうか心配だ。
- (患者本人、50代、女性、胃、2003年版)肺の術後約1年となるが、まだ痛みもある。
- (患者本人、50代、女性、乳房、2003年版)手術の痕が時々傷んだりすると、どうにかなっているのではないかと不安だ。
- (患者本人、60代、女性、乳房、2003年版)術後胸の痛みが残り、6年過ぎた今でも、胸や腕の痛みがある。術前に手術の後遺症についての説明をはっきり聞くべきだった。
- (患者本人、50代、女性、大腸、2003年版)術後半年は創部の痛みがウエイトを占めていた。
- (患者本人、50代、女性、子宮、2003年版)痛みがひどく、1ヶ月あまり24時間傷が痛んだ。1ヶ月検診のとき医師に痛みを訴えても、「私が切ったわけではない」といい、その他の症状も聞いてくれなく、日々悶々と悩んでいた。
- (患者本人、60代、男性、大腸、2003年版)初回から9年、再発から5年経ったが、肺の手術痕は今でも時々痛む(気圧の影響などと軽く片付けて欲しくない)。首のこりや肩こりがある。
- (患者本人、不明、不明、乳房、2003年版)手術後次第に軽くはなったが、痛みがとれず不安だった。医師に話すと仕方がない、痛み止めの薬をあげましょうかと言われるだけだった。
- (患者本人、50代、女性、肺、2003年版)肋骨を3本切除し、痛みが少しも良くならないことに悩む。
- (患者本人、40代、女性、乳房、2003年版)術後の痛みが今でもあり悩む。
- (患者本人、60代、女性、乳房、2003年版)手術直後浸出液がたまり、抜いても抜いてもたまったので悪性ではないかと思った。その部分の痛みが1ヶ月くらいあり、2-3ヶ月は、その部分に触れることができず、風呂に入っても洗えなかった。
- (患者本人、40代、女性、乳房、2003年版)放射線照射の後遺症の皮膚の赤みは、術後数ヶ月で治るとの説明だったが1年過ぎても残り、乳房手術側全体の感覚、痛みも治らずどうなるのかと思った。
- (患者本人、50代、女性、乳房、2003年版)手術での全摘を選び退院後自宅での生活に戻ったが身体が思うようならず、夜は痛みで眠れない。
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【がんの手術が原因となる痛みや不快感】
がんを治療する目的で行った手術の結果として、痛みが生じることがあります。また、手術の形式や場所によっては、ひきつるような感じやしびれなどの不快感が現れることがあります。
こういった痛みや不快感がどの程度の強さで起きてくるか、どのくらいの期間続くか、ということについては、人によって違いがあります。多くの場合、がんの治療によって生じた痛みや不快感は、時間がたつにつれてやわらいできます。
患者さんも医療者も、治療によって生じる痛みや不快感については、“がんを治すためなのだから、仕方がない”と考えてしまいがちです。
しかし、痛みや不快感が強かったり、長く続いたりすると、体を動かしたり、人と話したりすることもつらくなり、日常生活のさまざまな場面で支障がでてきます。
あなたの痛みや不快感がどれほどつらいか、ということは、あなた自身が表現しない限り、ほかの誰にも正確に計ることはできません。
もし痛みや不快感が続くようであれば、遠慮しないで、あなたの方から医師や看護師に症状を積極的に伝えていくことが大切です。
【気になることは、とりあえず伝えてみることが大切】
長年、「がまんは美徳」という風潮があったことから、医療者につらさを訴えることを躊躇する患者さんもいます。
しかし、痛みや不快感のがまんはストレスや疲労の原因にもなります。
気になるようであれば、早めに担当医に伝えて、なんらかの対処法がないものか、たずねてみましょう。
ただ、手術後の痛みや不快感の中には、慢性的な経過をたどるものも多く、すぐに根本的に改善するのは難しい、ということもしばしばあります。
たとえそうであっても、医療者に話を伝え、自分のつらさを知っておいてもらう、ということだけでも、安心感があるはずです。
また、「痛みのために眠れない」、「食事が取れない」といった生活上の重大な支障については、ぜひとも医学的に対応してもらうべきです。
【自分で痛みを評価して人に伝える】
“伝えたい”と思っても、言葉ではなかなかうまく表現できないのが痛みです。
しかし、痛みの治療の第一歩は、あなた自身が、あなたにしかわからない痛みを評価して、医療者に伝えることです。
痛みについては、次のように整理しながら話すと、相手に伝わりやすくなります。気がついた時に、箇条書きのメモを作っておいて、診察に持参したり、担当医に手渡したりするのもよいでしょう。
○ 『どういうときに痛みが強くなるのか』
○ 『どのあたりが痛むのか』、『言葉で表現するとどういう痛みなのか』(きりきり、ずきんずきん、ずしーんなど)、『痛み止めを使っているとしたらその効果はどうなのか』
○ 『どのくらいの強さで痛むのか』(「全く痛くない」を「0」とし、「耐えられない程痛い」を「10」とした場合、数字でいくつと表現できるか)
○ 『日常生活で困っていることは何か』
【長く続く痛みや不快感への対処】
定期的な検査で体に特に異常がないにもかかわらず、痛みや不快感が長く続くようであれば、担当医に相談して専門の医師を紹介してもらうことを考えてもよいでしょう。
特に痛みについては、最近では、『ペインクリニック』、『疼痛外来』、『ペイン外来』などの名称で、専門窓口を設けている病院も増えています。また、痛みや不快感の種類や原因によっては、麻酔科や形成外科に相談することが、軽減につながることもあります。
それぞれの窓口で対応できる症状とそうでない症状があるので、受診する前に自分の状況を伝えて、対応してもらえるかどうか確認するようにしましょう。
長く続く痛みや不快感に対処するためには、毎日の生活の中で、やわらげるための自分なりの工夫をしてみることも役に立ちます。
そのためには、どんな時に痛みや不快感が楽になるのか、『体調の日記』をつけてみるのもよいでしょう。
痛みや不快感がやわらぐ状況は、時間帯、そのときしている活動、取っている姿勢など、人によっていろいろなきっかけがあります。
『体調の日記』をつけることで、“痛いところを温めたら楽になった”、“○○さんとしゃべっている時には、しびれを忘れていた”、“あの体操をした翌日には、むくみが軽くなった”など、自分自身の痛みや不快感がやわらぐきっかけに気づくことができます。
その中から、自分にとって一番よかった対処法を、日常生活に取り入れてみましょう。
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