「がん体験者の悩みQ&A」では、2003年と2013年に実施した全国調査結果を整理して構築したがん体験者の悩みデータベースを公開しています。このデータベースに基づき、がん体験者の方々の悩みや負担をやわらげるための助言や日常生活上の工夫などの情報ツールの作成等を行っています。
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悩み
思い通りにからだが動かず、病気にかかる前や治療をする前のような普通の生活ができないことの辛さがあった。
23 件の体験者の声があります。
- (患者本人、40代、女性、乳房、2003年版)普通の生活ができないことのつらさ。
- (患者本人、40代、女性、乳房、2003年版)薬のためか軽い副作用があり、今までのように溌剌と生活ができないときがあり、自分自身も辛いが家族にも申し訳ないと思う。
- (患者本人、40代、女性、子宮、2003年版)治療前のように思い通りに体が動かないことがある。
- (患者本人、60代、男性、膵臓、2003年版)手術前と同じように現在は体が動かない。
- (患者本人、60代、女性、胃、2003年版)術後数年が経てば経つほどもと通りの体になると思って頑張ってきたが、丸9年過ぎても手術前の体には戻れそうにない。でもこれは加齢のせいかもと知らされて今はあきらめの状態。
- (患者本人、60代、男性、肝臓、2003年版)普通の生活ができないこと。
- (患者本人、60代、男性、肺、2003年版)治療はしているが自分の体が思うように動かない治らないことが悩み。
- (患者本人、60代、女性、胃、2003年版)診断されるまでは普通の生活をして食事もできていたが、今はそれができず思うように食べられない。元気に働いていた時は体を休めたいとか思ってたが、今は1日も早く健康になりたい。
- (患者本人、30代、女性、子宮、2003年版)4、5ヶ月入院していたので身体的に以前のように動けないことで違和感を感じる。今まで健康だったので、それまで歩いていた距離が歩けなくなったり、疲れやすいことが少しつらい。
- (患者本人、40代、女性、乳房、2003年版)前のようにスムーズに体が動きづらい。子育ても加わり体がつらい時がある。
- (患者本人、50代、女性、胃、2003年版)毎日寝たり、起きたりの日々なので働けるようになるかどうかわからない。今の状態では無理だと思う。でももう一度仕事がしたい。家事が少しでもできるようになりたい。
- (患者本人、50代、男性、肺、2003年版)元の元気な身体に戻らないことが悩みである。
- (患者本人、30代、男性、口腔・舌、2003年版)完全に発病する以前の状態に戻っていないこと。
- (患者本人、50代、女性、乳房、2003年版)放射線治療を終わり退院したが家事が出来ず、少し動いては横になりながらの毎日で、物を持って歩くことが出来ない。
- (患者本人、70代、男性、食道、2003年版)食道手術後、1ヶ月して胸閉塞手術を受けたため、体力が減退し、思うように仕事もスポーツもできない。脚に力が入らない。
- (患者本人、70代、男性、脳、2003年版)健康だった時のように体が動かないので、車椅子等なしで歩けるようになりたい。
- (患者本人、70代、男性、腎臓・副腎、2003年版)一番の悩みは自由に外を散歩したりできないこと、自由に風呂には入れないこと。
- (患者本人、40代、女性、悪性リンパ腫、2003年版)腕の動きが仕事復帰の頃から辛くなり、以前と違うと思いしらされた。ムカムカしたり、食べられなかったりという苦痛で、仕事と家事のめりはりに慣れるまでは、特に辛かった。
- (患者本人、60代、女性、肝臓、2003年版)それ以前のように重いものも持てず、思うように体が動かないので悩んだ。
- (患者本人、60代、男性、胃、2003年版)身体が思うように動かない。
- (患者本人、60代、女性、乳房、2003年版)足が思うように動かなくイライラする。1人で外出ができない。車を使わなくてはならないこと。洋式の生活になり何かと制限され、不便である。
- (患者本人、60代、男性、前立腺、2003年版)たび重なる手術の後遺症か、手足の筋力低下の症状が現在も続いており、普通の生活ができない。
- (患者本人、70代、女性、胆道・胆のう、2003年版)体力がまだ回復せず、天気にも左右され、気分が良い日と悪い日があり落ち着かない。早く元の生活がしたい。
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【具体的な目標を作る】
がんの治療のために入院している時や、治療後の体の状態にまだなじめない退院直後は、将来の生活に対する不安や焦りを強く感じてしまいがちです。
まずは、あなたが『普通の生活』として思い描いている生活の中身を、具体的にイメージしてみましょう。
頭の中だけで整理するのが難しければ、ノートなどに書き出してみるとよいでしょう。
具体的な目標があると、達成までの道のりを一歩一歩進んでいることに気づくことができ、自信の回復につながります。
周りの人たちも、目標が具体的な方が、あなたを支えやすくなります。
【目標と今のあなたをつなぐ『階段』を計画する】
目標が具体的にイメージできたら、次に、その目標と今の自分との間をつなぐ、あなたがのぼっていくべき『階段』を考えてみましょう。
無理をしないでいい範囲で、少しずつ、体やこころを慣らしていくことが大切です。
がんの治療が終わって、休んでいた会社に復職することを例にとってみましょう。復職するまでに、あなたに準備できることがいくつかあります。
たとえば、通勤時の移動には意外なほど体力を使うものです。まず、スーツに着替え、ラッシュアワーの電車に乗って会社の最寄駅まで行ってみて、そのまま帰宅する、という練習をしてみてはどうでしょうか。
また、最初は半日程度、それも休みながらでよいと思いますが、机について本を読んだり、文書を書いたり、パソコンで作業をしてみたりしましょう。自宅でやってみて問題ないようであれば、喫茶店や図書館に場所を移して、人が周りにいる中で作業をすることに体を慣らしていきます。
もう一つ、とても大切なことは、職場の上司や同僚に病気についてどう話すか考えて、心構えをし、準備しておくことです。家族に相手役になってもらって、話す練習してみると自信がつくと思います。
ここに挙げたもののほかにも、あなたの仕事の内容によって、必要な準備は違ってくるでしょう。
やるべき準備が見えてきたら、あなたがやりやすいと思うことから順番に並べてみて、これからのことを計画してみましょう。
復職してからも、いきなり以前のペースで仕事に打ち込むのではなく、上司や同僚と相談しながら、仕事の量や内容を調整することも大切です。
【焦らずに、自分のペースで】
目標までの『階段』を、計画通りのペースでのぼれない時にも、焦る必要はありません。
焦りがつのったり、気持ちがゆれたりした時には、ちょっと一休みしてみましょう。
そして、『階段』の先の方ではなく、これまであなたがどれだけの高さをのぼってきたか考えてみましょう。
病気の治療直後には、できるはずがない、と諦めていたことのうちのいくつかは、今はもう、できるようになっているのではないでしょうか。自信を持ってください。
そして、思い描いていた『普通の生活』とは少しちがうかもしれませんが、新しい『自分らしい生活』のイメージも、少しずつ見えてきたのではないでしょうか。
時間が経つことで、あなたの体力は少しずつ回復します。それと同時に、あなたのこころもまた、新しい状況を受け止めるための力をつけていくはずです。
時間はあなたの味方です。自分のペースで、一日一日を積み重ねていきましょう。
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