「がん体験者の悩みQ&A」では、2003年と2013年に実施した全国調査結果を整理して構築したがん体験者の悩みデータベースを公開しています。このデータベースに基づき、がん体験者の方々の悩みや負担をやわらげるための助言や日常生活上の工夫などの情報ツールの作成等を行っています。
なお、個別の回答やご相談は、仕組み上できかねますので、お困りごとやご相談がある方は、お近くの
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悩み
抗がん剤の副作用による脱毛(髪の毛、眉毛、まつ毛、体毛)が辛く、悩んだり落ち込んだりしている。
72 件の体験者の声があります。
- (患者本人、50代、女性、乳房、2003年版)脱毛。
- (患者本人、40代、女性、白血病、2003年版)薬の副作用により髪が抜けたのが辛かった。
- (患者本人、60代、女性、卵巣・卵管、2003年版)頭の髪が2回なくなり、悲しかった。
- (患者本人、60代、女性、肺、2003年版)抗がん剤の投与と腰への転移に対する放射線治療を通院で行っているが、抗がん剤の副作用で脱毛が始まった。
- (患者本人、70代、男性、胃、2003年版)抗がん剤の使用中に、髪や眉が抜けて心配だった。
- (患者本人、60代、女性、乳房、2003年版)脱毛のことを一番悩んでいる。
- (患者本人、40代、女性、乳房、2003年版)抗がん剤の副作用がひどく、頭髪が抜けた時は手術の時よりつらかった。
- (患者本人、不明、女性、乳房、2003年版)説明を受けてわかっているつもりでも、髪の毛が抜けることは辛い。
- (患者本人、50代、女性、乳房、2003年版)食事は味がなく、嘔吐はあるし髪は抜けるし、体がぼろぼろになるのではないかと不安だった。
- (患者本人、50代、女性、乳房、2003年版)6年経って安心していたら、リンパ節に再発が見つかり手術。術後の放射線治療、抗がん剤の副作用で髪が抜け、体中の毛が全て抜けたことに大変なショックを受けた。当時は誰にも相談できず辛い思いをした。がん経験者から話を聞いたり、自分の話を聞いてもらうことができれば、大変心強いと思った。
- (患者本人、60代、男性、肺、2003年版)髪の毛が抜けたことがつらかった。
- (患者本人、30代、男性、その他のがん、2003年版)抗がん剤治療により脱毛が著しいことに不安を感じている。
- (患者本人、40代、女性、腎臓・副腎、2003年版)抗がん剤の点滴も、脱毛などの副作用も辛かった。医師や看護師から何か気持ちが和らぐことを提供してもらえたら、もう少し頑張れたかもしれない。
- (患者本人、80代、女性、乳房、2003年版)抗がん剤投与のために3回ほど入院。髪の毛が抜けた。
- (患者本人、70代、女性、乳房、2003年版)髪の毛が抜けたことで悩んだ。
- (患者本人、40代、女性、胃、2003年版)副作用で髪の毛が抜けること。
- (患者本人、70代、女性、胃、2003年版)週1回美容室に行くほど髪を大切にしていたので、抗がん剤の副作用による脱毛は、がん告知以上にショックを受けた。3回の抗がん剤治療で、同様に脱毛が続いているが、オーダーメイドのカツラを使用しており、脱毛状態は医師、看護師にも見せてはいない。
- (患者本人、60代、女性、悪性リンパ腫、2003年版)抗がん剤の注射で、頭髪が抜けてしまったこと。
- (患者本人、50代、女性、乳房、2003年版)再発でショックを受けたことに加え、特に抗がん剤の影響で髪が抜け落ちた時には死に方をいろいろと考えた。家族の言葉で我に返った。
- (患者本人、50代、男性、悪性リンパ腫、2003年版)1回目の治療で気分が悪くて薬も飲めず、顔も痛くなり、このような治療を何サイクルも行わなければいけないのかとに耐えられない思いだった。髪が抜け落ち、高熱が出て様々な抗生剤を使用した時にはもうだめだと思った。
- (患者本人、50代、女性、子宮、2003年版)化学療法の副作用による脱毛に悩まされた。
- (患者本人、40代、女性、子宮、2003年版)抗がん剤治療の前に、医師からはあまり強くない薬を使うので脱毛しないと聞いていたのに、髪が抜けてしまったことに悩んだ。
- (患者本人、40代、男性、悪性リンパ腫、2003年版)抗がん剤副作用により、髪の毛が抜けてしまった。
- (患者本人、40代、女性、不明、2003年版)頭髪が抜けていくのが一番悲しかった。また、食事ができなくなり苦しかった。
- (患者本人、50代、女性、子宮、2003年版)抗がん剤治療で髪の毛が抜けるのが一番ショック。手術後3回の治療で頭髪が抜けてしまい、やっと伸びてきたと思っていたところが半年目に腫瘍マーカーの値が上がりだし、再度3回の治療を受けた。
- (患者本人、60代、女性、肺、2003年版)再発予防のための抗がん剤投与によって頭髪が抜けていくことが辛かった。
- (患者本人、70代、男性、肺、2003年版)抗がん剤治療によって、脱毛ばかりでなく、体力低下によると思われるヘルペスを発症した。
- (患者本人、70代、女性、卵巣・卵管、2003年版)医師を信頼していたので、悩んだことはなかったが、抗がん剤の副作用で髪が抜けるのが一番いやだった。
- (患者本人、不明、不明、肺、2003年版)抗がん剤治療には、脱毛などの副作用があること。
- (患者本人、50代、女性、乳房、2003年版)髪の毛が抜けたことに悩んだ。
- (患者本人、30代、女性、乳房、2003年版)髪の毛が抜けてしまうこと。痛みがつらいこと。
- (患者本人、30代、女性、乳房、2003年版)抗がん剤治療が苦痛だった。髪も抜け落ち、退院後半年はつらかった。
- (患者本人、50代、女性、卵巣・卵管、2003年版)抗がん剤による脱毛。
- (患者本人、60代、女性、乳房、2003年版)初めての治療なので、頭髪が抜け初め、ドキッとした。
- (患者本人、40代、女性、乳房、2003年版)抗がん剤治療で心身ともに辛く、髪の毛も抜けてすごく悲しくてやりきれないが、この現実が、自分にがんという病気をもっと直視させるようになっている。
- (患者本人、30代、女性、乳房、2003年版)当時2歳だった子どものために、とにかくがんばらなければと必死だった。入院、手術も急で悩む間もなかったが、抗がん剤の影響で髪が抜けた時に、初めてボロボロ泣いた。
- (患者本人、50代、女性、乳房、2003年版)同室者が皆自分と同じ経験でいろいろ説明してもらい、仲間になったが、抗がん剤の副作用で髪が抜け、皆カーテン越しに泣きながらガムテープでベッドをきれいにした。
- (患者本人、30代、女性、乳房、2003年版)抗がん剤の投与で、髪の毛が抜けるなどの副作用が出て苦しかった。
- (患者本人、30代、女性、乳房、2003年版)髪の毛がなくなるのが一番辛かった。悪気はないのだろうが、周囲の人から「髪の毛ぐらい」といわれたことは一番こたえた。
- (患者本人、50代、女性、乳房、2003年版)脱毛。
- (患者本人、50代、女性、乳房、2003年版)抗がん剤治療で髪が抜けることもあると医師に言われていたが、髪やまつ毛まで抜け、人相まで変わった。やはりショックだった。
- (患者本人、60代、女性、乳房、2003年版)抗がん剤の点滴で髪が全部抜けた辛さ。
- (患者本人、70代、女性、肺、2003年版)髪の毛が抜けてきてびっくりしたが、入院中に周囲の人を見たり勉強したりして悩みが和らいだ。
- (患者本人、20代、女性、悪性リンパ腫、2003年版)脱毛は思ったほど多くなく、3分の1は髪が残っている。治療もあともう少しなので、脱毛が進まないことを祈るばかり。
- (患者本人、70代、男性、肺、2003年版)点滴後に体毛が抜けること。
- (患者本人、70代、女性、乳房、2003年版)抗がん剤で髪の毛がきれいに抜けてしまった。
- (患者本人、40代、女性、乳房、2003年版)髪の毛がガバッと抜けたこと。
- (患者本人、50代、女性、悪性リンパ腫、2003年版)抗がん剤の副作用で髪の毛が全くなくなった。また、服薬で不眠が続いた。
- (患者本人、60代、男性、悪性リンパ腫、2003年版)抗がん剤で髪が抜けること。
- (患者本人、20代、女性、子宮、2003年版)抗がん剤で髪が抜けるから悩んだ。
- (患者本人、不明、不明、乳房、2003年版)薬の副作用で脱毛し、びっくりした。1ヶ月でほとんど脱毛した。
- (患者本人、50代、女性、乳房、2003年版)手術後、強い抗がん剤による治療の副作用で髪の毛が抜け、精神的にものすごく落ち込んだ。
- (患者本人、40代、女性、乳房、2003年版)抗がん剤が始まると髪が抜けるとは聞いていたが、実際毎日毎日髪の毛がどっと抜けるのを見て、とてもいたたまれない辛い日々だった。
- (患者本人、50代、女性、乳房、2003年版)死への恐怖はあったが、毎日めそめそする程でもなかった。ただ、抜け毛がひどかったので、それが一番辛かった。
- (患者本人、不明、不明、乳房、2003年版)髪が抜けるのが死ぬほど嫌だった。
- (患者本人、40代、女性、乳房、2003年版)手術前の約2か月間抗がん剤を使った際、髪の毛が抜けたことも悲しかった。
- (患者本人、60代、女性、子宮、2003年版)脱毛が一番の悩みだった。
- (患者本人、60代、女性、悪性リンパ腫、2003年版)髪が全部抜け、もう一生美容院に行くこともないのかと悩んだ。
- (患者本人、60代、女性、乳房、2003年版)髪の毛が抜けること。
- (患者本人、50代、女性、子宮、2003年版)抗がん剤の投与後に髪が抜け始めた。
- (患者本人、60代、女性、不明、2003年版)副作用で髪が抜けて苦しかった。それとともに「自分はあと何年生きられるか」という精神的な悩みが重なったが、医師の丁寧な説明で安心できた。
- (患者本人、60代、女性、大腸、2003年版)抗がん剤での脱毛。
- (患者本人、40代、女性、乳房、2003年版)手術後7年になるが、抗がん剤の服用を続けているせいか髪が抜けて困る。
- (患者本人、30代、女性、子宮、2003年版)抗がん剤で髪が抜け落ち、とても落ち込んだ。
- (患者本人、40代、女性、悪性リンパ腫、2003年版)(抗がん剤治療を始めて)3週間目に髪がどっと抜けた時はつらかった。
- (患者本人、40代、女性、子宮、2003年版)頭髪が抜ける。
- (患者本人、40代、女性、乳房、2003年版)髪の毛が半分以上抜けた。
- (患者本人、60代、女性、胆道・胆のう、2003年版)抗がん剤治療で、髪が抜けていった時、鏡を見るのも恐くなった。
- (患者本人、30代、女性、乳房、2003年版)髪が抜けていることが不安。
- (患者本人、50代、女性、乳房、2003年版)再発後、抗がん剤治療によって毛髪が抜け、辛い思いをした。
- (患者本人、30代、女性、悪性リンパ腫、2003年版)仕事が続けられなくなり、結婚・出産をあきらめたり、抗がん剤の副作用で髪が抜けて顔が変わってしまったりしたことに悩み、今までの人生のバチがあたったと思った。
- (患者本人、50代、女性、白血病、2003年版)再発後の骨髄移植の化学療法で髪の毛が抜け、本当に辛かった。
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【抗がん剤による脱毛】
脱毛自体は、抗がん剤の種類により、起こるものとそうでないもの、脱毛は起こる可能性があるが軽度のものなど異なります。患者さんによっては、脱毛や吐き気があるものは強い抗がん剤、そうでないものは弱い抗がん剤と考える人がいますが、決してそうではありません。
脱毛は、治療で抗がん剤を使用してから2~3週間目から起こります。通常、抗がん剤治療は、何回か繰り返し行うので、治療を行っている間は脱毛は続きます。ただし、治療がすべて終了すれば、髪は生えてきます。
【体験者の話を聞いてみる】
たとえば、通院治療のときは、外来診察の待ち時間や治療時などに顔を合わせる患者さんと話をしてみましょう。同じ体験をしたからこそ分かち合える気持ちもあります。また人に話すことで、つらさが少し楽になることもあります。もしかしたら、良いアドバイスをもらえるかもしれません。
【自分でできることを実行してみる】
脱毛が起こりやすい抗がん剤の場合、治療や副作用の説明があったときから、できることを準備してみましょう。脱毛が始まってからも、髪や地肌をいたわるためにできることを実行してみましょう。
1. 脱毛が起こる前にできること
かなりの確率で脱毛が起こる抗がん剤を使用する場合で、かつらの購入を考えているようであれば、事前に自分の頭の写真をとっておきましょう(正面、側面、後ろ側)。こうしておくと、実際にかつらを購入するとき、あるいは購入したかつらを整えるときに、今までの自分の髪型に近いものを選ぶことができますし、購入先で相談する際にも役立ちます。
また、脱毛が始まる前に、髪を短く切っておいたほうがよいでしょう。脱毛が始まると、髪を洗ったときなどに髪がからまり、ほぐれなくなることがある(最終的には、その部分を切らざるをえなくなります)ので、からまらないようにするためです。また、ヘアカラーやパーマは、刺激になるので、やめましょう。
2. 脱毛中のケア
脱毛中は、頭皮も敏感になっているので、低刺激のシャンプーを使用し、こすらずに、優しく洗い流すようにしましょう。リンスやトリートメントは、基本的に髪に対して使用するものなので、頭皮を中心に洗い流すときは、お湯や低刺激のシャンプーだけで構いません。ドライヤーも刺激になるので、できるだけ控え、かけるときは冷風にしましょう。育毛剤も刺激になりますので、脱毛中は使わないようにしましょう。
また、脱毛は髪の毛だけではなく、眉毛・まつ毛・鼻毛などの体毛にも起こります。鼻毛がないと、鼻の中が乾燥し粘膜がいたみやすくなるため、外出時などはマスクなどを使用するとよいでしょう。眉毛は、眉ずみなどで書き、まつ毛がないと眼にごみが入りやすいため、注意しましょう。
かつらや帽子を選ぶときは、よく検討しましょう。
かつらは、借りることもできますが、手続きや申し込みから届くまでの期間などもあるので、借りることを検討しているときは、事前にホームページで確認しておきましょう。
かつらを購入するときは、1)自分にあった素材を選ぶ、2)自分にあったスタイルを選ぶ、3)自分にあったカラーを選ぶ、4)価格を検討する、5)商品の機能特性を確認する、ことが大切です。
どこで、かつらを購入したらよいかわからないときは、かかっている病院の看護師や相談室に相談してみましょう。そこでもわからないときには、お近くのがん診療連携拠点病院の相談支援センターに相談してみましょう。
帽子を選ぶ場合、生え際が気になるときは、つばの広い帽子を選びましょう。ご自宅では、スカーフやバンダナを使ってもよいかもしれません。なかには、帽子にかつらのような毛がついたタイプのものもあります。
【こころが不安定な状態が続くときは心の専門家もサポートしてくれる】
不安定なこころの状態が続くときには、一度こころの専門家に相談してみるという方法があります。
こころが不安定で、他には何も考えられなくなった、何事にも集中できない、誰とも話したくない、あるいは毎日夜眠れない、食欲がない、そういった症状が続くようなときは、担当医やこころの専門家(精神腫瘍科医、心療内科医、精神科医、臨床心理士、心理療法士、リエゾンナースなど)に相談してみてください。気持ちを落ち着けるお薬を飲んだ方がいい場合もあります。
こころの専門家というと、抵抗を感じる方もいらっしゃると思いますが、これは、がんという病気にかかったことでのこころの悲鳴だと思います。がんという病気は、それほど大きな衝撃で、激しくこころを不安定にさせたりするものだということになります。こころの問題はがんにかかった多くの方が経験することです。
がんと向き合うとき、からだのほうは、担当医がサポートしてくれますが、こころの方は周囲の人とともに、サポートしてくれる専門家に少し頼ってみることで、どうしていけばよいか、自分なりの答えがみつけられることがあります。
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