自分の助言集をつくる
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がんには、今でも『不治の病』とか『苦しい』、『痛い』という社会的なイメージが大きく残っています。
けれども、現在では、からだの苦痛だけではなく、こころのつらさ、社会的な問題によるつらさなどを含めて、総合的に、患者さんやそのご家族のつらさをやわらげるサポートが行われています。これは、『緩和ケア』、『緩和医療』と呼ばれていますが、そのためのいろいろな薬や治療法(この治療法というのは、がんを治す治療ではなく、がんによる苦痛をやわらげる治療法です)、そしてケアの方法が考えられ、また様々な専門の職種の人々が関わっています。
がんによって起こる痛みに対して、様々な薬が用いられるようになってきています。痛みをやわらげるお薬として代表的なものはモルヒネがあげられますが、モルヒネだけではなく、痛みの状態に応じて様々な薬や方法が用いられています。また、モルヒネは今では手術後の痛みをやわらげたりする際にも使われています。モルヒネは痛みをやわらげる大切なお薬の一つであり、決められた量や時間をきちんと守れば、こわい薬ではありません。大切なのは、苦痛をやわらげるためにも、ご自分の痛いところ、つらいところをきちんと医師や看護師に伝えていくことです。
また、死について考えてしまうことを否定する必要はありません。無理に考えまいとすると、よけいにつらくなってしまいます。さきほど説明したように、こういうときには、死について考えてしまうことを否定し無理に考えまいとするのではなく、具体的なことを考える時間を持つことが大切です。
がんの終末期というと、ホスピスと結びついて考える方が多いようですが、緩和ケアは、終末期だけ行われるものではありません。がんと診断後に起こる様々な身体的・精神的・社会的な苦痛をやわらげる治療やケアが緩和ケアです。
そして、緩和ケアはホスピスだけで受けられるということではありません。ホスピスは、終末期を過ごす施設の一つですが、ホスピスでなくても緩和ケアは受けられます。
患者さんがこういうことを言われると、ご家族をはじめ周囲の方は、患者さんを励まそうとして「そんなこと考えないで」とか、「がんばろう」と声をかけてしまうことがあります。けれども、終末期を迎えなければならないかもしれないと考え、どこで過ごすか、どういう葬儀を考えるかは、真剣に生きていて、自分らしく生きていこうとするからです。
つまり、がんが初期であっても、進行していたとしても、そのことがきっかけで、死について考え、死の準備をすることは、自分らしく生きるための作業の一つだと思います。
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