「がん体験者の悩みQ&A」では、2003年と2013年に実施した全国調査結果を整理して構築したがん体験者の悩みデータベースを公開しています。このデータベースに基づき、がん体験者の方々の悩みや負担をやわらげるための助言や日常生活上の工夫などの情報ツールの作成等を行っています。
なお、個別の回答やご相談は、仕組み上できかねますので、お困りごとやご相談がある方は、お近くの「がん相談支援センター」をご利用ください。

悩み

民間療法でも治ること、西洋医学で結果が悪くなることもあると知り、自分自身で治療法を決めるのが大変だった。
1 件の体験者の声があります。

助言

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【民間療法を使うときの注意】

民間療法の中には、新聞や雑誌に大きな広告を出し、すばらしい効果を持っているかのように宣伝されているものもあります。
しかし、民間療法はあくまでも民間に伝えられてきた方法であり、がんを治したり、がんの進行を抑えたりする効果があると科学的に証明された治療法ではありません。
また、「天然の原料を使っている」、「昔から使われてきた」ということだけでは、安全であるとは言い切れません。あなたの体や病気の状況次第では、民間療法が逆に体調を悪化させることもあります。


 
【誰が、どのように情報を出しているか、確かめましょう】

お悩みの中にある『民間療法でも治る』とのことについてですが、誰が、どのような形で情報を発信しているか、確かめてみてください。もしそれが、以下のようなものに該当するときには、特に注意してください。

1. 特定の商品の宣伝や、それに近い情報発信
新聞や雑誌に掲載される民間療法の宣伝広告は、読み進めるうちに思わずその効果を確信してしまうような、巧みな文章で書かれます。また、一見、ある民間療法の効果を中立的に紹介するように見せている書籍の場合も、巻末に特定の商品の取り扱い業者の連絡先を書いたり、商品のチラシを折り込んだりしているようなものについては、宣伝に準ずる情報発信と理解して、注意深く読んでください。

2. 適切ではない効果の強調
ある民間療法のがんに対する治療効果について、試験管内での実験や動物実験で確認しただけで、人に対しても有効的であるかのような紹介のされ方をすることがあります。このような情報は、一見科学的ですが、人に対する効果はあくまでも人を対象にする臨床試験でしか分からないのです。

3. 個人的な体験談
民間療法を紹介する書籍の中の体験談については、執筆者の創作であることが明らかになり、問題になったことがあります。わかりやすい言葉で書かれた体験談には共感を覚えますが、信頼性を確認しにくい場合があり、注意が必要です。また、知人から民間療法を勧められて、その方の体験談を聞くこともあるかと思いますが、体質や病気の状況は人によって差があります。その方の体に合った民間療法が、あなたにも必ず同じ効果を発揮するわけではありません。

4. 一般的な治療法(手術療法、化学療法、放射線療法)を並行して行っていた場合
実際には一般的な治療法を受けていたのに、その効果が、同時に行っていた民間療法の効果であるかのように書かれることもあります。確かに、民間療法は、一般的な治療法を受けるあなたの『こころの支え』になる場合もあると思います。ただし、民間療法を行うことで一般的な治療の効果が弱まったり、民間療法と一般的な治療がぶつかって問題を引き起こしたりすることもあるのです。民間療法を試す時には、かならず担当医にご相談ください。


 
参考になるホームページ
「統合医療」情報発信サイト:代替医療、健康食品、サプリメントなど
https://www.ejim.ncgg.go.jp/public/index.html
「統合医療」情報発信サイトは、厚生労働省の事業の一つで、民間療法などを含む補完代替療法とどのように向き合い利用したらよいかを考えるために、根拠に基づいた情報を紹介しているサイトです。統合医療の定義、インターネットやマスメディアの健康・医療情報の見極め方、関連する冊子や資料、海外の情報などがあります。
『冊子・資料』には、厚生労働省の研究グループが作成した冊子『がんの補完代替医療ガイドブック 第3版』などの冊子PDFがあり、閲覧・ダウンロードできます。また、健康食品やサプリメントについて、注意点や正しい利用法など書かれた冊子類のPDFも、閲覧・ダウンロードできます。

 
【担当医や相談員に相談してみましょう】

あなたが民間療法で治したい、という気持ちになっているのは、なぜでしょうか。
もしかすると、現在の治療法に対して、説明不足や心細さを感じているのかもしれません。そうであれば、まずは担当医に、受けている治療は、効果や安全性が確かめられている『標準的治療』なのかどうか、もし違うのであればなぜ現在の治療を選んだのか、もう一度よく説明を受けてみてください。
あるいはまた、あなたは、病気の進行に対する不安や、痛みなどの体のつらさという悩みがあって、民間療法に希望を見出そうとされているのかもしれません。
もしそうなのであれば、民間療法を始める前に、担当医に正直に相談してみてください。相談することで、担当医の方からあなたの悩みを解決するための方法を示してくれるのであれば、それにまさることはありません。
もし、いきなり担当医に話をするのがどうしても敷居が高いように感じるのであれば、おかかりの医療機関(病院など)の相談室やがん診療連携拠点病院の相談支援センターにいる相談員に相談してみるとよいでしょう。看護師やソーシャルワーカーが務める相談員には守秘義務があり、相談内容が外にもれるようなことはありません。
自分の悩みを人に打ち明けて、助けを求めることができるのは、あなたの弱さではなく、強さであると考えてください。


 
参考になるホームページ
国立がん研究センター『がん情報サービス』:相談先を探す
https://ganjoho.jp/public/index.html
[相談先・病院をさがす]では、成人や小児の相談先・病院一覧(がん診療連携拠点病院、小児がん拠点病院)を病名や地域、病院の種類などから探すことができます。

 

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【がん相談支援センター】
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●静岡県内の方は、
静岡がんセンター「よろず相談
もしくは、静岡県内のお近くのがん診療連携拠点病院の「がん相談支援センター
●静岡県外の方は、
お近くのがん診療連携拠点病院の「がん相談支援センター
にご相談ください。

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