「がん体験者の悩みQ&A」では、2003年と2013年に実施した全国調査結果を整理して構築したがん体験者の悩みデータベースを公開しています。このデータベースに基づき、がん体験者の方々の悩みや負担をやわらげるための助言や日常生活上の工夫などの情報ツールの作成等を行っています。
なお、個別の回答やご相談は、仕組み上できかねますので、お困りごとやご相談がある方は、お近くの「がん相談支援センター」をご利用ください。

悩み

乳房切除手術か乳房温存療法かで迷った。
17 件の体験者の声があります。

助言

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【乳がんの手術方法】

現在、日本で行われている乳がん手術の方法は、

○乳房を全部切除する方法
○乳房を部分的に切除する方法

の2つに大きくわけられます。

現在、乳房温存術(乳房を部分的に切除する方法)は増加傾向にあります。
この背景には、様々な臨床試験の結果、ステージⅠ、Ⅱの浸潤乳がんに対する局所療法として、乳房切除術と乳房温存療法(乳房部分切除+放射線治療)で生存率に差がないことが科学的に証明されたことがあります。

また、生活の質(QOL)の維持のためにも、できるだけ体への負担を少なく、なおかつ治療の効果が期待できるように、治療を組み合わせたり(手術前に抗がん剤治療を行い、がんを小さくしてから乳房温存療法を行うなど)、新しい治療法が臨床試験などで検討されています。


 
【乳房温存療法とは?】

乳房温存療法とは、乳房温存術と術後局所再発予防のための放射線治療を組み合わせて行う治療法です。

乳房温存療法では、

○温存する乳房内にがんが残る可能性が少ないか否か
○どのくらい乳房の美容性を手術前と近い状態で保つことができるか
(しこりの大きさと乳房のバランスなど)

という2つの側面から、適応となるかどうかを検討していきます。

手術後局所再発を防ぐために放射線治療を行います。局所再発した際には、乳房切除の手術を行います。また、手術で切除した部分の組織を病理検査し、もし断端(だんたん)(切り取った端の部分)、あるいは断端に近い部分にがんがある場合は、乳房切除をしたり、放射線を多めにあてたりします。

乳房温存療法を行うかどうかは、自分の現在の病気の状況をよく理解し、担当医と相談して決めましょう。

術前の抗がん剤治療の効果と安全性は、大規模な臨床試験によって確認されています。がんが小さくなることで、乳房切除術の予定の方が、乳房温存術が可能となる場合もあります。


 
【リンパ節切除に関して】

手術を行う前から(術前検査などの結果等)リンパ節転移の疑いがある場合は、手術の際にリンパ節切除(リンパ節郭清(かくせい))も行うことで、リンパ節の転移を減らす期待はできますが、リンパ節を切除した方の生存率が高くなるというはっきりした結果は出ていません。

リンパ節を切除するのには、もう一つ理由があります。それは、リンパ節の転移があるかどうか、あるとしたらいくつあるのかを詳しく調べるという診断のためです。これらの情報は、今後の再発の危険性を予測し、今後の方針を決めていく上での手がかりになります。

センチネルリンパ節生検というのは、がん細胞が最初に流れ着くリンパ節を調べて、その部分に転移がなければ、わきの下のリンパ節切除は行わないという方法です。
これは、乳がんのリンパ節転移には一定の道筋があり、がん細胞が最初に流れ着くリンパ節が1個か2個であることがわかってきたことから開発された治療法です。


 
【治療を決めるとき】

“早く治療法を決めなければ・・・”という思いが起こるかもしれません。けれども、治療法を決めるというのは、とても大切なことです。もし気持ちがすっきりしないのであれば、最終的に時間を少しおいて、自分の選択や思いを確認するくらいの気持ちの整理が必要かもしれません。
最近では治療法の選択に迷った時など、セカンドオピニオンを受ける方も増えてきましたが、実際にセカンドオピニオンを受けるとなると、思った以上に時間がかかることもあります。それでも、セカンドオピニオンを受けることで、自分なりによく考えて治療を決定できたという方もいらっしゃいます。


 
【セカンドオピニオンを受けてみる】

セカンドオピニオンというのは、直訳すると『第2の意見』で、『診断や治療方針について、現在の自分の担当医以外の医師の意見を聞き、参考にすること』をいいます。
これは、
◎ 担当医に診察や治療方針の説明を受けたが、どうしたらいいか悩んでいる
◎ いくつかの治療法を提示されたが、迷っている
◎ 他の治療法がないか知りたい
などの場合に、ご自身が納得して治療を選択し受けるために、他の医師の意見も聞いてみるという方法です。


 

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