ロボット支援手術(da Vinci/hinotori)

お知らせ
2023/12/21 国産ロボット「 hinotoriTM(ヒノトリ)」を用いた、手術の自律化に関する世界初の臨床研究を順次開始
2021/04/13
手術支援ロボット・ダヴィンチ手術の診療科を拡大し2台から3台体制へ(県内初)
2015/04/07 手術支援ロボットを用いた胃がんの胃切除術を先進医療として実施
2014/07/02 手術支援ロボット ダ・ヴィンチの「胃領域の症例見学施設」の認定

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ロボット支援手術とは

 近年、胆石症、虫垂炎などの良性疾患だけでなく、大腸がん、胃がんなどの悪性疾患に対しても、腹腔鏡手術が行われる機会が増えてきました。腹腔鏡手術は従来の開腹手術と比べて、体に加わる負担が少ない(体に優しい)と考えられています。腹腔鏡手術の利点は、傷が小さいことによる術後の痛みの軽減、より早い術後の回復、より短い入院期間、より早い社会復帰、そして美容上の美しさなどが挙げられます。

 ロボット支援手術は腹腔鏡手術をロボット支援下に行うもので、今までの腹腔鏡手術の利点をさらに向上させることができると考えられています。ロボットによる手術をおこなうことで、複雑で細やかな手術手技が可能となります。また3次元による正確な画像情報を取得できるため、より安全かつ侵襲(しんしゅう)の少ない手術が可能となり、次世代の医療改革の一端を担った分野と考えられています。

 これまでいくつかの手術支援ロボットが開発されていますが、静岡がんセンターのロボット手術は2011年12月に「da Vinci Surgical System (ダ・ヴィンチ)」を導入し、現在、直腸がん、胃がん、前立腺がん、腎臓がん、肺がん、縦隔腫瘍、腎臓がん、子宮体がん、食道がんに対して実施しています。

 2023年12月、国産メーカーの「hinotoriサージカルロボットシステム」を導入し、hinotoriを用いた手術支援ロボットの機能開発に関する臨床研究を開始しました。今後、婦人科、泌尿器科、食道外科、肝胆膵外科でも順次研究を開始する予定です。

【ダ・ヴィンチ サージカルシステム】 【ヒノトリ サージカルシステム】

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ロボット支援手術の特徴

 ロボット支援手術は、通常の腹腔鏡手術をロボット支援下に行うものです。ロボットにより繊細で精密な手術が行えるため、手術成績の向上が期待されています。従来の開腹・開胸手術と比較して、通常の腹腔鏡・胸腔鏡手術と同様に、傷が小さく痛みが軽度で、手術後の回復が早い、手術中の出血量が少ないなどの利点があります。
 手術操作は、①実際の手の動きが鉗子に反映される直感的な操作、②人間の手の動きを模倣した多関節を持った鉗子であり、人間の手以上の自由な動き、③実際の手の動きの縮尺変更により繊細な動作が可能になります。特に骨盤の深いところを操作するような前立腺がん、直腸がん、子宮がん手術などでは、より簡単に、より繊細な操作が行えます。

 ただし、ロボット手術にも欠点があります。腹腔内・胸腔内の癒着が高度な症例や高度の肥満症例では従来の開腹・開胸手術の方が安全な可能性があります。ロボットを介しての手術となるため、術者は触覚を感じることができないため注意が必要です。しかし、当院ではこれまで触覚がないことが原因で患者さんが不利益を被ったことはありません。手術後の治癒率や再発率に関しては、まだ新しい治療法のため報告がほとんどありません。実際の執刀は、Intuitive Surgical社による認定ライセンスを受けた医師が行います。看護師においてもトレーニングを受けている看護師が介助を行います。

当院の導入状況

導入状況 備考
2011 9月 ダヴィンチS(新規) 1台体制
2013 4月 ダヴィンチSi(新規) 2台体制
2016 4月 ダヴィンチXi(更新)
2019 4月 ダヴィンチXi(更新)
2021 4月 ダヴィンチXi(新規) 3台体制
2023 12月 ヒノトリ(新規)※臨床研究用 4台体制

実績

※集計は2023年11月末時点です

「大腸外科」 「胃外科」 「泌尿器科」 「呼吸器外科」 「婦人科」 「食道外科」 

費用について

現在、下記の手術について実施しています。

(2022年4月時点)

部位 手 術 名 診療報酬点数
腹腔鏡下胃切除術(悪性腫瘍手術) 73,590
腹腔鏡下噴門側胃切除術(悪性腫瘍手術) 80,000
腹腔鏡下胃全摘術(悪性腫瘍手術) 98,850
直腸 腹腔鏡下直腸切除術 75,460
直腸 腹腔鏡下直腸低位前方切除術 83,930
直腸 腹腔鏡下直腸切断術 83,930
腹腔鏡下腎悪性腫瘍手術
(原発病巣が7センチメートル以下のもの)
70,730
腹腔鏡下腎悪性腫瘍手術
(その他のもの)
64,720
前立腺 腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術 95,280
胸腺 胸腔鏡下拡大胸腺摘出術 58,950
縦隔 胸腔鏡下縦隔悪性腫瘍手術 58,950
胸腔鏡下良性縦隔腫瘍手術 58,950
胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(区域切除) 72,640
胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術
(肺葉切除又は1肺葉を超えるもの)
92,000
子宮 腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術
(子宮体がんに限る)
70,200
食道 胸腔鏡下食道悪性腫瘍手術
(頸部、胸部、腹部の操作によるもの)
133,240
食道 胸腔鏡下食道悪性腫瘍手術
(胸部、腹部の操作によるもの)
122,290
食道 縦隔鏡下食道悪性腫瘍手術 109,240

 診療報酬点数は、1点あたり10円を乗じて医療費を算出します。診療報酬点数の合計は、上記の手術点数のほかに麻酔や検査・入院料等が加わります。患者さんの状態によって異なってきます。概算の自己負担額は下記をご覧ください。また、一定金額を超えた場合には高額療養費制度の適用対象となります。

概算の医療費(保険診療、3割負担として計算)

 

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