手術支援ロボットを用いた胃がんの胃切除術を先進医療として実施

2015年4月7日
静岡県立静岡がんセンター

 静岡がんセンターの手術支援ロボット“ダ・ヴィンチ(da Vinci Surgical System)を用いた腹腔鏡下胃切除術が、4月1日、保険診療との併用が認められる先進医療(第3項先進医療技術【先進医療B】)に認められました。適応対象は、「根治切除が可能な胃がん(ステージⅠ又はⅡであって、内視鏡による検査の所見で内視鏡的胃粘膜切除術の対象とならないと判断されたものに限る。)」です。今後は、手術に係わる費用以外の一般保険診療と共通する部分が保険給付の対象となります。

 我が国では男女合わせた全がんのうち、胃がんに罹患する確率が最も高く、なかでも早期胃がんの割合は、全体の50%を超えています。そのため予後のきわめて良好な早期胃がんの患者さんに対して、より低侵襲の治療技術の開発が求められています。当センターでは、2012年1月のロボット支援手術を導入するにあたり、安全性の評価を探索するため、手術手技の相違が予後に影響する可能性が低いと考えられるⅠA期の早期胃がん(ESD適応症例は除く)手術に関する「早期臨床第Ⅱ相試験」を実施し、安全性が確認されました。この結果を受けて、さらに適応を拡大し、ⅠA期・ⅠB期を対象に臨床試験を実施し、更なる安全性が確認されました。今回の先進医療の認定を受け、手術支援ロボットの有用性を検討するため、330例を目標にした多施設共同試験に参加いたします。

【先進医療として実施する内容】

  1. 承認を受けた先進医療名:内視鏡下手術用ロボットを用いた腹腔鏡下胃切除術

  2. 適応症等:根治切除が可能な胃がん(ステージⅠ又はⅡであって、内視鏡による検査の所見で内視鏡的胃粘膜切除術の対象とならないと判断されたものに限る。)

  3. 承認の日:2015年4月1日

  4. 費用(先進医療に関わる部分):532,500円

【本先進医療を実施する医師のコメント(胃外科 部長 寺島雅典)】

 ダ・ヴィンチを用いたロボット手術は、現在一般的に普及している腹腔鏡下手術に比較し、鉗子の可動域制限を受けない事や、3次元の拡大視野が得られる事、手ぶれ防止機構が備わっている事など大きな利点を有しています。前立腺がんでは既に保険適応が得られており一般的に施行されています。胃がんに対しては、日本、韓国、イタリアなどを中心に導入が検討されていますが、腹腔鏡下手術に比較し、出血量が少ない事、術後合併症が少ない事が報告されており、当センターで実施した臨床第II相試験においても胃がん術後の経過に大きな影響を与える腹腔内感染性合併症の発生率が低率であることが確認されています。今回先進医療下で実施される臨床試験において、ロボット手術の安全性、有効性が検証される事が期待されています。

【手術支援ロボットの治療実績】

 当センターの手術支援ロボットによる手術は2011年12月に開始し、「ダ・ヴィンチ・サージカルシステム」2台を稼働し、胃・前立腺・直腸・肺(縦隔)の部位で使用しています。

●当センターの手術支援ロボット ダ・ヴィンチによる手術実績 (年度/件数)
担当の診療科 主な疾患 主な術式 2011 2012 2013 2014 累計
胃外科 胃がん 胃切除 4 32 50 55 141
大腸外科 直腸がん 直腸切除術 10 63 149 131 353
泌尿器科 前立腺がん 前立腺摘出術 41 65 69 175
呼吸器外科 縦隔腫瘍等 縦隔腫瘍切除術
胸腺全摘術
1 3 4
合計 14 136 265 258 673

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※本件に関するお問い合わせは、下記までお願いいたします。
静岡 県立静岡がんセンター マネジメントセンター 医療広報担当  TEL 055(989)5222

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