国産ロボット”hinotoriTM(ヒノトリ)”を用いた手術の自律化に関する世界初の臨床研究を順次開始

2023年12月21日
静岡県立静岡がんセンター

 静岡がんセンターは、2011年12月、従来の腹腔鏡手術よりも精緻な手術が可能な手術支援ロボット「da Vinci(ダヴィンチ)」を導入し、身体へ与える負担が少ない低侵襲性と安全性の観点からロボット支援手術を積極的に進めてきました。2021年4月にはダヴィンチを3台体制とし、2022年度のロボット手術は年間645件を実施するまでになりました。特に大腸がんにおいては、ダヴィンチ導入以後全国最多のおよそ2000件の手術実績を有しています。さらに今月中旬、国産の手術支援ロボット「hinotoriTMサージカルロボットシステム」(以下、ヒノトリ)を導入し、1例目の手術を大腸外科で実施いたしました。婦人科、泌尿器科、食道外科、肝胆膵外科にも順次拡大が予定されています。

 ロボット支援による手術症例が増えているなか、静岡がんセンターは新たに導入したヒノトリの開発元である株式会社メディカロイド(製造販売業者)およびシスメックス株式会社(総代理店)の3者間で包括的共同研究契約を締結し、大腸外科をはじめとして複数の診療科において、ヒノトリを用いた手術支援ロボットの機能開発に関する臨床研究を順次開始することになりました。本研究では、手術中の内視鏡画像データとロボットの操作ログを解析することによって、手術の自律化(部分自動化)が可能になりうるかについての検討を進めます。これまでに、ヒノトリを用いた手術の自律化に関する研究は行われておらず、世界初の研究と言えます。まずは大腸外科からの開始となります。この研究によって、自律化が可能なヒノトリの動作が同定されれば、ロボット支援下手術の自律化の実用化研究を経て、最終的には手術中の外科医に対する手技の支援や遠隔手術の実用化にもつながる大きな一歩となると期待されます。

 

医師からのメッセージ

塩見 明生(大腸外科部長/日本ロボット外科学会Robo‐Doc Pilot国際A級専門医)

 今後しばらくは、ロボットが自動で手術を行うのではなく、外科医がロボットを操作して手術を行う時代が続きます。そして、新たな技術革新によって、ヒトの脳が処理しきれないことをAIが補助し、ヒトの目に見えないものを新たなテクノロジーが可視化し、ヒトの手でできない部分をロボットの手が実現するようになれば、外科手術はさらに進歩します。
 その時代の英知を結集して患者さんの治療成績向上に貢献する姿勢が、将来においても外科医に求められると考えています。

 


●プレスリリース
国産ロボット”hinotoriTM(ヒノトリ)”を用いた「手術の自律化」に関する世界初の臨床研究を順次開始(PDF:363KB)

関連サイト
 低侵襲性手術
 ロボット支援手術

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