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【治療について理解を深める】
手術を受ける前は、どういうものかイメージがつかないため、いろいろと悪い方へ考えてしまいがちです。
まず、自分の頭の中を再整理してみてください。あなたは、担当医から病気や手術についてどのような説明を受けましたか。一緒に説明を受けたご家族が近くにいらっしゃれば、担当医の説明内容をお互いに確かめ合ってみるとよいでしょう。また、説明の際に書いてもらったメモや資料があれば、それを見ながら確かめ合うのもよいでしょう。
手術とはどういうものなのか、合併症などの可能性はどうなのか、術後はどういう経過となるのか、など1つ1つ整理してみましょう。
そして、よくわからないことがあれば、外来時に担当医に確認してみましょう。その際は、できるだけご家族にも同席してもらいましょう。聞き逃すことも減りますし、本人、ご家族が病気や治療方針について、共通した認識を持つことは大切です。
たとえば、理解しておいた方が良い内容として、下記のような事柄があります。
1. 病期との関連で、なぜその治療(手術という治療方法、手術の術式等)がよいのか
2. 他の治療法が選択されない理由(抗がん剤治療、放射線治療、あるいは他の術式等)
3. 危険性(起こる可能性のある合併症、術後機能障害等)はどういうものがあるのか
4. 3に対し、どのような対処法があるのか
などです。治療についてよく理解することで、治療についての不安が軽くなることもあります。
【手術に対する抵抗感の原因を考える】
手術をためらう理由は何でしょうか。原因を考え、原因に沿って確認したり、説明を受けたりしていきましょう。
◎ 過去に自分自身、あるいは家族や知人が手術の際に何かつらい経験をしたり、トラブルがあった
確かに、他の治療方法と同様、手術にも危険性はありますし、合併症が起こることもあります。術後の痛みもあります。ただ、過去に何か手術に対し抵抗感を生むような出来事があったとしても、治療自体進歩しています。また、その進歩の中で、手術を行う場合もできるだけQOL(生活の質)が維持できるように、機能保存、縮小手術の方法が開発されてきています。つまり、過去に見聞きしたことや体験したことと現在では差があります。痛みに関しては、手術後の痛みを軽減していくための対応策はずいぶん進歩しました。他の方の体験がそのままあなたに必ず起こるわけではありません。
◎ 心臓疾患、肺疾患、腰痛などの持病があり、手術時の影響や安静にしているときのつらさが心配
手術前には、がんに関する検査だけではなく、全身の状態もチェックされます。これは、手術を行っても問題ない全身状態であるか、また他疾患がある場合にはきちんとコントロールできているかなどをみていきます。注意が必要な点があれば、そのことを念頭に入れて手術中や手術後も注意深くチェックし、何かあれば早めに対応できるようにしていくはずです。腰痛がある場合も、あらかじめ伝えておくことで、できるだけ腰痛をやわらげるための対応をしてくれるでしょう。
手術やその他の治療でも、何らかの不安や抵抗感は誰でも起こります。けれども、あなたの大切なからだにかかわることです。がんは診断を受けた時点では、症状が全くないか、ほとんどないということが多く、いきなり告げられた病名が信じがたく実感を伴いにくいこともあります。ただ、それは同時に早くにがんが発見できたことで、早期に治療を実施できる大切な機会でもあるのです。