研究活動
主な研究内容
1)膵癌、胆道癌の補助療法(手術に併せ行う、再発予防のための治療法)の開発
膵癌:静岡がんセンターを中心とする膵癌補助化学療法研究グループ(JASPAC)で、膵癌の補助療法の開発を行っています。JASPACは、膵癌の術後に従来使用していた抗がん剤「ゲムシタビン」に換えて「S-1」を使用すると、術後の生存率が飛躍的に向上することを2013年に発表し(JASPAC 01)、これに基づいて2013年以後、わが国の膵癌診療ガイドラインが改訂されました。また、この結果に基き、2018年現在は、JASPAC 01の付随研究としてのバイオマーカー研究を進めています。
さらに、膵癌の術前治療としての化学療法と放射線化学療法の第Ⅱ相比較試験(JASPAC 04)、Borderline resectable膵癌に対する放射線化学療法の第Ⅱ相試験(JASPAC 05)、Borderline resectable膵癌に対する術前化学療法と放射線化学療法の第Ⅱ・Ⅲ相試験(JASPAC 07)などを行っています。胆道癌:多施設共同試験に参加し、胆道癌に対するS-1を用いた術後補助療法の第Ⅲ相試験(JCOG1202)などに取り組んでいます。
2)肝胆膵手術外科手術における科学的根拠に基づいた各種手技の有用性の検討と低侵襲外科治療の確立
同名の多施設共同研究班(島田班)に属し、膵切除における膵断端処理法の研究、肝切除におけるenergy deviceの有用性に関する研究などを行ってきました。2018年現在、膵頭十二指腸切除前の減黄方法に関する研究、膵頭十二指腸切除における抗菌薬の使用方法に関する研究が企画されています。
3)肝胆膵癌手術に感染・栄養・免疫が及ぼす影響と対策に関する研究
肝細胞癌や膵・胆道癌手術において、栄養状態や免疫状態が術後の短期、長期成績に及ぼす影響を検討しています。また、膵癌、胆道癌手術は感染性合併症率が高い点が問題の一つですが、この実態を明らかにし、感染制御をいかに行うかについて研究しています。
4)胆道癌手術における高侵襲・高難度手術の安全性、有効性に関する研究
胆道癌手術では、肝切除術+膵頭十二指腸切除術などの高侵襲手術や血管合併切除などの高難度手術がしばしば必要になります。これらの手術の安全性、有効性を高める臨床的な研究を行っています。
5)高齢者に対する肝胆膵癌の外科治療の安全性、有効性に関する研究
急速に高齢化が進むわが国において、高齢者の癌治療をいかに行うかは大切な課題です。肝胆膵外科は、比較的大きな手術が多いため、高齢者に安全で有効な手術をいかに行うか、検討しています。
6)肝胆膵癌の遺伝子解析に関する研究
静岡がんセンターでは、病院と研究所が一体となって癌の遺伝子解析に関する研究(Project HOPE)を行っています。肝胆膵外科においても、研究所と共同で、肝癌、膵癌を中心とする遺伝子研究に取り組んでいます
7)肝細胞癌に対する手術と陽子線治療の比較研究
切除可能な肝細胞癌に対する手術治療と、先進医療である陽子線治療を比較する研究を行っています。
関連情報
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・「倫理審査委員会で実施情報の公開が必要とされた研究の情報」についてはこちら