レジデント向け情報

研修の特徴

良性・悪性の多彩な脳腫瘍の豊富な症例で、脳腫瘍の専門教育を受けることができます。脳腫瘍の症例数、手術数は全国でも有数であり、原発性脳腫瘍、転移性脳腫瘍などの診断、適応判断、外科治療の思考方法と技術を習得することができます。手術の方法も多彩で、さまざまな開頭術、脳葉切除術、経蝶形骨洞手術、広汎頭蓋底手術、ナビゲーション下手術、生理学的モニター下手術なども経験することができます。日常的にキャンサーボードへの参加や相互コンサルテーションで、最新の腫瘍学、病理診断学、画像診断学も学ぶことができ、希望すれば緩和医療科や腫瘍内科で一定期間学ぶ機会もあります。
 また、豊富な症例から、アイデアがあれば多くの臨床研究が可能です。学会発表や論文作成も指導医のもと、多数経験することができます。当センター研究所との共同研究、JCOGなど多施設共同臨床研究や治験に参加していますから、最先端の臨床研究に参加することができます。但し、がん専門病院であるため、血管障害、変性疾患などの経験が困難ですが、これを補うべく、希望により近隣の総合病院などで短期研修を受けることも可能です。

研修コースと研修内容

レジデントコースでは、3年間の研修期間内に主となる脳神経外科以外に病理診断科、画像診断科を必須とし、その他の診療科を希望に応じて選択、ローテートしていただきます。
 また、チーフレジデントは、レジデント卒業相当の経験と技術をもった方を対象として、より専門的に脳腫瘍外科を研修していただきます。原則的には2年間の脳神経外科研修となりますが、希望により関連他科へのローテートも可能です。
 研修中には脳神経外科の主要な手技、周術期管理はもとより、脳腫瘍病理、画像診断、化学療法、その他脳神経外科全般について診療技術・手術手技の習得、専門医資格の取得、学会発表や論文執筆の指導、臨床研究への参加等、しっかりした指導のもとで総合的に研修していただけるようにカリキュラムを整えています。2年以上の研修が困難な方には、6ヶ月、12ヶ月の短期研修も対応しています。

募集情報

脳腫瘍は、患者/家族の生活の質に大きく関与する重要な疾患です。携わる医師が習得すべき内容は患者背景の理解から、手術テクニックまで広く深く、それだけにやりがいのある仕事です。
 原発性脳腫瘍は病理学的に種類が多く、臨床像も多彩です。多くの症例が紹介され、集学的な治療が行われる当がんセンターのように、充分な経験をもった施設で研修することが重要です。一方、転移性脳腫瘍の患者が明らかに増加しています。以前は腫瘍内科医に適応外とされていた脳腫瘍を持つ患者にも、全人的積極的治療が実施されるようになっています。脳は最重要臓器と位置づけられ、脳外科医の役割はますます重要になっています。
 当科では、脳腫瘍(良性/悪性)の診断/外科治療/アジュバント治療を積極的に行っています。FDG-PET-CT、320列CT、3T-MRによるMRS、Tactgraphyを術前、経過観察の診断に駆使し、機能診断を含めた脳腫瘍画像診断の新しいプロジェクトを企画しています。病理診断の理解は非常に重要です。病理診断科と共同で脳腫瘍の薬剤耐性を研究しており、定期的カンファレンスにおいて治療方針の妥当性などを検討しています。
 手術室では手術顕微鏡、術中ナビゲーション、超音波吸引、神経内視鏡など最先端の機器をそろえ、基本/原則に忠実な手術から低侵襲を目指す方針です。とくに下垂体腫瘍、後頭蓋窩腫瘍には、多くの経験を有しています。頭蓋底腫瘍は、頭頸部外科/再建・形成外科/眼科との合同手術を行います。また、陽子線治療科と共同で頭蓋底腫瘍などの困難な治療に取り組んでいます。定位放射線治療は、放射線治療科と共同で診療を担当しています。血管内手術を積極的に取り入れ、脳/頭頸部領域における腫瘍血管の塞栓術、血管の閉塞試験、急性/慢性期血管障害の診断治療も行っています。また、神経膠腫や悪性リンパ腫の化学療法も、自科でプロトコールを作成し、積極的に行っています。
 以上のように多角的な情報を集め、豊富な手持ちの治療法のなかから、患者の病態や条件にあわせた治療の組み合わせを選択します。他科、他職種との緊密な協議から、幅広く知識や経験を増幅することが日常臨床の進歩につながると考えております。また、近隣施設および世界各地の脳神経外科施設との人的交流や症例検討会の共同開催を通じて、新しい知識と技術の習得に努めています。
 後期臨床研修プログラムでは、静岡県立3病院、すなわち県立総合病院/こども病院/がんセンターの各脳神経外科をローテーションし、それぞれの専門分野の症例を集中的に学習します。静岡がんセンターでは、基本的に100例/年の脳腫瘍症例で手術/アジュバント治療を経験することを求めます。院内外の医師や他の職種との共同作業の経験を積むとともに、自身で診断し治療適応を判断する能力を身につけ、指導医の監督下で血管撮影/穿頭術/開頭術など基本手技が実践できるようになることを目標とします。

脳神経外科

脳神経外科