腫瘍マーカー

がん細胞は、正常な細胞ではほとんど見られない特殊な物質を作ることがあります。このがんにより大量につくられた特殊な物質が血液中に出現してきたものを「腫瘍マーカー」といいます。腫瘍マーカーは、
(1)がん検診(がんの早期発見)
(2)がんを診断するうえでの補助的な検査
(3)がんの病気の勢いの評価(治療効果判定)
(4)早期がん手術後の経過観察(再発の早期発見)
に使われます。がんを詳細に解析し、がんで作られる特殊な物質(腫瘍マーカー)を探索し、同定しています。さらに、その物質の血液や尿での濃度を測定できるような検査法を開発します。

新しい腫瘍マーカーが確立されれば、患者さんにとって診断や治療に伴う身体的苦痛が軽減されます。

新規腫瘍マーカーの同定

培養がん細胞やプロジェクトHOPEで解析したがん組織を詳細に解析し、正常組織と比較することにより、がんで作られる特殊な物質を探索し、同定しています。がん細胞が特異的に産生するたんぱく質やペプチド、あるいはRNA(メッセンジャーRNA及びマイクロRNA)を、それぞれプロテオミクス及びトランスクリプトミクスという解析手法で同定します。さらにその物質の血液や尿での濃度を測定できるようにしています。

新規がん-胎児タンパク質の同定

代表的な腫瘍マーカーであるアルファフェト・プロテイン(AFP)やがん胎児抗原(CEA)は、大人での発現が低く、胎児とがんにおける発現が高い胎児タンパク質の一種です。一部のがん細胞では、細胞が未分化の状態に戻り、胎児タンパク質を発現することが知られています。よって、胎児タンパク質は腫瘍マーカー候補になると考えられます。
本研究では、マウスの成体と胎児の組織(6種類の臓器)で発現している遺伝子を最新鋭の分析機器を用いて網羅的に解析します。そして、胎児の組織で高発現していて、生体の組織であまり発現していない遺伝子を選び、新規の腫瘍マーカーとして開発を進めています。

実績

プロニューロテンシン:肺小細胞癌
ProGRP:肺小細胞癌、ユーイング肉腫

研究活動

研究活動