プロジェクトHOPE(がんのマルチオミクス解析)

がんは遺伝子のコピーミスによって起こります。その原因は、日光の紫外線や放射線、食べ物やストレスなどと考えられています。また、がんになりやすい体質の人もいます。がんの遺伝子を全部調べれば、がんの原因が今よりも解るようになり、新しい予防法や治療法が開発されると考えられます。
今までは遺伝子を全部調べることは大変なことでした。しかし、最近では技術が進歩し、1-2日間で遺伝子を全部調べられるようになりました。

静岡がんセンターでは、最新の機械を使って患者さんから手術で摘出したがん組織の遺伝子を全部調べる研究、「プロジェクトHOPE」を進めています。HOPEとは、High-tech Omics-based Patient Evaluation(最先端の解析技術を用いて患者さんの状態を評価する)の略です。さらに私たちは、遺伝子解析(ゲノミクス)に加えて、mRNA(トランスクリプトミクス)、タンパク質(プロテオミクス)。代謝物(メタボロミクス)の解析を加えることにより、がん細胞の状態をより詳しく調べます(このように数種類の詳細な解析を同時に行う方法をマルチオミクス解析といいます)。

この研究は2014年1月より病院と研究所が一体となって取り組んでいます。静岡がんセンター病院で手術を受けるすべての患者さん(約1,000人/年)から、手術で摘出した組織および血液を採取し、研究所でマルチオミクス解析をします。静岡がんセンター単独で行っている研究なので、解析結果を臨床データと詳しく照らし合わせることができます。

この研究を通して、静岡がんセンターでは
● 個の医療(全人的)の実現
● 新しい薬や診断薬の開発
● 次世代の医療スタッフ・研究者の育成
を目指しています。
いわば近未来のゲノム医療のシミュレーションといえる研究です。

研究活動

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