対象となる疾患と適応条件
対象となる疾患と適応条件
陽子線治療の主な対象疾患とその適応条件をご案内します。
患者さんひとりひとりの体が異なるように、同じ種類のがんであっても病気の進行度、自覚症状などその病状は一様ではありません。
ですからここに記された情報は、ひとつの目安とお考えいただき、不明点は静岡がんセンター「よろず相談」に、お気軽にお問い合せください。
各疾患共通の適応条件について
当センターでは、陽子線治療が保険適用されている疾患ならびに先進医療(統一治療方針の基準に適すること)の対象疾患に陽子線治療を実施しています。
また各対象疾患に共通して次のような条件があります
- 遠隔転移がないこと
- 手術などの局所治療が困難であること
疾患毎の適応条件を以下に記しますが、条件を満たしていても、腫瘍の部位や大きさによっては陽子線治療が困難な場合があります。
事前の診察・検査で病巣の状態をよく把握した上で、主担当医師が中心となったチームが合同カンファレンスにおいて手術・抗がん剤治療・通常の放射線治療など陽子線治療以外の治療方法が選択肢とならないかどうかを慎重に検討して適応を判断します。
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各部位の疾患と適応条件
対象・臓器 |
適応症 |
医療制度 |
疾患名(※1) |
適応条件 |
保険診療 |
先進医療A/B |
小児 |
小児腫瘍 |
限局性の固形悪性腫瘍に限る |
〇 |
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脳 |
膠芽腫 |
広範な播種のない膠芽腫 |
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A |
星細胞腫・乏突起膠腫 |
広範な播種のない神経膠腫 |
髄膜腫 |
切除困難または悪性,退形成性髄膜腫 |
その他の稀な脳腫瘍 |
他の組織系に分類される脳腫瘍 |
頭頸部 |
頭頸部悪性腫瘍 |
口腔・咽喉頭の扁平上皮癌を除く |
〇 |
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頭頸部扁平上皮癌 |
X線による放射線治療でリスク臓器の線量低減が保持できない場合 |
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A |
肺・縦隔 |
早期肺癌 |
Ⅰ期からⅡA期までの肺癌に限る。⼿術による根治的な治療が困難なもの |
〇 |
A |
限局性肺癌 |
リンパ節転移のない限局性肺癌(保険適応外のもの) |
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局所進行非小細胞肺癌 |
臨床病期TanyN1-3M0あるいはT4N0M0(隣接臓器浸潤)の非小細胞肺癌 |
気管・気管支癌 |
遠隔転移のないもの |
縦隔腫瘍 |
胸腺腫、胸腺癌、縦隔原発悪性リンパ腫 |
消化管 |
局所大腸癌(手術後の再発) |
手術による根治的な治療が困難なもの |
〇 |
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局所進行食道癌 |
Stage I-III, Stage IV (血行性転移のない限局性食道癌) |
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A |
肝胆膵 |
肝細胞癌 |
長径4cm以上、手術による根治的な治療が困難なもの |
〇 |
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肝細胞癌 |
限局性肝細胞癌(保険適応外のもの) |
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A |
肝細胞癌
JCOG1315C試験(※2) |
切除可能な初発・単発・結節型、最大径3cm超12cm未満、cN0M0、85歳以下、Child-Pugh 5点、PS 0-1 |
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B |
肝内胆管癌 |
手術による根治的な治療が困難なもの |
〇 |
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胆道癌 |
切除不能または再発性胆管癌(肝門部,肝外の胆管癌) |
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A |
局所進行性膵癌 |
手術による根治的な治療が困難なもの |
〇 |
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泌尿器 |
限局性及び局所進行性前立腺癌 |
転移を有するものを除く |
〇 |
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膀胱癌 |
臨床病期 Ⅱ-Ⅲ期の原発性膀胱癌 |
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A |
腎癌 |
医学的理由で切除不能なT1-4N0M0の原発性腎癌 |
その他 |
骨軟部腫瘍 |
限局性、手術による根治的な治療が困難なもの |
〇 |
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転移性肺腫瘍 |
少数転移性肺腫瘍(オリゴ転移,3個以下) |
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A |
転移性肝腫瘍 |
少数転移性肝腫瘍(オリゴ転移,3個以下) |
転移性リンパ節 |
少数リンパ節転移 |
※1 |
表に掲載されていても当センターで治療を実施していない疾患があります。 |
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詳しくはお問い合わせください。 |
※2 |
切除手術が可能な肝細胞癌でその他いくつかの基準を満たす場合が対象となります。 |
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JCOG1315C臨床試験に参加されると先進医療Bの陽子線治療として治療費は160万円に軽減されます。 |